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2章: 騎士団長の娘

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 イベルナはよほどの恐怖心を覚えたのか、気絶した時の表情は筆舌に尽くしがたいほど無様だった。
「あれだけ威張っていて、この程度か。まあ、こいつ等はそんなに成績が良くないから当然か」
「あの、あなたは一体何者なのですか?」
「理事長の命を受け、特別授業で冒険者に不適格な学生を篩に書けることになった、ただの用務員さ」
「不適格な学生・・・・・・ということは私もその一人でしょうか?」
「いや、君には彼女、イベルナの本心を確かめるために敢えて参加してもらった。実を言うと、君を学院から落第させるつもりは最初からなかったよ」
「そうですか・・・・・・この前のような話をしたからてっきり」
「その話のことだけど、君のお父さんは勘当のこと、考え直してくれるみたいだよ」
「本当ですか?」
 アシェリーの瞳に明るい光が射した。
「帰ったら理事長に確かめてみるといい。大丈夫、皆君の夢を邪魔する者は誰もいない。それにもっと自信を持っていい。君の素養は中々のものだし、皆も内心君の実力に一目置いているんだ。君は、君自身の道を進んでいいんだ。どうする? まだ退学のこと、考えているのかい?」
「・・・・・・私は、なりたいです。子供の頃からずっと憧れていた冒険者に!」
「だったら決まりだ。さて、このダンジョンを出たいところだが、僕は気絶させた彼女達を運ばないといけない。君は先に戻って行ってくれるかい?」
 イシルの仕事は不適格な学生をお仕置きすることに加え、彼らが失神した場合に入口まで運び出すことまでが仕事だった。
 意識朦朧とした学生達がダンジョンの入り口近くで力尽きたところを救助される、そんなシナリオで片付けるためだ。
「いえ、私も手伝います」
「しかし」
 モンスターこそいないとはいえ、このダンジョンも場所によっては足場が不安定だ。
 意識のない人間一人を担いで歩き回るのはよほど体力が必要だ。
「いくらあなただって、三人も運べないでしょう? 後の二人がどこでノビているかは知りませんので、私はイベルナを運びます」
「そうか、助かる・・・・・・それにしてもこの女、あっさり失神しやがったが、失禁だけしなかったのはせめてもの救いだったな」
「・・・・・・しないと、思いますよ。あなたが来る少し前にその辺でしていたようですから」
「あ、そういうことか」
「これでもちゃんと、負傷者の運び方は教えてもらっていますから。こうして、片手を肩にかけて、もう片方の手を股に通して、肩に担げばいいんですよね? あれ、何か違いました?」
 

 アシェリーのやり方は全くもって正しいのだが、よくよく考えれば彼らはミニスカートだった。
 股に手を通したことでスカートはめくれ上がり、おまけに肩で担がれて尻を上げる格好になるから、当然あられもない姿をさらすことになる。
「いや、何でもない。それでいい」
――ダンジョン攻略にあんなエロい下着付けてくるんだから自業自得だよな
 イシルは視線の置き場に苦労しつつ、残り二人の取り巻きを両肩に担ぎ上げた。
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