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6章:凱旋の先に
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「この炎は一体? ラスタ、これがあなたの専属魔法ですか?」
火柱の向こうで目を丸くしたイリスの顔が照らされる。しかし、ラスタの手枷は解かれていない。それにこの炎には見覚えがある。
「これは、【火焔祓剣】?」
「何とか間に合ったようだな」
イリスの背後でその声がした。はっと振り返るイリスだったが、時既に遅し。うなじをしたたかに打たれていた。
「な、あなたは・・・・・・」
無念そうな表情を浮かべたイリスはそのまま地面に倒れる。
「久しぶりだな。ラスタ君、リュシアさん」
それは約一ヵ月ぶりに再会するアデリルだった。
「アデリルさん? どうしてここに?」
全く思いがけない再会に、リュシアもラスタも挨拶を返すことさえ忘れていた。
「済まないが、君達にはダクライアから亡命してもらう」
「ちょっと待って下さい。一体、何がどうなっているんですか?」
リュシアがアデリルの前に立ち塞がる。ベルニアもまた、ラスタのチート魔法を狙っている可能性は十分にあった。そのためにアデリルをダクライアに潜入させたのかもしれない。《所有者》の力を持ち、ラスタと面識のある彼女を。
「時間がないから手短に言おう。ラスタ君、君の力が狙われている。私と一緒にベルニアに来て欲しい」
アデリルは剣を鞘に収めながら言った。
「そんなことわかっていますよ。でも、ベルニアだけがあの魔法を使わないと約束できますか?」
「そういう意味ではないんだ、ラスタ君。このままでは、君の専属魔法は君の意志と無関係に使われてしまうかもしれない」
「どういうことです?」
「詳しい話をしている場合か? 今はここを離れるべきだ」
「そうやって、ラスタを連れ出そうとして!」
リュシアが食って掛かる。今度はラスタがそれを制した。
「行きます。とにかく今は、進むしかない」
「ラスタ!」
「ただし、これだけは約束して欲しい。リュシアは全くの無関係だ。俺にどんな要求を突き付けるにしろ、リュシアの安全だけは保障して欲しい」
「もちろん、約束しよう」
「ちょっと、アンタはどうなるんだよ!」
「これは俺に対する試練だ。不可抗力とはいえ、あの魔法で大勢の命を奪った。だから自分のした事には最後まで責任を持ちたい。それにリュシアのことを考えても、今はダクライアよりベルニアにいた方が安全だ」
「けど・・・・・・」
「行こう。お前のことも、俺が最後まで責任を持つから」
ラスタはリュシアの手を取り、アデリルの背中を追った。しばらくして、イリスが目を覚ますのと同時に近くで燃え盛る炎が一斉に消えた。取り残された兵士達は夢でも見ていたかのようにその場に立ち尽くしていた。
火柱の向こうで目を丸くしたイリスの顔が照らされる。しかし、ラスタの手枷は解かれていない。それにこの炎には見覚えがある。
「これは、【火焔祓剣】?」
「何とか間に合ったようだな」
イリスの背後でその声がした。はっと振り返るイリスだったが、時既に遅し。うなじをしたたかに打たれていた。
「な、あなたは・・・・・・」
無念そうな表情を浮かべたイリスはそのまま地面に倒れる。
「久しぶりだな。ラスタ君、リュシアさん」
それは約一ヵ月ぶりに再会するアデリルだった。
「アデリルさん? どうしてここに?」
全く思いがけない再会に、リュシアもラスタも挨拶を返すことさえ忘れていた。
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「時間がないから手短に言おう。ラスタ君、君の力が狙われている。私と一緒にベルニアに来て欲しい」
アデリルは剣を鞘に収めながら言った。
「そんなことわかっていますよ。でも、ベルニアだけがあの魔法を使わないと約束できますか?」
「そういう意味ではないんだ、ラスタ君。このままでは、君の専属魔法は君の意志と無関係に使われてしまうかもしれない」
「どういうことです?」
「詳しい話をしている場合か? 今はここを離れるべきだ」
「そうやって、ラスタを連れ出そうとして!」
リュシアが食って掛かる。今度はラスタがそれを制した。
「行きます。とにかく今は、進むしかない」
「ラスタ!」
「ただし、これだけは約束して欲しい。リュシアは全くの無関係だ。俺にどんな要求を突き付けるにしろ、リュシアの安全だけは保障して欲しい」
「もちろん、約束しよう」
「ちょっと、アンタはどうなるんだよ!」
「これは俺に対する試練だ。不可抗力とはいえ、あの魔法で大勢の命を奪った。だから自分のした事には最後まで責任を持ちたい。それにリュシアのことを考えても、今はダクライアよりベルニアにいた方が安全だ」
「けど・・・・・・」
「行こう。お前のことも、俺が最後まで責任を持つから」
ラスタはリュシアの手を取り、アデリルの背中を追った。しばらくして、イリスが目を覚ますのと同時に近くで燃え盛る炎が一斉に消えた。取り残された兵士達は夢でも見ていたかのようにその場に立ち尽くしていた。
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