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1章: 聖女追放
捕縛
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セシルにはまだ認められなかった。物心ついたころから、実際には自分が聖女に選ばれてからずっと、傍にいたハイデルが、こんなことでいなくなってしまうなんて。勉強や修行が嫌で逃げ出す度、半泣きする自分を強制的に連れ戻したハイデルが、木登りに挑戦して降りられなくなった自分を真っ先に助けてくれたハイデルが、もういない。
「セシル様! お逃げく・・・・・・ごわっ!!」
セシルを庇おうとした神官がもう一人、衛兵に後ろから槍で突かれた。他の衛兵達も、無抵抗の神官や巫女を容赦なく手に掛けようとする気炎が伝わってくる。
「税金を喰い荒らす神殿の豚共め! ここで一網打尽にしてやれ」
「止めて下さい!」
逃げ惑う神官達に襲い掛かろうとする衛兵の前に、セシルが躍り出た。さすがに聖女は手打ちに出来ないらしく、衛兵達はぴたりと剣を引っ込めた。
「斬殺は・・・・・・私の捕縛を妨げた者に限られるのでしょ? あなた達の言う通り、出頭します。だからもう、これ以上人を傷つけないで」
「ほう、ただのメスガキだと思っていたら度胸のある真似をしてくれるじゃないか」
小隊長らしき男は剣を鞘に納め、セシルの前に立った。手足の震えを隠すセシルに向かって彼は微笑むと、手甲をはめた手でセシルの腹部を強打した。
「な、何か?」
「おら!!」
「うっ!!」
強烈な痛みのすぐ後に目眩が襲ってきて、セシルは縮みこみながら床に倒れ込んだ。
「な・・・・・・何を」
「前から思っていたんだけどよ、お前のその透かしたような目つきがずっと癪だったんだ」
悶えるセシルの身体に、小隊長は片足をかけた。
「俺はな、貧しい農民の家からやっと王宮の衛兵にのし上がってきたんだよ。苦労も知らねえ小娘が! 安心しろ! 殺す手前の加減は心得ているからよ!」
セシルの小さな体は何度も軍靴に踏みつけられた。度重なる衝撃に耐えていたセシルは、倒れたハイデルの傍らでやがて意識を失った。
「セシル様! お逃げく・・・・・・ごわっ!!」
セシルを庇おうとした神官がもう一人、衛兵に後ろから槍で突かれた。他の衛兵達も、無抵抗の神官や巫女を容赦なく手に掛けようとする気炎が伝わってくる。
「税金を喰い荒らす神殿の豚共め! ここで一網打尽にしてやれ」
「止めて下さい!」
逃げ惑う神官達に襲い掛かろうとする衛兵の前に、セシルが躍り出た。さすがに聖女は手打ちに出来ないらしく、衛兵達はぴたりと剣を引っ込めた。
「斬殺は・・・・・・私の捕縛を妨げた者に限られるのでしょ? あなた達の言う通り、出頭します。だからもう、これ以上人を傷つけないで」
「ほう、ただのメスガキだと思っていたら度胸のある真似をしてくれるじゃないか」
小隊長らしき男は剣を鞘に納め、セシルの前に立った。手足の震えを隠すセシルに向かって彼は微笑むと、手甲をはめた手でセシルの腹部を強打した。
「な、何か?」
「おら!!」
「うっ!!」
強烈な痛みのすぐ後に目眩が襲ってきて、セシルは縮みこみながら床に倒れ込んだ。
「な・・・・・・何を」
「前から思っていたんだけどよ、お前のその透かしたような目つきがずっと癪だったんだ」
悶えるセシルの身体に、小隊長は片足をかけた。
「俺はな、貧しい農民の家からやっと王宮の衛兵にのし上がってきたんだよ。苦労も知らねえ小娘が! 安心しろ! 殺す手前の加減は心得ているからよ!」
セシルの小さな体は何度も軍靴に踏みつけられた。度重なる衝撃に耐えていたセシルは、倒れたハイデルの傍らでやがて意識を失った。
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