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2章: 戦術なき軍師
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「どうしましたの? まだ剣を抜かないのですか?」
未だ鞘に収まったままのレムダの剣をフェリスは訝しげに見た。
「レムダ=ゲオルグ。もうすぐ執行の合図をするぞ?」
「ええ、どうぞ、お構いなく」
「一体どんな手を隠しているのかしら」
「さあて、どうでしょうね」
未だに余裕のレムダの表情を見て、さすがのフェリスも不安を隠しきれていない。
何せ相手は血塗られた一族と評されるゲオルグ家の人間だ。
武勇と魔法、それに戦術において卓越した才能の綺羅星を代々輩出し、戦いの申し子として繁栄した一族。
常人ならば剣を抜かないのは臆病風に吹かれたと一蹴されるところ、ゲオルグ家の人間がそれを成せば、裏に何か途轍もない大技が繰り出されるに違いないと恐れられる。
事実、フェリスはやや剣先を下に向け、防御にも転じやすい構えを取っている。
その時点で、あらかた彼女はレムダの策略に誘い込まれていた。
「両者――決闘開始!」
「いくぞ!!」
機先を制したのはレムダだった。
地面を蹴って大きく一歩を踏み出す。
大きく振った腕はまだ、剣の柄に至っていない。
待ち受けるフェリスはまだ動かない。
レムダの異様な戦術を恐れているのか。
あるいは肉薄されてなお、対処できる自負があるのか。
いずれにしても、レムダは先手さえ押さえればそれでよかった。
助走をつけた所で飛び上がり、鷹のごとく両腕を広げた。
まだ両者の間合いはまだあと五歩ほどある。
「その距離で、一体どんな技を!?」
常識的に考えれば剣の届く範囲ではない。
その状況で繰り出されるレムダの秘策に誰もが固唾をのんで見守る。
地面に降下したレムダは腰をかがめ、両手で地面を抑え、そのまま丸くうずくまる。
気が付けば、土下座の姿勢になっていた。
「すいませんでした~!! 僕の負けです!! 降参です!」
大理石の床に叩頭し、ホール内に声を響かせた。
「・・・・・・・・・・・・え?」
会場内が、一瞬にして白けた。
未だ鞘に収まったままのレムダの剣をフェリスは訝しげに見た。
「レムダ=ゲオルグ。もうすぐ執行の合図をするぞ?」
「ええ、どうぞ、お構いなく」
「一体どんな手を隠しているのかしら」
「さあて、どうでしょうね」
未だに余裕のレムダの表情を見て、さすがのフェリスも不安を隠しきれていない。
何せ相手は血塗られた一族と評されるゲオルグ家の人間だ。
武勇と魔法、それに戦術において卓越した才能の綺羅星を代々輩出し、戦いの申し子として繁栄した一族。
常人ならば剣を抜かないのは臆病風に吹かれたと一蹴されるところ、ゲオルグ家の人間がそれを成せば、裏に何か途轍もない大技が繰り出されるに違いないと恐れられる。
事実、フェリスはやや剣先を下に向け、防御にも転じやすい構えを取っている。
その時点で、あらかた彼女はレムダの策略に誘い込まれていた。
「両者――決闘開始!」
「いくぞ!!」
機先を制したのはレムダだった。
地面を蹴って大きく一歩を踏み出す。
大きく振った腕はまだ、剣の柄に至っていない。
待ち受けるフェリスはまだ動かない。
レムダの異様な戦術を恐れているのか。
あるいは肉薄されてなお、対処できる自負があるのか。
いずれにしても、レムダは先手さえ押さえればそれでよかった。
助走をつけた所で飛び上がり、鷹のごとく両腕を広げた。
まだ両者の間合いはまだあと五歩ほどある。
「その距離で、一体どんな技を!?」
常識的に考えれば剣の届く範囲ではない。
その状況で繰り出されるレムダの秘策に誰もが固唾をのんで見守る。
地面に降下したレムダは腰をかがめ、両手で地面を抑え、そのまま丸くうずくまる。
気が付けば、土下座の姿勢になっていた。
「すいませんでした~!! 僕の負けです!! 降参です!」
大理石の床に叩頭し、ホール内に声を響かせた。
「・・・・・・・・・・・・え?」
会場内が、一瞬にして白けた。
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