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3章: 威厳なき名家
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不幸中の幸いというか、レムダ達が目指していた村はかろうじて存続していた。
村長と思しき老人が自ら出迎える。
「こんな辺境の地まで、よくぞお越しくださいました」
「いえ、こちらこそお世話になります」
「何もない村ですが、どうぞゆっくりお過ごしくださいませ」
本当に、何もなかった。
シアと出会った村も寂れてはいたものの、この村の衰退ぶりはそれ以上だ。
そもそも村というより、あばら屋が数軒、街道沿いに寄せ集まっただけの集落。
一体どうやって生計を立てているのか、村には畑はおろか、食物貯蔵庫や工房など、産業の活気を裏付ける施設が一つもない。
外敵を退ける柵さえなく、動物までもが素通りするありさまだ。
帝国軍の薄情ぶりには辟易していたが、確かにこの地を奪ったところで得などないだろう。
「あの、一つよろしいですか?」
これから宿営地に案内される前に、フェリスが問いかけた。
「何でしょう?」
「ここを守備している駐屯地の指揮官にご挨拶したいのですが?」
――いや、だからその守備隊がいないんだって。ここは見放された土地なんだって
心の中で指摘するレムダの胸に、再びフェリスへの疑念が宿る。
「おりませんが?」
「そんなはずないでしょう? ここはれっきとした帝国の領土なのですよ?」
「いえ、このような土地、もはや帝国には相手にされておりませぬ。他の国も目もくれぬ土地故、今は無法者の吹き溜まりと化しております」
「そう、だったのですか」
――あちゃぁ!! この女、やっぱり知らないでこんな所に来ちゃったのかよ!
呆然と立ち尽くすレムダの袖を、シアが何度も引いた。
「レムダ様。お腹、空いた」
ごめんよ、シア。この勘違いフェリスのせいで、お前にひもじい思いをさせることになりそうだ。
村長と思しき老人が自ら出迎える。
「こんな辺境の地まで、よくぞお越しくださいました」
「いえ、こちらこそお世話になります」
「何もない村ですが、どうぞゆっくりお過ごしくださいませ」
本当に、何もなかった。
シアと出会った村も寂れてはいたものの、この村の衰退ぶりはそれ以上だ。
そもそも村というより、あばら屋が数軒、街道沿いに寄せ集まっただけの集落。
一体どうやって生計を立てているのか、村には畑はおろか、食物貯蔵庫や工房など、産業の活気を裏付ける施設が一つもない。
外敵を退ける柵さえなく、動物までもが素通りするありさまだ。
帝国軍の薄情ぶりには辟易していたが、確かにこの地を奪ったところで得などないだろう。
「あの、一つよろしいですか?」
これから宿営地に案内される前に、フェリスが問いかけた。
「何でしょう?」
「ここを守備している駐屯地の指揮官にご挨拶したいのですが?」
――いや、だからその守備隊がいないんだって。ここは見放された土地なんだって
心の中で指摘するレムダの胸に、再びフェリスへの疑念が宿る。
「おりませんが?」
「そんなはずないでしょう? ここはれっきとした帝国の領土なのですよ?」
「いえ、このような土地、もはや帝国には相手にされておりませぬ。他の国も目もくれぬ土地故、今は無法者の吹き溜まりと化しております」
「そう、だったのですか」
――あちゃぁ!! この女、やっぱり知らないでこんな所に来ちゃったのかよ!
呆然と立ち尽くすレムダの袖を、シアが何度も引いた。
「レムダ様。お腹、空いた」
ごめんよ、シア。この勘違いフェリスのせいで、お前にひもじい思いをさせることになりそうだ。
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