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7章:黒幕の影
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不気味な蒼白い光の波が正門から伝わってくる。
「敵襲!」
声高に叫んだ兵士の一人は次の瞬間、水晶の塊と化していた。
「下がれ、お前達!」
屋上から飛び降りたアデリルが正門に向かって【火焔祓剣】を見舞う。正門は降りしきる炎によって尽く破壊された。その黒煙の中から、一人の影が脱出した。
「【火球砲】!」
影が出るのを待ち構えていたリュシアとラスタが炎系魔法で狙撃する。リュシアの魔法は躱されたが、ラスタの魔法が外套の裾の辺りに火を点けた。襲撃者は火が手に負えなくなって外套を脱ぎ捨てる。
「ようやく姿を現したようだね!!」
そこへキュエルが背後から杖を殴りつける。影は大きく前に跳躍して踵を返すと、掌を前に出した。
「【岩石槍撃(ロックランス)】」
キュエルの足元の岩場が突然隆起して、鍾乳石のような鋭鋒に変わった。飛びずさるのが遅ければ、足元から串刺しにされていただろう。
「今のは専属魔法か」
「その通りだ」
襲撃者は初めて口を開いた。同時に、立ち止まってその姿を月明かりに晒した。上着を脱ぎ捨てただけの紳士風の服を着た長身痩躯の男だった。見た目は無欲そうに見えても、その慧眼には底知れぬ野心が込められているかのような光り方をする。短く整えた髪をなでるなり、彼は一同を見回した。
「どうやら、私は罠に嵌められたようですな」
「随分な物言いだね。ヘンリマン=アッガサート。君の陰謀のお蔭で、この国、いや帝国やダクライアは尊い犠牲を払ったんだよ」
「私のせい? そうでしょうか? 確かにダクライア、ベルニア、エクレナダの三国は長く争うことはありませんでした。ですがこれは戦後ではなく、戦間期に過ぎなかったのです。実際、ハンス卿の死をもって帝国は一夜で戦の準備を整えたのです。あなた達が平和と勘違いしていたここ最近の情勢は、単なる幻想にすぎなかったのですよ。私はただ、愚鈍な世間の目を現実に戻して差し上げただけだ」
「それでも、みんなが笑って暮らせたのは事実だ!」
ラスタが屋敷の影に隠れながらも反論した。隠れる必要はない。自分がここにいる事実は意図的に暴露しているのだ。
「敵襲!」
声高に叫んだ兵士の一人は次の瞬間、水晶の塊と化していた。
「下がれ、お前達!」
屋上から飛び降りたアデリルが正門に向かって【火焔祓剣】を見舞う。正門は降りしきる炎によって尽く破壊された。その黒煙の中から、一人の影が脱出した。
「【火球砲】!」
影が出るのを待ち構えていたリュシアとラスタが炎系魔法で狙撃する。リュシアの魔法は躱されたが、ラスタの魔法が外套の裾の辺りに火を点けた。襲撃者は火が手に負えなくなって外套を脱ぎ捨てる。
「ようやく姿を現したようだね!!」
そこへキュエルが背後から杖を殴りつける。影は大きく前に跳躍して踵を返すと、掌を前に出した。
「【岩石槍撃(ロックランス)】」
キュエルの足元の岩場が突然隆起して、鍾乳石のような鋭鋒に変わった。飛びずさるのが遅ければ、足元から串刺しにされていただろう。
「今のは専属魔法か」
「その通りだ」
襲撃者は初めて口を開いた。同時に、立ち止まってその姿を月明かりに晒した。上着を脱ぎ捨てただけの紳士風の服を着た長身痩躯の男だった。見た目は無欲そうに見えても、その慧眼には底知れぬ野心が込められているかのような光り方をする。短く整えた髪をなでるなり、彼は一同を見回した。
「どうやら、私は罠に嵌められたようですな」
「随分な物言いだね。ヘンリマン=アッガサート。君の陰謀のお蔭で、この国、いや帝国やダクライアは尊い犠牲を払ったんだよ」
「私のせい? そうでしょうか? 確かにダクライア、ベルニア、エクレナダの三国は長く争うことはありませんでした。ですがこれは戦後ではなく、戦間期に過ぎなかったのです。実際、ハンス卿の死をもって帝国は一夜で戦の準備を整えたのです。あなた達が平和と勘違いしていたここ最近の情勢は、単なる幻想にすぎなかったのですよ。私はただ、愚鈍な世間の目を現実に戻して差し上げただけだ」
「それでも、みんなが笑って暮らせたのは事実だ!」
ラスタが屋敷の影に隠れながらも反論した。隠れる必要はない。自分がここにいる事実は意図的に暴露しているのだ。
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