武器屋の看板娘に転生したつもりでしたが、図らずも最強の剣士として戦うことになりそうです

2章: Aman loves someone not by him but in his mind.

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　ショートスピアとは文字通り、柄の短い槍。

　種類によっては全長がロングソードよりも短いこともある。
　柄の長さを最大のアドバンテージとする槍にしてみれば、それほど脅威に感じないかもしれない。
　ただしこの場合は状況が違う。
　柄の短い槍はリーチを犠牲にする代わりに、防御力を持たせてあるからだ。
　刀剣と一人でやり合うには、逆に長槍よりも有利なのだ。
「サナさん、本気なのですね」
　チハルも日本刀を抜き、刀身を足元に向け下ろす。
　いわゆる下段の構えだ。
　刀を下に置くことで、敢えて敵の攻撃を誘っているようにも見えるし、もし仮に敵が斬り込んできたとしても、足場を中心に素早く対処できる。
　ショートスピアとはいえ攻撃範囲が勝る相手を前には、この構えが妥当だ。
「変わった戦い方をするのね？」
　サナは槍の柄を体の前面に出す。
　槍と言えば穂先を突き付ける構えが一般的だが、これは逆に相手に対して今から攻撃することを予告しているようなものだ。
　だから攻撃とも防御とも判然としない姿勢で間合いを詰める。
　とはいえ、槍の柄だけで斬撃を防ぐのだから、現実的には相当腕の立つ必要がある。
　あの心許ない木製の棒で、金属の刃を受け流せるくらい、胆力と技量に優れているものの証といっても過言ではない。
「どうしたの？　斬り込んでこないかしら？」
「サナさん、その前にちゃんと話し合いませんか？　あなたには既に、大事な人がいるじゃないですか？」
「その大事な人を奪われたのよ」
「どういう意味です？」
「殿下の御髪が、どこにも見当たらないの！」
「よく探したんですか？」
「探したわよ！　でもないの！　きっと誰かが盗んだに違いない。ディオラのことを知っているのは・・・・・・」
　サナは記憶を辿り、ある結論に行き着く。
「そう言えばあなたも、知っていたよね？」