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3章: Happiness will be enjoyed when it is unequal.
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日本刀をテラとは反対に、脇に構える。
「へえ、そう来るか」
切っ先を敢えて敵から遠ざけることで、自分の剣先のリーチを測れないようにする。
向こうが盾で武器を隠す以上、チハルもまた相手への情報を制限することで対等に立とうとした。
もっとも、向こうが突き進んでくれば不利なのはこちらだが。
「早く、斬りかかって来ないの?」
テラは不気味に笑いながら挑発を続ける。
チハルがどの方向から斬撃を入れるにしても、防ぎきる自信があるということか。
「来ないならこっちから!」
テラの円盾が上に傾いた。
露わになった向こう側から、突き立てられたショートソードが一直線に繰り出される。
防戦を示唆するように見せかけての先手攻撃。
テラは見かけによらず姑息な手段で戦うタイプらしい。
チハルは掬い上げるような斬撃で突きの一撃を跳ねのけた。
「まだだよ!」
テラはショートソードの軌道を変えず、代わりに円盾の外周を薙ぎ払うように振り回した。
よく見ると盾は外周が極めて薄くなっている。
あの盾の縁には刃と同等の切れ味があるということだ。
とび下がったチハルの前を、鋭利な盾が駆け抜ける。
その後ろにはショートソードの斬撃が続いていた。
テラは身を翻して盾を通過させた後、その勢いで斬撃を放っていたのだ。
二連撃に続いての三連撃。
これ以上下がれないチハルは日本刀で受け止める。
当然、次には円盾が攻撃に転じて来る。
腰を落とし、テラよりも更に視線を低く屈みこんだチハルは、両足を突き出してテラの身体を蹴り上げた。
蹴りそのものは円盾が防いだが、小柄な体格のテラは衝撃のエネルギーまで吸収しきれず、後ろに離れた。
「へえ、やるじゃん」
彼女のが感服する間に立ち上がったチハルは反撃に転じる。
盾を持った相手の防御力は侮れないが、テラに連撃の機会を与えないためには、攻め続けるしかなかった。
「へえ、そう来るか」
切っ先を敢えて敵から遠ざけることで、自分の剣先のリーチを測れないようにする。
向こうが盾で武器を隠す以上、チハルもまた相手への情報を制限することで対等に立とうとした。
もっとも、向こうが突き進んでくれば不利なのはこちらだが。
「早く、斬りかかって来ないの?」
テラは不気味に笑いながら挑発を続ける。
チハルがどの方向から斬撃を入れるにしても、防ぎきる自信があるということか。
「来ないならこっちから!」
テラの円盾が上に傾いた。
露わになった向こう側から、突き立てられたショートソードが一直線に繰り出される。
防戦を示唆するように見せかけての先手攻撃。
テラは見かけによらず姑息な手段で戦うタイプらしい。
チハルは掬い上げるような斬撃で突きの一撃を跳ねのけた。
「まだだよ!」
テラはショートソードの軌道を変えず、代わりに円盾の外周を薙ぎ払うように振り回した。
よく見ると盾は外周が極めて薄くなっている。
あの盾の縁には刃と同等の切れ味があるということだ。
とび下がったチハルの前を、鋭利な盾が駆け抜ける。
その後ろにはショートソードの斬撃が続いていた。
テラは身を翻して盾を通過させた後、その勢いで斬撃を放っていたのだ。
二連撃に続いての三連撃。
これ以上下がれないチハルは日本刀で受け止める。
当然、次には円盾が攻撃に転じて来る。
腰を落とし、テラよりも更に視線を低く屈みこんだチハルは、両足を突き出してテラの身体を蹴り上げた。
蹴りそのものは円盾が防いだが、小柄な体格のテラは衝撃のエネルギーまで吸収しきれず、後ろに離れた。
「へえ、やるじゃん」
彼女のが感服する間に立ち上がったチハルは反撃に転じる。
盾を持った相手の防御力は侮れないが、テラに連撃の機会を与えないためには、攻め続けるしかなかった。
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