チート魔法の魔導書

フルーツパフェ

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6章:凱旋の先に

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 グラーデン騎士養成学校の門に軍靴の音を響かせて戻ってきた者は四十人程だった。ラスタ達を迎える騎士学校の他の面々は紙吹雪を撒くことも喚声を上げることもなく、まるで葬列を見送るかのように寂しく眺めていた。中にはラスタ達が通り過ぎると泣き崩れる者もあった。その度にラスタは思う。帰りを待ちわびていた者が、この中にいなかったのだということを。
「でも俺達、これからどんな褒美に与れるんだろうな」
「まさか全員魔導書をもらえて一等騎士に、なんてことはないよな」
 後ろで何人かが期待に目を輝かせた。不謹慎だとリュシアは舌打ちしたが、ラスタは止めるつもりはなかった。ラスタに付き従い、最悪の戦場を生き残ったのだ。それくらいの欲を出しても当然だと思っていた。
 中庭を進むにつれ、見慣れない顔が並んでいた。グラーデン騎士養成学校の教員でもなければ学生でもない。漆黒の法衣をまとう、怪しげな雰囲気の連中がラスタ達の前を塞ぐように立っていた。
「止まれ」
「何だ、アイツ等」
「公国の軍人、じゃないよな」
「我々は公国魔導書管理局である」
「魔導書管理局だって?」
 魔導書管理局とは魔導書に関係するものならば何でも扱う国の機関だ。具体的には国内の魔導書の管理、他国の魔導書授受の調査、魔導書に書かれる魔法理論の研究を任務としているらしいが、それはあくまで公開されている職務だ。国の武力の本質である魔導書を管理する彼らは、いわば公国の影の権力組織だから秘密も多い。
「魔導書管理局が、どうしてここにいるんだよ?」
 学生達は気味悪がって囁き合う。そんな中、最初にラスタが一歩を踏み出した。黒衣の連中が築く壁など見ていないかのように、堂々と前に進む。
「そうですか。お勤めご苦労様です。でもここには《所有者》は一人もいないので」
 ラスタにとっては快哉を叫びたいほどの皮肉だった。そのまますれ違おうとする肩を、一人の手がつかんだ。
「その通り、だから我々がここにいる」
「どういう意味だ?」
「ベルニアで何があったかを、我々が把握していないとでも思ったか? この中で帝国軍を壊滅させた専属魔法を隠し持った奴は誰だ? 正直に名乗り出ろ」
 近くの建物から公国軍の兵士達がラスタ達を取り囲むように武器を携えて現れた。
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