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2章: 戦術なき軍師

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「おい、レムダ様。夕食に行くんじゃないのか? 期待していいんだろ?」
「・・・・・・ほっといてくれ。どうしてこうなった?」
 万が一のためにと連れてきたシアがまさか決闘の原因になろうとは。
「考えても仕方ないだろ。困ったときは私が何とかする。そういう約束だったじゃないか」
「すまない、シア。このケースに至っては、君を決闘で戦わせるわけにはいかない」
「どうして?」
「どうしてもこうしてもないだろ! 君を侵したと思い込んで糾弾する少女に、僕が君を戦わせたら本当に屑野郎と思われるじゃないか!」
「・・・・・・じゃあ、レムダ様が戦うしかないな。でも、その剣で戦えるの?」
 知っての通り、レムダの剣はただの飾りだ。刀身はない。
 というより、剣があったところで事態が解決するわけではない。
 フェリス=トレスデン。
 確か女子学生はそう名乗った気がする。
 トレスデンと言えば、そこそこ武名のある家柄だと、父が話していたような。
 いや、同姓の別人という線ももちろん考えられる。
 ただ、自分もそうやってあのゲオルグ家の人間だったとは思われてこなかったのだ。
 まさかの偶然というものは常にレムダの傍にあるのだった。
「じゃあ、しょうがないな。ここはレムダ様とあの女が剣で決着をつけるしかないよ」
 シアは気楽な口調で呟いた。
「そうなったら十中八九、僕が負けるだろうね。シア、そうなったら君も失業だ」
「え~!! 私、まだここのご飯食べてないのに?」
「もちろんそうはさせないさ。一つ、いい考えがある」
 レムダは机に座り、引き出しを開いた。
「あった・・・・・・これだ」
 中を見て望みの品があるとわかり、絶望的な状況の中で微かに希望が見えてきた。

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