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2章: Aman loves someone not by him but in his mind.

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「えっと、どういう事でしょうか」
 フェミル連隊長はチハルの所属する第六小隊を管轄している。
 彼女に言われるまでもなくチハルは部下なのだが、あえて仲間になれということはどういうことだろう。
「あなたも薄々感じ始めている頃じゃないの? この親衛隊にもそれなりの派閥があることを」
「派閥・・・・・・」
 どこの組織も一枚岩ではないということか。
 なるほど、だから最高位の連隊長のポストも二つ存在するわけか。
「今の勢力図を簡単に説明しておくと、私率いる派閥と、対立する連隊長の派閥で親衛隊内のほぼ三分の二を占めているわ。残りは他の小規模の派閥か、あるいは隊内には派閥に属さないって決め込んでいる子よ」
「つまり、あなた方二人のグループがツートップということですか?」
「それほどでもないわよ。人数的には向こうの連隊長の方が五倍の隊員をなびかせているわ。それでもウチが潰されないのは、少数精鋭の体制に重きを置いているからよ」
「つまり、ここに居る方々は皆、相当の実力者、ということですね?」
「謙遜することはないわ。あなただって、向こう側の主戦力であるエリーを打ち破ったじゃない」
「いや、それは・・・・・・・え、今なんて?」
「向こうのエリーを打ち破ったといったのよ。あなた、もしかしてエリーに勝てばそれでめでたしなんて思っていないよね? あの決闘のお陰で、少なくとも向こう側の派閥からは相当警戒されているわよ」
――や、やってしまった!!
 チハルのティーカップを握る手が震える。
「だったら、私達の側についた方がまだ安全よ。このままだとあなた、親衛隊の半数を敵に回すことになるわ」
「いえ、私はその、実家がしがない武器屋で・・・・・・稼いだお金を将来店のために使うつもりでここへ来たわけで・・・・・・」
「そう言っても信じてもらえるかしら。あの決闘の噂は、皇太子殿下のお耳にも伝わっているそうよ。もしかするとあなたが殿下の御心を奪うかもしれない。みんなそれを危惧しているわ」
「では、仮にフェミル連隊長の側につけば、私に野心がないことを証明できますか?」
「当然よ。殿下は私のもの。それはこの部屋にいる全員の共通認識。ここに居るということは、あなたは私と殿下を結ぶための赤い糸になるということよ」
「でもその代わり、あなたと対立する隊員との対立が決定的になるということですね?」
「しかし・・・・・・・」
「安心なさい。私とて、あなた達を道具のように使い捨てるつもりはないわ。この私が守ってあげる。すぐに結論を出せとは言わないわ。でも賢明な答えなら、もう出ているとは思うけど。三日後、答えを聞かせてくれる?」
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