私、事務ですけど?

フルーツパフェ

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こんなプログラムで!

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 寺内君の言っている意味が一瞬、わからなかった。
 確かにコンパイラには色々な種類があるみたいだけど、同じプログラムをコンパイルすれば同じ結果が出力されるはずじゃないのか。
 機械って、そもそもそういうものじゃなかろうか。
「ど、どういうこと?」
「いいですか? コンパイルがC言語で書いたプログラムを翻訳するソフトウェアってことはわかりますよね?」
「うん・・・・・・」
「最終的に何に変換するか、知っていますか?」
「マイコンが読み込めるコード、機械語って言うんだっけ?」
「その通りです。だから、コンパイラはマイコンに適合したソフトをそもそも選ばなければならないのです」
「え? 機械語って、全部同じじゃないの? 結局は0と1のデータなのに!?」
「実態は0と1ですが、当然マイコンの種類によって命令とコードの対応は違います。メーカー別とか、マイコンの種類によっても」
「じゃあ、私の選んだコンパイラはそもそもこれのマイコンのとは違うのを使っていたから?」
「だから読み込ませても何も起きなかったんですよ。普通はエラーが出るんですけど、なぜか偶然上手く行くなんてことがあるもんなんですね」
「・・・・・・今までの私の苦労が」
「とにかくこのマイコンに適合したコンパイラの入手から始めましょう。実はこのマイコンメーカーは、インターネット上でコンパイラを無償配布しているんです」
 そういうわけで私はまず、コンパイラソフトの導入からスタートした。
 さっきの話題に上った統合開発環境というのはコンパイラを含めたソフトウェア開発のお役立ちツール集のようなもので、プログラムのコードやコンパイル、それにテストまでできてしまうという。
 ようやく私は、スタート地点に立った気がした。
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