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4章: 血縁なき絆

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「違います! 僕はこの人とは、そういう関係じゃなくて!」
 その時、アイシャがベッドを抜け出て戦闘態勢に身構える。
「またしても他の女。ダーリンを横取りにするつもりね!」
「ダーリン? 横取り?」
 フェリスの眉が引きつった。蔑むような目つきは、なぜかレムダに向けられている。
「違う!それは勝手にこの子がそう言っているだけで!」
「実は嫁とか、そういうオチではありませんよね?」
「断じてありません!」
「いいでしょう。どこの泥棒猫かは知りませんが、おいたが過ぎた悪い子には、お仕置きが必要ですね」
 フェリスはレイピアをゆっくりと抜く。
「あの、僕の部屋で何を始めるつもり?」
「へぇ。たかが普通科のくせに、ボクに勝てるとでも思っているの?」
「普通科? なるほど、そういうことですか。ではっ! 容赦なしでいいですね!」
 フェリスがレイピアを突き立て、真っ直ぐアイシャを狙った。まるで飛ぶ矢のごとく、対処の難しい攻撃だ。
 実戦と同じ動きで、全く手加減はない。
 このままでは大惨事に、とレムダが危惧すると。
「防げ!」
 アイシャは両腕で丸のような図形を描く。
 見た目には何もないが、まるでそこに盾でもあるかのように、衝撃がフェリスの突きを弾いた。
 弾きはしたものの、薄氷が砕けるような音が鳴る。
「あら、防御魔法といってもその程度ですか?」
 余裕に満ちたフェリスの笑みを目の当たりにして、アイシャは奥歯を嚙んだ。
「何を、まだだ! お前も眠れ!」
 さっきと同じ薄桃色の霞がフェリスを包み込む。
 しかしフェリスは何ともなかった。
 霞は何の効果ももたらさず、空しく霧散する。
「ふふふ、この程度の魔法なら、対魔用の魔導器で十分ですわ」
「ちっ!」
「あなた、魔法が使えると言ってもその程度なのですか? これではまるで――」
「言うな! 今日はちょっと調子が悪いだけだ! 次は吠え面搔かせてやるからな!」
 アイシャは口汚く罵るなり、窓の外に飛び出した。
「何だったんだ? アイツは・・・・・・」
「躾のなっていない泥棒猫ですよ」
 フェリスは関心のなさそうな態度で返した。

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