年収250万円の会社員がガチャ美少女のヒモになった話

美少女で始める副業ライフ

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　試行錯誤を繰り返すこと2ヶ月。
　公的なニュースではそれほど大袈裟に紹介されていないが、生成AIブームはマニアの間でかなりの熱を帯びている。
　デジタルの専門家やそれに近いクリエイター達が自作のAIモデルを次々と公表し、一方でAIを思い通りに動かすためのプロンプトを研究するプロンプトエンジニアリングと呼ばれる学問も現れ始め、土台は一つのオープンソースソフトウェアを発進としながらも個性に富んだコンテンツが生まれるようになった。

　無論、無学とはいえここ最近暇を見つけては生成AIの勉強を日夜続けている俺のスキルもそれなりに上がった。
　今ならこんな画像だって秒で描いて見せるぜ。

　テーマ: しゃがんでピザを食べる金髪ツインテールの女子小学生

「どんなもんだい！」

　今までの作品と違って、細部のディティールや色彩まで変化したのがお分かりだろうか。
　ほんの10年前までは、プロのイラストレーターのみが成せる業だった。
　それが今、絵描きとして何のスキルも経験もない俺のようなおじさんまでが作れるようになっている。
　素人が何の努力もなしに、プロ並みのスキルをコストなしで手に入れる味気ない現実。
　かつて産業革命に起きたラダイト運動もまた、こうした変革を受け容れきれない人間達の抵抗だったのだろう。
　そしてなお恐ろしいことは、ほんの数か月前までアマチュアでさえなかった人間に、当然絵描きとしてのプライドもモラルも全く育っていないということ。
　つまり、欲望の赴くままどんな作品でも描いてしまうということだ。
　ここで一つ質問をしよう。
　35歳になって年収250万円。暖かなマイホームの希望は潰え、社会に絶望した男は、この無限大の可能性を手にしたら何を始めるか。
　有名政治家さえ不正な金銭沙汰でトラブル茶飯事の日本社会。
　老後の生活費さえ見通しの立たない、何の公的責任も負っていない一人の一般市民が、どうして高潔であり続けなければならない必要があるのだろうか。

　答えは自ずと知れたこと。

　――この絵を売り込んで、大儲けする

　それしかなかった。
　ここからが俺の逆転劇だ。
　ちなみに言っておくが、読者諸君がこの小説に書いた方法を実行することを止めまではしないが、聞き及んでの通り、この物語の主人公は瀬戸際の人間だ。
　守るべきものがある諸君には自己責任で判断するよう、お願いしたい。