武器屋の看板娘に転生したつもりでしたが、図らずも最強の剣士として戦うことになりそうです

3章: Happiness will be enjoyed when it is unequal.

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　気配を消しながら潜んでいたエリーが姿を現したのはそれから間もなくのことだった。
「あらら、やはりあなたはお人好しなのですね？」
　鋼鉄製の円盾を両断する切れ味を秘めながら、テラの身体にその刃を食いつかせなかったことを、エリーはまるで揶揄するように言った。
「すいません。ましてやこんなにも可愛らしい子ともなると、命の奪い合いなんて考えられなくて」
「そんなことを言っていると、そのうちにあなたがやられてしまいますわよ？」
「エリーさん？　私のことを心配してくれるのですか？」
「冗談！！　私はただ、仕返しする前にあなたにいなくなられるのが不都合なわけで」
　エリーは前言を完全否定するように語調を強めた。
「それにしても、皇太子殿下を巡って、皆がこんな躍起になるなんて」
「愛とは所詮、独占欲なのですよ」
「私にはわかりませんけど・・・・・・」
「あなたは本当に変わった子ですね。それなりに可愛いのだから、もっと自負なさってもいいと思いますけど？　そうでないと、先を越されてしまいますよ」
「誰に？」
「いえ、別に・・・・・・」
　エリーはなぜか、言葉を濁してテラの後始末を始めた。