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5章: 力なき王族
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司令伝達当番の後輩からレムダの下に一通の通知が届けられたのは午後のことだった。
部屋には丁度、フェリスとアイシャも同席していた。
別段、彼らを呼んだわけではない。
本当ならばいつものようにあれこれやりたいことはあったのに、用もなく押し掛けた彼らの対応に手を焼く始末だ。
「こんな時に指令書?」
やや薄桃色の封筒を見て、フェリスが眉をしかめる。
この封筒には特に重大な伝達事項が書かれているのが常套だった。
「何て書いてあるの?」
「配属先が・・・・・・変わるらしい」
「何ですって?」
「別に驚くことじゃないだろ?」
「そうは言っても! 学長の仰る通り東方は花道だったのですよ! それが土壇場で変えられるなんて、おかしいとは思いませんか?」
「いや、元々忙しくてこっちの仕事ができないのもあれだったし。まあ、他国の話が聞けないのは少し残念だけど」
「少しどころじゃないよ! 一体どうしてこんなことになるのさ!」
アイシャまでが立ち上る。
のんびり構えているのは当事者たるレムダだけだ。
「私、学長に抗議してきますわ!」
「いや、そんなことしなくても」
「ボクも行く! 決定を撤回しないと、レムダの作った火薬でここを爆破するって脅してくる」
「それだけはやめて!!」
こうしてレムダは引きずられるようにして、学長の下に向かうこととなった。
「学長ならいないよ」
教官の一人が執務を取りながらフェリス達をあしらった。
「いつお戻りになるのですか?」
「さあて、二日前にアウグリス王国に向かったから、今ようやく国境に近づいたところかな?」
「二日前?」
アイシャが封筒を改める。
決定が告知された日付は今日だ。
「ではこの指令書は学長からではないのですか?」
「ああ、その指令所は確か、学長不在の緊急会議で決定されたものだよ」
「不在で緊急会議? なにゆえに?」
「何でも、今期の卒業試験の成績に不正があるとかで、席次の入れ替わりがあったらしい」
「それで僕が外された、というわけですか?」
「ああ、何分、どこぞの将校の御曹司が告発したから、学校側としても突っぱねるわけにもいかなくてさ」
「さてはアイツ・・・・・・」
フェリスが指令書を握りつぶす。
「フェリス、もういいよ」
レムダが間に割って入った。
部屋には丁度、フェリスとアイシャも同席していた。
別段、彼らを呼んだわけではない。
本当ならばいつものようにあれこれやりたいことはあったのに、用もなく押し掛けた彼らの対応に手を焼く始末だ。
「こんな時に指令書?」
やや薄桃色の封筒を見て、フェリスが眉をしかめる。
この封筒には特に重大な伝達事項が書かれているのが常套だった。
「何て書いてあるの?」
「配属先が・・・・・・変わるらしい」
「何ですって?」
「別に驚くことじゃないだろ?」
「そうは言っても! 学長の仰る通り東方は花道だったのですよ! それが土壇場で変えられるなんて、おかしいとは思いませんか?」
「いや、元々忙しくてこっちの仕事ができないのもあれだったし。まあ、他国の話が聞けないのは少し残念だけど」
「少しどころじゃないよ! 一体どうしてこんなことになるのさ!」
アイシャまでが立ち上る。
のんびり構えているのは当事者たるレムダだけだ。
「私、学長に抗議してきますわ!」
「いや、そんなことしなくても」
「ボクも行く! 決定を撤回しないと、レムダの作った火薬でここを爆破するって脅してくる」
「それだけはやめて!!」
こうしてレムダは引きずられるようにして、学長の下に向かうこととなった。
「学長ならいないよ」
教官の一人が執務を取りながらフェリス達をあしらった。
「いつお戻りになるのですか?」
「さあて、二日前にアウグリス王国に向かったから、今ようやく国境に近づいたところかな?」
「二日前?」
アイシャが封筒を改める。
決定が告知された日付は今日だ。
「ではこの指令書は学長からではないのですか?」
「ああ、その指令所は確か、学長不在の緊急会議で決定されたものだよ」
「不在で緊急会議? なにゆえに?」
「何でも、今期の卒業試験の成績に不正があるとかで、席次の入れ替わりがあったらしい」
「それで僕が外された、というわけですか?」
「ああ、何分、どこぞの将校の御曹司が告発したから、学校側としても突っぱねるわけにもいかなくてさ」
「さてはアイツ・・・・・・」
フェリスが指令書を握りつぶす。
「フェリス、もういいよ」
レムダが間に割って入った。
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