私、事務ですけど?

フルーツパフェ

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苛烈なる転職活動

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 プログラミングが出来る。
 一応、VBAは使えるのだから嘘ではない。
 今から五十年以上も前のこと、ダイセクトラという学者が全てのプログラムは構造化定理によって設計できるという法則を数学的に証明していた。
 構造化定理とは、プログラムのアルゴリズムを順接、条件分岐、繰り返しの3パターンだけで表現する方法だ。
 要するに、作業の順番がわかって、状況に応じた判断ができて、条件が満たされるまで何度でも作業を繰り返す頭さえあれば、それでプログラミングが出来てしまうということだ。
 VBAにもまた、構造化定理に対応した命令コマンドが搭載されていて、それを使いこなせるのだから私にもプログラミングが出来る、と言い切ってもよいだろう。
「本当に、プログラム作れるの?」
「ええ、まあ・・・・・・VBAくらいですけど」
 嘘は言いたくないから、ちゃんと事実を添えておく。
 私にとってはそうでも、一流のエンジニアから見れば結局私は事務レベルのことしかできない人間だと思われるだろう。
 この会社だって、基盤に読み込ませるソフトウェアを自作しているなら、その位の技術など特に需要はないのだろう。
 だったらそれはそれでいいのだ。
 結局私は、このまま仕事が見つからずに失業保険を食いつぶす以外に道はないのだ。
 それがなくなった後のことなど、今はまだ考えられる状況にはない。
 実際、その後の社長は私のプログラミング技能のことを深堀しなかった。
 プログラミングが出来るって、何だエクセルのVBAか。
 そう思っているに違いなかった。
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