万能知識チートの軍師は無血連勝してきましたが無能として解任されました

4章: 血縁なき絆

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「姉だったら猶更じゃないか。どうしてそんなことができるんだ？」
「仕方ないよ。魔導科は、魔力が全てなんだもの」
「それでも、君は十分に魔法が使えるじゃないか。僕の部屋であれだけ」
「あんなの、大したことないよ。それに、ボクは魔力が小さい分、それを凝縮して何とか形を留めているんだ」
「そんなことができるのか？」
「うん、魔力ってのは凝縮すれば凝縮する程密度が濃くなる性質があるからね。もっとも、効果の範囲もそれだけ狭まってしまって、実質的に意味がなくなるけど・・・・・・どうかしたの？」
「いや、ちょっと思いついたことが」
「結局、魔導科では魔力の高い人間が一番偉いんだ。だからさ、ボクは他の生き方を選ぶか、君以外の魔導科に無理やり嫁がされるしか、選択肢はないんだ。おじさん、コーヒーありがとう」
「・・・・・・気を付けて帰れよ」
　アイシャは寂しそうに笑うと寒くなった夜の街へと姿を消した。
「・・・・・・何を考えているの？」
　フェリスがその夜、消灯時間前にレムダの部屋を訪れた時、レムダは木の棒を回し続けていた。
「それは？」
「ああ、これ？　アイシャさんの役に立てばと思って」
　中には黒い粉末が入っている。
　フェリスにはそれが何か、正確に言い当てることはできないだろう。
「もしかして、ご自身と重ねているのですか？」
「何の話？」
「あなたもゲオルグ家の人間として、武名がそれほどでないということ。でもあなたには――」
「違うよ。僕はただ、人の価値を簡単に見定める連中が許せないだけだから」
「だからって争いは」
「別に正面からやり合おうってわけじゃない。少し脅かしてやるだけだ」
　レムダはその後もひたすらに木の棒を回し続ける。
　その音を子守唄に、シアは眠っていた。