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2章: 戦術なき軍師
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「どなたか、いらっしゃいますか?」
ドア越しに若い娘の声がする。
一言で恍惚としてしまうような、品の良い声色だった。
「まずい! シア! 誰か来たぞ!」
「あ? 何の用だ?」
部屋の主でもない従者の声が、結果的に訪問客の入室を許可してしまった。
ゆっくりと開けられた扉から線の細い女子生徒の佇まいが現れる。
金髪の柔らかな髪を背中まで流し、色の白い肌が窓から差し込む日の光に輝いた。
薄桃色の唇は愛想よい笑みを浮かべている。
「丁度部屋がお隣になったものですから、ご挨拶にと・・・・・・あ」
にこやかな彼女の表情が凍り付いた。
主人のベッドの上で全裸状態のシアと、彼女が脱ぎ捨てた服に手を掛けるレムダ。
状況は誤解される方向であまりにわかりやすかった。
「な、な、な・・・・・・」
前身が震え、細く長い黒タイツに覆われた両足から幾分力が抜けている。
「違うんだ、これはその――」
「何て下劣な! 恥を知りなさい! この変態!!」
訪問した女子学生は顔を覆い隠すわけでも逃げ出すわけでもなく、果敢にも腰に佩いた得物を抜いた。
銀糸のようなレイピアの剣先がレムダを真っ直ぐ捉える。
「いくら貴族だからって、従者の少女を弄ぶなんて非礼は私が許しませんわ! こともあろうに初日からこんな衣類を脱がせるなど」
「違う! 僕は彼女に服を着せようとしただけだって!」
「な、何てこと! 既に事を成した後だったのですか!? あんな小さな子に!」
「どうしてそういう方向にばっかり誤解するかな? 君も相当破廉恥だよ」
「わっ、私を愚弄しますか! このっ!」
レイピアの剣先が風を切る。
目を閉ざしたレムダは顔面に柔らかな感触を覚えた。
「ん?」
足元には女子学生のものと思しき手袋が脱ぎ捨てられている。
つまり、古典的な決闘の申し込みである。
「明日、あなたに受けたこの屈辱、この私、フェリス=トレスデンが自らの手で払拭します!」
なるべくトラブルは避けたいレムダのささやかな願いは、初日のうちに潰えた。
ドア越しに若い娘の声がする。
一言で恍惚としてしまうような、品の良い声色だった。
「まずい! シア! 誰か来たぞ!」
「あ? 何の用だ?」
部屋の主でもない従者の声が、結果的に訪問客の入室を許可してしまった。
ゆっくりと開けられた扉から線の細い女子生徒の佇まいが現れる。
金髪の柔らかな髪を背中まで流し、色の白い肌が窓から差し込む日の光に輝いた。
薄桃色の唇は愛想よい笑みを浮かべている。
「丁度部屋がお隣になったものですから、ご挨拶にと・・・・・・あ」
にこやかな彼女の表情が凍り付いた。
主人のベッドの上で全裸状態のシアと、彼女が脱ぎ捨てた服に手を掛けるレムダ。
状況は誤解される方向であまりにわかりやすかった。
「な、な、な・・・・・・」
前身が震え、細く長い黒タイツに覆われた両足から幾分力が抜けている。
「違うんだ、これはその――」
「何て下劣な! 恥を知りなさい! この変態!!」
訪問した女子学生は顔を覆い隠すわけでも逃げ出すわけでもなく、果敢にも腰に佩いた得物を抜いた。
銀糸のようなレイピアの剣先がレムダを真っ直ぐ捉える。
「いくら貴族だからって、従者の少女を弄ぶなんて非礼は私が許しませんわ! こともあろうに初日からこんな衣類を脱がせるなど」
「違う! 僕は彼女に服を着せようとしただけだって!」
「な、何てこと! 既に事を成した後だったのですか!? あんな小さな子に!」
「どうしてそういう方向にばっかり誤解するかな? 君も相当破廉恥だよ」
「わっ、私を愚弄しますか! このっ!」
レイピアの剣先が風を切る。
目を閉ざしたレムダは顔面に柔らかな感触を覚えた。
「ん?」
足元には女子学生のものと思しき手袋が脱ぎ捨てられている。
つまり、古典的な決闘の申し込みである。
「明日、あなたに受けたこの屈辱、この私、フェリス=トレスデンが自らの手で払拭します!」
なるべくトラブルは避けたいレムダのささやかな願いは、初日のうちに潰えた。
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