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5章: 力なき王族

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 ヒンデスの貧しさは想像以上。
 それが潜入したレムダの感想だった。
 今回は単身での潜入だ。
 いざという時に頼りになるシアやフェリス達がいないのは心許ないが、元々戦争をしに来たわけではないので、上手くすれば一人で十分だった。
 国で一番賑わう市場も数えきれるほどの露天商が寄せ集まっているだけで、平民の住まいは長棟の共同住宅らしい。
 そんな中で、一番人が集まる場所では煙突が黒煙を上げている。
 突貫で竣工したと思われる鍜治場だ。
 作っているのは粗鋼の板だったが、それが剣や鎧の一部になることは想像がついた。
「おい、アンタ」
 鍜治場をうろついていると、老人から声を掛けられた。
「ここで働きたいのか?」
「いえ、少し見ていただけで」
「何だ。重税に耐えかねて、仕事を探していたんじゃなかったのか」
「重税?」
「ほれ、国王が特需だの何だのと言って、国中から鍜治場を動かす金を集めているだろう? 全く、ただでさえ貧しい国をこれ以上搾取するとは」
「そんなに金を集めてまで、一体何で戦争を?」
「何でも、今回は勝てる算段があるらしい。臣下にしてみれば半信半疑だが、少なくとも国王は本気だ」
「お金、なるほどね」
 レムダは含み笑いをした。
 この状況を脱却するための策を、レムダは既に思いついていた。
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