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3章: Happiness will be enjoyed when it is unequal.
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外は晴天だというのに、地下室は暗く、湿っていた。
窓もない四角形の部屋の真ん中に、先日のサナの一件で捕縛された隊員の一人が椅子に縛り付けられている。
「さっさと白状なさい。そうすれば楽になれるわよ」
エリーが誘惑しようとも、敵愾心をむき出しにした隊員は沈黙を貫いた。
「本当に、しぶといわね」
業を煮やしたエリーはバトルアックスの刃を突き付ける。
斧の大きな刃が至近距離で鈍く光る。
恐怖に引きつった隊員の股下から、小水が漏れた。
「あらあ、お漏らしなんかしちゃって。強情を張ったせいね」
「違うわっ! さっきからずっとこの部屋に閉じ込められてトイレに行けなかったからよ!」
「あなたがだんまりだからよ。ここを出る方法は二つだけ。全てを話すか、秘密を墓場まで持っていくか」
「殺すならさっさと殺しなさいよ!! うぅ・・・・・・ひくっ」
泣きじゃくりながらも、尋問は全然進まなかった。
「ああ、そう。いいわ。なら!!」
エリーが斧を振り被る。
その下で隊員は覚悟を決めて目をつぶる。
「待って下さい!」
チハルの声で、斧は止まった。
「何? 私もう、コイツには付き合ってられないんだけど。それにコイツ、もうのびているわよ。このまま楽に天国に送ってあげた方が情けじゃないの?」
「今回捕縛した隊員は、他にもいますよね?」
「いるけど・・・・・先に尋問した二人はもう、放心状態よ。精神的にやわだったんでしょうね」
「私に考えがあります」
チハルは尋問を進めるための方策をエリーに打ち明けた。
窓もない四角形の部屋の真ん中に、先日のサナの一件で捕縛された隊員の一人が椅子に縛り付けられている。
「さっさと白状なさい。そうすれば楽になれるわよ」
エリーが誘惑しようとも、敵愾心をむき出しにした隊員は沈黙を貫いた。
「本当に、しぶといわね」
業を煮やしたエリーはバトルアックスの刃を突き付ける。
斧の大きな刃が至近距離で鈍く光る。
恐怖に引きつった隊員の股下から、小水が漏れた。
「あらあ、お漏らしなんかしちゃって。強情を張ったせいね」
「違うわっ! さっきからずっとこの部屋に閉じ込められてトイレに行けなかったからよ!」
「あなたがだんまりだからよ。ここを出る方法は二つだけ。全てを話すか、秘密を墓場まで持っていくか」
「殺すならさっさと殺しなさいよ!! うぅ・・・・・・ひくっ」
泣きじゃくりながらも、尋問は全然進まなかった。
「ああ、そう。いいわ。なら!!」
エリーが斧を振り被る。
その下で隊員は覚悟を決めて目をつぶる。
「待って下さい!」
チハルの声で、斧は止まった。
「何? 私もう、コイツには付き合ってられないんだけど。それにコイツ、もうのびているわよ。このまま楽に天国に送ってあげた方が情けじゃないの?」
「今回捕縛した隊員は、他にもいますよね?」
「いるけど・・・・・先に尋問した二人はもう、放心状態よ。精神的にやわだったんでしょうね」
「私に考えがあります」
チハルは尋問を進めるための方策をエリーに打ち明けた。
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