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1章: 学院内権力組織
疑念
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「そういえば、そうでしたね」
ティラは今思い出してきょとんとする。
「そうですよ。アハハハハ。大体、風魔法でパンチラして見物料に銀貨一枚取り立てるくらいなら、魔導書の購入資金に充てますよ。アハハハハ」
「そ、そうなのです! そんなことで銀貨一枚取り立てたら、今頃この辺の魔導書全部を変えてしまうのです! キャハハハ」
「アハハハハ!」
「キャハハハ!」
「アハハ」
「キャハハ」
「アハ・・・・・・」
「キャハ・・・・・・」
「・・・・・・なぜ、知っているのですか? 見物料が銀貨一枚だってこと」
「あ・・・・・・」
二人の間に気まずい空気が流れる。
「いや、その辺が相場かなって思ってさ!」
「そんなことないのです! 全然ぼったくりなのです!! 大体、相場とかあるんですか!」
「いや、それは・・・・・・」
「さては、あなたも見物をしていた客の一人ですか!?」
「え、そっち?」
「まさか、あなたがこんなふざけた商売を?」
「え? あっ!!」
シュロムは何とかティラを言いくるめようとしたが、あれこれ言い訳を考えているうちにそよ風が吹く。
「わっ!」
まくりあがったスカートを何とか抑えたが、クロッチの部分が少し見えた。
顔を上げたティラはいよいよ激昂していた。
「違う! 今のは完全な自然現象だ! 大体お前はな、無防備すぎるんだよ! 今日だけで何回パンチラしているんだよ! 男にしてみれば平気でパンチラし過ぎる女は逆に評価点が低いぞ」
「・・・・・・もう、許さないのです」
鬼気迫る声を出したティラは拳を握りしめる。これは、魔法が出る。
「待て、待て! いくら統制委員でもこれは横暴じゃないか?」
そもそもグラン=アカデミーの学生に学外での魔法の使用は認められていない。
「そんなことないのです。スカートめくりで荒稼ぎするド変態をぶちのめすのに理由なんか必要ないのです! それに、統制委員においては学外での魔法の使用が特例的に認められているのです」
「そんなの一方的じゃないかよ!」
「問答無用! 覚悟するのです!」
握りしめたティラの拳から沸々と紅蓮の炎が湧き上がる。
――炎系の魔法か?
「本気――なんだな?」
シュロムも風魔法で応戦しなければ安全は保障できないが、こちら側の魔法は認められていない。
よって規則違反として懲罰理由になり得るが、既に統制委員に目を付けられている身だ。
せめて身の安全だけでも守るしかなかった。
「待ちなさい」
一触即発の状況を止めたのは魔法ではなく、一人の言葉だった。
長い銀髪を靡かせた少女が優雅な足取りで二人の間に入る。整った目鼻立ちには魔導士にふさわしい知的な印象が醸し出され、この非常事態を前にしても冷静な表情は少しも崩れてはいない。ティラよりもスラリと背が高く、同じグラン=アカデミーの制服でも漆黒の色調に染められた制服。それに袖を通すことが出来るのは、グラン=アカデミーの中で絶大な権力を持つただ一人のみ。
「い、委員長!?」
自分が魔法を向けている先が統制委員の長、エナメス=グリーギルだと知ったティラは炎の拳を慌てて引っ込めた。
ティラは今思い出してきょとんとする。
「そうですよ。アハハハハ。大体、風魔法でパンチラして見物料に銀貨一枚取り立てるくらいなら、魔導書の購入資金に充てますよ。アハハハハ」
「そ、そうなのです! そんなことで銀貨一枚取り立てたら、今頃この辺の魔導書全部を変えてしまうのです! キャハハハ」
「アハハハハ!」
「キャハハハ!」
「アハハ」
「キャハハ」
「アハ・・・・・・」
「キャハ・・・・・・」
「・・・・・・なぜ、知っているのですか? 見物料が銀貨一枚だってこと」
「あ・・・・・・」
二人の間に気まずい空気が流れる。
「いや、その辺が相場かなって思ってさ!」
「そんなことないのです! 全然ぼったくりなのです!! 大体、相場とかあるんですか!」
「いや、それは・・・・・・」
「さては、あなたも見物をしていた客の一人ですか!?」
「え、そっち?」
「まさか、あなたがこんなふざけた商売を?」
「え? あっ!!」
シュロムは何とかティラを言いくるめようとしたが、あれこれ言い訳を考えているうちにそよ風が吹く。
「わっ!」
まくりあがったスカートを何とか抑えたが、クロッチの部分が少し見えた。
顔を上げたティラはいよいよ激昂していた。
「違う! 今のは完全な自然現象だ! 大体お前はな、無防備すぎるんだよ! 今日だけで何回パンチラしているんだよ! 男にしてみれば平気でパンチラし過ぎる女は逆に評価点が低いぞ」
「・・・・・・もう、許さないのです」
鬼気迫る声を出したティラは拳を握りしめる。これは、魔法が出る。
「待て、待て! いくら統制委員でもこれは横暴じゃないか?」
そもそもグラン=アカデミーの学生に学外での魔法の使用は認められていない。
「そんなことないのです。スカートめくりで荒稼ぎするド変態をぶちのめすのに理由なんか必要ないのです! それに、統制委員においては学外での魔法の使用が特例的に認められているのです」
「そんなの一方的じゃないかよ!」
「問答無用! 覚悟するのです!」
握りしめたティラの拳から沸々と紅蓮の炎が湧き上がる。
――炎系の魔法か?
「本気――なんだな?」
シュロムも風魔法で応戦しなければ安全は保障できないが、こちら側の魔法は認められていない。
よって規則違反として懲罰理由になり得るが、既に統制委員に目を付けられている身だ。
せめて身の安全だけでも守るしかなかった。
「待ちなさい」
一触即発の状況を止めたのは魔法ではなく、一人の言葉だった。
長い銀髪を靡かせた少女が優雅な足取りで二人の間に入る。整った目鼻立ちには魔導士にふさわしい知的な印象が醸し出され、この非常事態を前にしても冷静な表情は少しも崩れてはいない。ティラよりもスラリと背が高く、同じグラン=アカデミーの制服でも漆黒の色調に染められた制服。それに袖を通すことが出来るのは、グラン=アカデミーの中で絶大な権力を持つただ一人のみ。
「い、委員長!?」
自分が魔法を向けている先が統制委員の長、エナメス=グリーギルだと知ったティラは炎の拳を慌てて引っ込めた。
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