武器屋の看板娘に転生したつもりでしたが、図らずも最強の剣士として戦うことになりそうです

2章: Aman loves someone not by him but in his mind.

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「私じゃありません！　サナさんが大事にしているものを、簡単に奪えるわけないでしょ！」
「じゃあ、どうしてディオラは出てこないの？　これだけ探したのに」
「こんなことは止めてもう一度探しましょう。私も協力しますから！」
「だったらあなた、今すぐここで身体検査よ！」
　サナが槍を繰り出してきた。
　穂先は単純な紡錘型。
　斬撃や引っ掛ける機能を持たない、単純な刺突に特化した刃。
　その刺突も、扱う者次第では十分な脅威となり得る。
　突き出された槍が、チハルの脇のすぐ横を流れていく。
　＜アクチュライズ＞によって回避動作に転じていなければ、間違いなくやられていた。
「えいや！！」
　槍を直進させたサナの踵が器用に回転する。
　真っ直ぐな槍が急激にしない、低い音を唸らせてチハルの脇を狙った。
　木の棒とはいえ、叩き付けられれば鈍痛が襲う。
「あら、この一撃で決まったと思ったのに」
　かろうじて意識を保っているチハルを感心したように見下ろしながら、サナが呟いた。
「別に、あなたがディオラを持って行っていないか確かめるだけよ。ここで服を脱いでそれを証明してくれたら、もう痛い思いはしなくてもいいのに」
「嫌です！！」
　別段、潔白を証明するために裸になりたくないわけではない。
　チハルがディオラを盗んでいないのは当然のことで、今ここで裸になったとしても、結局事件の犯人は見つからないだろう。
　そうなれば、彼女は他の隊員達を襲うはず。
　自分がここでサナを止めなければ、新たな犠牲者が増える。
　だからチハルは、負けるわけにはいかないのだ。