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7章:黒幕の影
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「ラスタ!」
リュシアかアデリルかが、叫ぶ声がした。
「・・・・・・その剣、アンタ貴族の出身じゃないな」
「いかにも。俺は昔、魔導書も持たない下級騎士の出身だった。《所有者》の屋敷に奉公に出されて、それはもう昼夜を問わずに働かされたよ。アイツ等は俺達を人間だとは思わなかった。そんなある日、主人の部屋を掃除していた俺は、偶然にも【複写魔法】の魔導書を発見し、専属魔法を覚えた。連中ときたら、この魔法を官職の登用試験に活用することしか考えていなかった。全く無能な連中だよ。俺は【複写魔法】で他の専属魔法を盗み出し、奉公先の連中を皆殺しにした。それからは俺が《所有者》を装い、帝国の枢機卿にまで上り詰めたんだ。小僧、俺とお前は同類なのだ。それがどうして、俺の理想をわかろうとしない? 何がお前をそうさせる?」
「決まっているだろ」
ラスタは手で出血を抑えながら歯を食いしばった。
「キュエルさんは言った。魔導書には魔導士の生きた証と魔法に対する信念が込められているって。だから俺はその魔導書を引き継いだ者として、その信念に従わなければならない! お前みたいな自己都合で戦争をおこさせる人間を止めて見せる!」
「馬鹿な。私が居なくとも、大陸、いや世界から争いが消えることはないだろう。この世界は魔導書という力によって支配されている。力の序列が人間社会の本質ならば、争いは絶対になくならない。私はただ、全ての専属魔法を手に入れてこの世界を作り変えたいだけなのだ。専属魔法を分散させた世界ではなく、唯一の力を持つ指導者の下で、万人が平等な世界を」
「お前は世界を変えようとしているんじゃない。今の世界の中で、自分だけが頂点に登り詰めたいだけだ! 俺は絶対に、お前なんかにはなりたくない!」
「黙れ!」
ヘンリマンが剣を横に一閃させた。ラスタは斬られた方の腕に剣を握っている。とても打ち返せる状態ではなかった。
「ラスタ!!」
「貴様の魔法をこのベルニアの地で使ってやる! それが貴様への献花となるだろう!」
「まだだ!【崩壊魔法】」
「何だと! 貴様! 血迷ったか! ここはベルニアの領内だぞ! ここでその魔法を使えばどうなるか・・・・・・」
「どうかな!」
ラスタは傷口に当てていた手を、ヘンリマンの胸に突き当てた。そこから紫電を帯びた光が広がっていく。
「チート魔法は外界の魔力を爆発力に変える魔法だ。それをお前の魔力だけに適用すれば、利用されるのはお前の魔力だけだ」
「そ、そんな使い方が!」
「悪いな。俺はお前だけは、許せそうにない」
ラスタはよろめきながら後ろに下がる。そんなラスタを後ろから支えるリュシアとアデリルが引き離した。ヘンリマンはその場に跪き、やがて自身の魔力が爆ぜると同時に光の中に吸い込まれていった。
リュシアかアデリルかが、叫ぶ声がした。
「・・・・・・その剣、アンタ貴族の出身じゃないな」
「いかにも。俺は昔、魔導書も持たない下級騎士の出身だった。《所有者》の屋敷に奉公に出されて、それはもう昼夜を問わずに働かされたよ。アイツ等は俺達を人間だとは思わなかった。そんなある日、主人の部屋を掃除していた俺は、偶然にも【複写魔法】の魔導書を発見し、専属魔法を覚えた。連中ときたら、この魔法を官職の登用試験に活用することしか考えていなかった。全く無能な連中だよ。俺は【複写魔法】で他の専属魔法を盗み出し、奉公先の連中を皆殺しにした。それからは俺が《所有者》を装い、帝国の枢機卿にまで上り詰めたんだ。小僧、俺とお前は同類なのだ。それがどうして、俺の理想をわかろうとしない? 何がお前をそうさせる?」
「決まっているだろ」
ラスタは手で出血を抑えながら歯を食いしばった。
「キュエルさんは言った。魔導書には魔導士の生きた証と魔法に対する信念が込められているって。だから俺はその魔導書を引き継いだ者として、その信念に従わなければならない! お前みたいな自己都合で戦争をおこさせる人間を止めて見せる!」
「馬鹿な。私が居なくとも、大陸、いや世界から争いが消えることはないだろう。この世界は魔導書という力によって支配されている。力の序列が人間社会の本質ならば、争いは絶対になくならない。私はただ、全ての専属魔法を手に入れてこの世界を作り変えたいだけなのだ。専属魔法を分散させた世界ではなく、唯一の力を持つ指導者の下で、万人が平等な世界を」
「お前は世界を変えようとしているんじゃない。今の世界の中で、自分だけが頂点に登り詰めたいだけだ! 俺は絶対に、お前なんかにはなりたくない!」
「黙れ!」
ヘンリマンが剣を横に一閃させた。ラスタは斬られた方の腕に剣を握っている。とても打ち返せる状態ではなかった。
「ラスタ!!」
「貴様の魔法をこのベルニアの地で使ってやる! それが貴様への献花となるだろう!」
「まだだ!【崩壊魔法】」
「何だと! 貴様! 血迷ったか! ここはベルニアの領内だぞ! ここでその魔法を使えばどうなるか・・・・・・」
「どうかな!」
ラスタは傷口に当てていた手を、ヘンリマンの胸に突き当てた。そこから紫電を帯びた光が広がっていく。
「チート魔法は外界の魔力を爆発力に変える魔法だ。それをお前の魔力だけに適用すれば、利用されるのはお前の魔力だけだ」
「そ、そんな使い方が!」
「悪いな。俺はお前だけは、許せそうにない」
ラスタはよろめきながら後ろに下がる。そんなラスタを後ろから支えるリュシアとアデリルが引き離した。ヘンリマンはその場に跪き、やがて自身の魔力が爆ぜると同時に光の中に吸い込まれていった。
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