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6章:凱旋の先に
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一体どれほどの広さにどれだけの人間が居るのだろう。円形の壇上席の中心に立たされたラスタの前には、暗闇が果てしなく広がっていた。その真ん中に取り残されたように、ラスタは両脇に監守を伴われて立っていた。
「これより、魔導書管理局の職務権限に基づく査問会を行う」
木槌を二、三回鳴らした音が響き渡る。正面の一段高くなった席に座る男は、開会を宣言した。彼が議長役を務め、その身分を審議官と名乗った。査問会とは言っても、当事者のラスタにとっては裁判に立たされている気分だった。
「なお今回の議題は、エクレナダ帝国との戦役において、許可なく専属魔法を使用したラスタ=オキシマに対する処分を決定するものであることを、宣言しておこう」
「処分・・・・・・」
ラスタは唇を噛みしめながら、身勝手な大人達の物言いを聞いていた。
「ラスタ君、率直に訊くが君の階級は?」
「グラーデン騎士養成学校、騎士科三階生、二等騎士所属です」
「では君は《所有者》かね?」
「・・・・・・いいえ」
「だが君は、帝国との戦闘で専属魔法を使用した。そうだね?」
「そうです」
「つまり君は、魔導書を隠匿していたというわけだ。そういうことだね?」
「・・・・・・はい」
「魔導書の隠匿は重罪だ。戦争の趨勢を決める魔導書の所在は、正確に把握しなければならぬからだ。そんなことくらい、わかっているのだろうね?」
「お言葉ですが!」
ラスタは理不尽な誘導尋問に立ち上がる。警備の兵士が反射的に身動ぎした。刹那の間に張り詰めた緊張は、審議官の制する手によって徐々に解かれていった。
「本来は極刑に値する罪ではある。だがその前に、我々と一つ取引をしないか?」
「取引?」
審議官の頭がラスタに向かって前かがみになる。
「君がヒシュマー城で使った魔法の秘密を教えて欲しい」
「別に、秘密なんて有りませんよ。すべて報告の通りだと思います・・・・・・俺は、あの魔法で帝国軍一万を抹殺しました」
「我々が知りたいのはそう言うことではない。君も知っての通り、汎用魔法であれ、専属魔法であれ、全ての魔法は術者の魔力を原動力に発動する。だとすれば、あれだけの破壊力に必要な魔力をどうやって引き出したのだ? グラーデンでの報告によると、君は平均よりも魔力が高い体質らしいが、それで全てが説明できるレベルではない。爆発の規模から我々なりに消費魔力を推定してみたのだが、恐らく騎士千人分の魔力でも不可能だろう」
「千人分・・・・・・」
議場内にどよめきが起こる。
「これより、魔導書管理局の職務権限に基づく査問会を行う」
木槌を二、三回鳴らした音が響き渡る。正面の一段高くなった席に座る男は、開会を宣言した。彼が議長役を務め、その身分を審議官と名乗った。査問会とは言っても、当事者のラスタにとっては裁判に立たされている気分だった。
「なお今回の議題は、エクレナダ帝国との戦役において、許可なく専属魔法を使用したラスタ=オキシマに対する処分を決定するものであることを、宣言しておこう」
「処分・・・・・・」
ラスタは唇を噛みしめながら、身勝手な大人達の物言いを聞いていた。
「ラスタ君、率直に訊くが君の階級は?」
「グラーデン騎士養成学校、騎士科三階生、二等騎士所属です」
「では君は《所有者》かね?」
「・・・・・・いいえ」
「だが君は、帝国との戦闘で専属魔法を使用した。そうだね?」
「そうです」
「つまり君は、魔導書を隠匿していたというわけだ。そういうことだね?」
「・・・・・・はい」
「魔導書の隠匿は重罪だ。戦争の趨勢を決める魔導書の所在は、正確に把握しなければならぬからだ。そんなことくらい、わかっているのだろうね?」
「お言葉ですが!」
ラスタは理不尽な誘導尋問に立ち上がる。警備の兵士が反射的に身動ぎした。刹那の間に張り詰めた緊張は、審議官の制する手によって徐々に解かれていった。
「本来は極刑に値する罪ではある。だがその前に、我々と一つ取引をしないか?」
「取引?」
審議官の頭がラスタに向かって前かがみになる。
「君がヒシュマー城で使った魔法の秘密を教えて欲しい」
「別に、秘密なんて有りませんよ。すべて報告の通りだと思います・・・・・・俺は、あの魔法で帝国軍一万を抹殺しました」
「我々が知りたいのはそう言うことではない。君も知っての通り、汎用魔法であれ、専属魔法であれ、全ての魔法は術者の魔力を原動力に発動する。だとすれば、あれだけの破壊力に必要な魔力をどうやって引き出したのだ? グラーデンでの報告によると、君は平均よりも魔力が高い体質らしいが、それで全てが説明できるレベルではない。爆発の規模から我々なりに消費魔力を推定してみたのだが、恐らく騎士千人分の魔力でも不可能だろう」
「千人分・・・・・・」
議場内にどよめきが起こる。
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