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3章: Happiness will be enjoyed when it is unequal.

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 夕刻、陽が沈みかけた町で、大通りに呼びかけの声がある。
「さあ、寄ってらっしゃい! 見てらっしゃい!! アリーナイベントの開催だ! 今日の目玉は怪力魔人マルデュの一騎打ちだ!」
 その日は週三日のアリーナの解禁日。
 聞きつけた黒外套の人物は、その声に誘われるようにして看板が示す方向へと向かう。
 外套の下に隠した武器と共に。
 路地に入り、目立たない階段を下りてアリーナと書かれた扉を開く。
 得物は既に抜いていた。
 扉を閉めると同時に、これから対戦に臨む力士や剣闘士をまとめて片付けてしまおうと、外套を脱ぎ捨てる。
「さあ、来てやったぞ! 違法操業者ども! 死にたい奴からかかってこい!」
 気炎を吐きながら辺りを見回すが、手応えのありそうな標的は見当たらない。
 それどころか、掛け金を投じているはずであろう見物客の姿もない。
 さっきは確かに開催を宣伝していたはずなのに、なぜ誰もいないのか。
 たった一人の訪問客であるテラ=グレミアは困惑しながら置かれている備品を蹴り倒した。
「どこへ行ったんだよぉ!!」
 癇癪を起こす彼女はその時、奥の方で動く影を見つけた。
 さては摘発を恐れて逃げ遅れた奴がまだ残っていたか。
 テラは躊躇せずに追いかけた。
 脚力には自信のある彼女だが、闘技場に来た辺りで見つけたはずの影は見当たらない。
「どこへ行った?」
 テラの背後で、彼女が今しがた潜った入り口の鉄格子が降ろされる。
「おい! ボクをここから出せ! 王宮の親衛隊だぞ!」
「でしたら、法と規則に則った権限行使をするべきでしたね」
 諫める言葉にテラは振り返る。
 日本刀を抜き放ったチハルが彼女と対局するように立っていた。
「お前・・・・・・親衛隊がどうしてここに?」
「それはこちらが聞きたいこと。あなたには隊員への暴行容疑、及び不当な市民への弾圧容疑が掛けられています」
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