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4章: 最後の防衛線を築くも

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「決して賊を中に入れてはなりません!」
 エルフ族長の身辺を警備する近衛兵が決死の覚悟を決めて俺に刃を向けている。
 既に外部からの増援を含めて防衛線は瓦解していた。
 ここで自分達が突破されればいよいよ族長を守る盾はなくなるということだ。
 そういえば最後の四天王、結局姿を現さなかったような。
 まだ奥に控えているのか、それともあそこでのびている連中の中に実は含まれていたとかいう落ちだろうか。
 いずれにしても他人様をパーティーから追放したくせに、自分達はこんなにも軟弱だったのかという事実に俺は拍子抜けしていた。
 俺を追い出したエルフもヒーラーだからこそ戦闘力は諮れていないものの、蓋を開けてみれば案外こんな雑魚だったのかもしれない。
 だからこそ、余計に腹が立った。
「うがぁ!! どいつもこいつも!!」
「ひ~~!!」
 竦みあがるエルフ共に、もはや俺の力を最大限に引き出す得物は必要ない。
 もう拳だけで片付けられる。
 腹に鉄拳をめり込ませ、うなじに手刀を浴びせれば一発で連中は気を失った。










 エルフ達は最終防衛線の構築に当たり、防衛線を二重に敷いていた。
 前衛を競り合わせているうちに後続組を遊撃部隊として展開させ、横腹を突くなり、消耗した戦闘員を補充するためだろう。
 だが俺を前にして、その役割は全くもって機能しなかった。
 後続部隊が展開する前に、前衛部隊が全滅したからだ。
 単に前衛部隊は無様な醜態をさらすことで、後衛部隊に俺の恐怖を知らしめる程度の存在でしかなかった。
「どうした? 次にぶっ飛ばされたい奴は?」
「・・・・・・た、助けて」
「あ?」
「お願いします! 私達が何をしたんですか! どうしてこんなひどい真似を」
「お前らの仲間を怨め。俺をパーティーから追放しなければ、里が殲滅させられることはなかった」
「・・・・・・じゃ、じゃあ、こうしましょう。そこで寝ている仲間は、あなたに全部差し出します。豚のように調教するなり、毎晩突きまくりで啼かせても構いません。だから、生き残っている私達だけは」
 それが近衛兵のセリフかよ。
 普段は気取っているエルフの誇りはどこに行った。
「足りないな」
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