チート魔法の魔導書

フルーツパフェ

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7章:黒幕の影

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「無駄です」
 ヘンリマンが剣を一閃させると、前方の柱が両断されて途切れた。その突破口をやすやすと突破したヘンリマンは【火焔祓剣】で応戦する。
 次々と繰り出される専属魔法の数々は、まるでラスタを戦場にいるかのように錯覚させた。
「早い。私達じゃ、追いつけない」
 今、ヘンリマンとキュエルが互角に渡り合っている。リュシアは援護しようにも、下手に攻撃すればキュエルに魔法を誤射する危険があった。様々な専属魔法が披露される前で、汎用魔法しか使えない二人はただ成り行きを見つめるしかなかった。
「わあぁ!!」
 キュエルの悲鳴が夜の帳に響いた。ヘンリマンが力押しでキュエルを退けたのである。
「あなたにはここで消えてもらいますよ」
 止めを刺すべく、ヘンリマンは矢継ぎ早に魔力の転化を試みる。次の専属魔法に切り替えるつもりだ。
「待て! お前は魔導士を殺めるつもりか!」
 アデリルが剣を支えに立ち上がる。
「ええ。あの専属魔法さえ手に入れば、他のどんな魔法も玩具同然ですから。むしろ、あの魔法に対抗する専属魔法を開発されては、私の理想世界が脅かされるかもしれない。さあ、消えるがいい! 【水晶化――】」
「やめろぉ!!」
 屋敷から飛び出したラスタが【雷撃魔法】をヘンリマンに食らわせる。夜のしじまを割いて飛び出した閃光はヘンリマンの驚いた表情を映し出す。
「そこに居ましたか!」
 ヘンリマンは器用に稲妻をかいくぐりながら剣先をラスタに向けた。
「ラスタ君!」
「何が理想世界だよ! そのせいで何人死んだと思っているんだ!」
「君があの魔法の《所有者》かね?」
「訊かなくてもわかるだろ」
「ふむ、どうやらその様だね。ほほう、ゲクリニカの驚くような顔が思い浮かぶよ。それにしても君は、こんなにあっさり私の前に姿を現すとはね」
「なんてことを・・・・・・」
 アデリルが絶望したように膝をついた。リュシアもまた、その場に立ち尽くして言葉を失っていた。
「大丈夫だ。アデリルさん」
 ラスタはアデリルを肩越しに振り返る。
「何だって?」
「アイツはチート魔法を使うことはできない。そうだろ? ヘンリマン!」
「馬鹿を言うな。私の専属魔法を知らないのか? 【複写魔法】はお前が見た全ての記憶を私の脳裡に転写することができる。つまり、魔導書の内容もそのまま読み取ってしまうのだ」
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