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3章: Happiness will be enjoyed when it is unequal.

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「間違いない! 青のベストに緑のスカートだった!」
「ていうか、そいつら絶対仲間だろ!!」
「くそ、仇を取ってやる!」
 いつの間にか剣呑な雰囲気となり、チハル達の周りは囲まれた。
「待ちやがれ! この子らは俺が昔からよく知る奴だ。わけあって王都で働いているが、そんなことをするはずがねえ!」
 マルデュの言葉一つで、その場は収まった。
 よほど信頼されている者のなせる業だ。
「あの・・・・・・アリーナを襲ったのが親衛隊の軍服だったということは気になります。もしかしたら、私もお手伝いできるかもしれません」
「チハル? これは俺達の問題で・・・・・・」
「マルデュさんのアリーナが出来なくなれば、ウチの店も困りますから」
「すまない」
「それで、襲ったのは何人ですか?」
「・・・・・・一人だ」
「何? 親衛隊って、全員若い娘って話だろ? お前ら、小娘一人にやられたってのか?」
「・・・・・・そ、そうなんだ」
「その人って、特徴は何かありますか?」
「えっと、三つ編みの髪で・・・・・・何というか破天荒で」
「それじゃわからないよ。もっと、この人だってわかる特徴はないの?」
 アンリも思い当たりがないか考えてくれているようだ。
「あるといえば、ある」
「それは何ですか?」
「その・・・・・・・すごく・・・・・・」
「エ? ソンナコトッテアル?」
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