年収250万円の会社員がガチャ美少女のヒモになった話

年収300万円以下は負け組

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　言うまでもない事だが、もはや所帯を持つことなど無理だ。
　あるニュースサイトの記事によると、30代で年収400万円を稼いでいながら、交際相手の親に収入で不安視されているという事例がある。
　400万円は丁度30代の平均値近辺。
　物価が青天井に上がり続けるこのご時世を考えれば気持ちはわからないでもないが、世間の反応は高望みしすぎではという意見も一定数ある。
　実際、400万円では生活不安があるのかどうかはさておき、ただ一つ言えることはもはや年収250万円の男など相手にもされないという厳しい現実だ。
　まだ若い世代と言われる俺でも、さすがに今から高収入の仕事にありつけるはずもなく、今の内から生涯独身を考慮した人生設計をしていく必要があるだろう。
　その一方で政府は子育て世代の支援拡充に傾くばかり。
　そのための財源が社会保障費に上乗せされたせいで、今期夏のボーナスは実質減額になった。
　子供を作れない能無しは死ねってことか。
　落胆した俺をただ一つ喜ばせる楽しみは、無料の範囲で見られる動画鑑賞だった。
『いや～～ん』
　大胆に足を開くと同時に、翻るセーラー服のスカート。
　どこぞのコスプレマニアがアニメの制服を身にまとい、際どい演出を繰り返す。
　ほぼ運営サイトのポリシーに抵触しかねないその際どい動画は公開から二日目で視聴数八万。
　こんなコンテンツがネット上にゴロゴロ存在するのだから、文章力も専門知識もない俺のブログなど、誰が好んで読むだろう。
　自身の敗北を認めつつも、俺もそんな低俗な動画に満足してしまう、しょうもない一人だった。
「やべっ、もう抜ける・・・・・・」
　スマホを見ながら私室の床に寝そべって、シコシコ腰を振るのが休日の楽しみだ。
　使途のなくなった道具はどう使おうが、俺の勝手だろう。
　彼女とデートに行く金はないし、工面したとしても散財させられた挙句に他の高給取りに鞍替えされるのがおちだ。
　俺と同じ年収水準で彼女を繋ぎとめようとする全ての男性に忠告しておく。
　そのお金、今からでも自分のために使った方が幸せですよ。
「はぁ、畜生。変なこと考えたせいでピーク(?)が過ぎちまったじゃねえか」
　身体の火照りと下半身の膨らみが急に消沈した俺は、満足できず他の動画をおかずにしようと画面をスクロールさせる。
　自分の身体を売り物にした不細工ばかりが並ぶサムネイル画像の中に一枚だけ、他とは趣向の異なる一枚があった。
　アジア系と思われる黒髪の美女がこちらに向かって微笑んでいる。
　モデルのような均整の取れたスタイルと、そのラインを余すことなく引き立てるフィットした衣装。
　男が興奮するのは、まさにこう言う美女だった。
　性欲の赴くままに、俺は動画を再生する。
　その瞬間が俺の人生を大きく変える結果に繋がることなど、この時は考えてもいなかった。