私、事務ですけど?

フルーツパフェ

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こんなプログラムで!

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 次の文はプログラムの開始点となるメイン関数の定義文。
 さすがにここは問題なし。
 だが寺内君の厳しい視線は次の行で止まった。
「ここ、ループが必要です」
「ループって、序盤から?」
「ええ、ここに無限ループを作る必要があります」
「無限ループ??」
 普通、プログラムを作る時は最初に行う処理を書いておいてそこからループを必要に応じて作るのが普通だ。
 それもループは必ず終わるのが普通で、無限ループとは本来プログラムに作ってはならないのが常識だ。
 そうしないと、パソコンの画面とずっと睨めっこになってしまうのだから。
「マイコンの世界ではプログラムは無限ループにするのが普通なんですよ。本当に、パソコン向けのプログラムしか作ったことがないんですか?」
「はい・・・・・・」
「ちなみに、プログラムが終了するようになっていると、機械が制御不能になります。それこそ本物のデストロイモードですよ」
「わかった・・・・・・そういえば、LEDを青から赤に変えるって、そんなことできるの?」
 私はずっと抱えていた疑問をぶつけてみる。LEDとは以前にノーベル賞でも話題になった発光ダイオードという電子部品だ。電気を流すとそのエネルギーが光に変わって発光する仕組みで、つい最近まで青い光を出すタイプが発明されたのだとか。その位の知識は私にもあり、だとするとLEDの色を青から赤に変えるなんて芸当は土台無理な話なんじゃないかと思っていた。
「出来ますよ」
「ええ?」
「ただし、特殊なタイプのLEDで、いわゆるフルカラーLEDが必要です」
「フルカラーLED?」
「単色のLEDでは電気の入り口と出口の二つの電極しかありませんが、フルカラーLEDには赤、青、緑、それぞれの電極が用意されています。この三色さえそろえば、光の三原色でどんな色にも光ります」
「・・・・・・私、勉強不足のくせに自分の常識だけで出来る、出来ないを決めつけてた」
「それに気付いただけ、優秀な方じゃないですかね?」
 寺内君はどこまでも優しくて、どこまでも現実的だった。
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