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7章:黒幕の影
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ラスタ達の亡命計画は周到に準備されていたらしく、アデリル達の部下が既に馬を用意していた。そのお陰でラスタ達は目立った障壁もなく国境を超えた。
「君達に会ってもらいたい人物がいるんだ」
ダクライアとの国境を遥か後ろにしたところで、アデリルが振り返った。
「誰です?」
「以前にこの国には一人だけ、魔導士がいるという話をしたと思うが、その魔導士が君に話があるという」
「俺に、ですか? 一体どんな人ですか?」
「聡明なお方だ。少し、変わってはいるが・・・・・・」
アデリルは躊躇いがちに答えた。
「とにかく、ありがとうございます。アデリルさん」
ラスタは深々と頭を下げる。それを見たアデリルは長い髪を掻きむしる。
「そう改まって礼を言われると、こそばゆいな。私だって君に命を救われたし、君は祖国を救った英雄だ。それに・・・・・・まだあの約束が」
「それより、ここでなら詳しい話を聞かせてくれますよね?」
ラスタとアデリルの間に仏頂面のリュシアが割って入る。
「ああ、そうだったな。話は戻るが、その魔導士が今回の動乱の元凶を突き止めたと話している」
「元凶って、何のことですか?」
「此度の戦乱、ひいてはハンス=リクトルの暗殺全てを仕組んだ犯人のことだ」
アデリルの言葉を最後に、一同は沈黙した。
ラスタ達は再び、ベルニアの首都ハウスリングの地を踏むことになる。こんな早くに、こんな形で訪れることになるとは、想像さえもしていなかった。
「ここで待っていてくれ」
アデリルが通したのはこぢんまりとした王宮の客室だった。
「すぐに面会の支度を整えるから、それまで待っていてほしい」
侍女に茶を運ばせたアデリルは部屋を出た。
「何だか私達、とんでもないことになっちゃったね」
部屋に一つだけ設けられた窓を覗き込みながら、リュシアが遠い目をした。
「そうだな。半年前まで普通の学校生活を送っていたのにな」
ラスタもまた、二等騎士としての平凡な日々に思いを馳せる。
「だから俺は、あの魔法を永遠に消し去らないといけない。昔の日々を取り戻すために」
ラスタは決意を新たにする。リュシアは物憂げな表情でそれを見守った。
「誰かな?」
扉が軋み音を立てながら半分だけ開いた。風の入り込む隙間などないはずだ。
「アデリルさん?」
ラスタが声を掛けるが返事はない。ラスタとリュシアは緊張した視線を合わせた。
「下がっていて」
リュシアは剣を手に取り、扉の裏側に張り付く。一方でラスタはまだ、手枷を外されていない。残念ながらこの状況においてもリュシアの戦力に頼るしかなかった。
「君達に会ってもらいたい人物がいるんだ」
ダクライアとの国境を遥か後ろにしたところで、アデリルが振り返った。
「誰です?」
「以前にこの国には一人だけ、魔導士がいるという話をしたと思うが、その魔導士が君に話があるという」
「俺に、ですか? 一体どんな人ですか?」
「聡明なお方だ。少し、変わってはいるが・・・・・・」
アデリルは躊躇いがちに答えた。
「とにかく、ありがとうございます。アデリルさん」
ラスタは深々と頭を下げる。それを見たアデリルは長い髪を掻きむしる。
「そう改まって礼を言われると、こそばゆいな。私だって君に命を救われたし、君は祖国を救った英雄だ。それに・・・・・・まだあの約束が」
「それより、ここでなら詳しい話を聞かせてくれますよね?」
ラスタとアデリルの間に仏頂面のリュシアが割って入る。
「ああ、そうだったな。話は戻るが、その魔導士が今回の動乱の元凶を突き止めたと話している」
「元凶って、何のことですか?」
「此度の戦乱、ひいてはハンス=リクトルの暗殺全てを仕組んだ犯人のことだ」
アデリルの言葉を最後に、一同は沈黙した。
ラスタ達は再び、ベルニアの首都ハウスリングの地を踏むことになる。こんな早くに、こんな形で訪れることになるとは、想像さえもしていなかった。
「ここで待っていてくれ」
アデリルが通したのはこぢんまりとした王宮の客室だった。
「すぐに面会の支度を整えるから、それまで待っていてほしい」
侍女に茶を運ばせたアデリルは部屋を出た。
「何だか私達、とんでもないことになっちゃったね」
部屋に一つだけ設けられた窓を覗き込みながら、リュシアが遠い目をした。
「そうだな。半年前まで普通の学校生活を送っていたのにな」
ラスタもまた、二等騎士としての平凡な日々に思いを馳せる。
「だから俺は、あの魔法を永遠に消し去らないといけない。昔の日々を取り戻すために」
ラスタは決意を新たにする。リュシアは物憂げな表情でそれを見守った。
「誰かな?」
扉が軋み音を立てながら半分だけ開いた。風の入り込む隙間などないはずだ。
「アデリルさん?」
ラスタが声を掛けるが返事はない。ラスタとリュシアは緊張した視線を合わせた。
「下がっていて」
リュシアは剣を手に取り、扉の裏側に張り付く。一方でラスタはまだ、手枷を外されていない。残念ながらこの状況においてもリュシアの戦力に頼るしかなかった。
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