チート魔法の魔導書

フルーツパフェ

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7章:黒幕の影

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「結局、事件は迷宮入りだね」
 ヘンリマンという生き証人を葬ってしまったことで、陰謀の真相は闇に葬られてしまうことに気付く。
「いいえ、そういうわけではありません」
「でもヘンリマンは、君の魔法によって体内の魔力が暴走したんじゃないのかい?」
「いいえ。確かに俺はチート魔法を使いましたが、少し細工を加えました。外界の魔力を同化させるにしても、それを別の形に変換したのです」
「別の形?」
「もうすぐですかね」
 ヘンリマンを包んでいた光が徐々に弱まっていく。それが潰えて夜闇が戻る頃には、芝生の上にヘンリマンがぐったりと倒れていた。別段目立った外傷はない。
「魔力を爆発からただの発光に書き換えたんです」
「つまり、ヘンリマンは人間蛍になったと?」
「ええ、その光が消えたということは、もう魔力は残っていないはずです。後は・・・・・・」
 ラスタは気絶しているヘンリマンの両腕に手枷を嵌めた。それはダクライアに幽閉されていた時から彼がはめられていた魔力を封印する手枷だった。
「あとは然るべき場所で全てを語ってくれるでしょう」
「全く、君は・・・・・・」
 意表を突かれた展開にアデリルは言葉がなかったほどの感銘を受けた様子。キュエルもまた、子供らしい笑顔を浮かべていた。
「ラスタ・・・・・・」
 リュシアが後ろから近づいた。
「もう大丈夫だ。怖い思いをさせたな」
「馬鹿! 何が大丈夫だよ! こんな怪我をしてまで!」
「いや、出血は止まったし、心配ないって」
「何だったらボクの魔法で回復させてあげようか」
「結構です!」
 それを答えたのはリュシアだ。
「えっと・・・・・・」
「ラスタは私が治療します!」
「またお前の荒療治か!」
「それが嫌だったら、これ以上怪我をしないことです!」
「待てよ! 今度の怪我は本当にヤバいんだって! ここはキュエルさんに任せた方が!」
「ごめん、久しぶりに魔力を使い過ぎてボクにも魔力が残っていないみたいなんだ」
 キュエルが突然裏切った。
「え? それはないでしょ! キュエルさん、魔導士でしょ!」
「それに、君は傷よりも、女の子を泣かせる無鉄砲を治療する方が先じゃないかな」
「待ってくれ! だったらせめてアデリルさんが!」
「わ、私か!」
 アデリルは異常に動揺した。
「実は私は、男の裸を見るのに慣れていないのだ」
「そうだったの!?」
「さあ、まずは軽く殴って麻酔しましょうか」
「傷も確かめずにいきなり外科手術かよ! 本当に、殺されえるってぇ!!」
 ラスタの悲鳴は黎明の空に響いた。
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