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しおりを挟む始まりの街「エルドリッチ」は、石畳の道と古い建物が立ち並ぶ、どこか懐かしい雰囲気のある場所だった。リリアとエリスは、街の門をくぐり抜け、広大な草原へと足を踏み入れた。
「やっと冒険の始まりだね、リリア!」エリスは興奮気味に言った。
「そうだね、エリス。まずはこの草原を抜けて、次の村を目指そう。」リリアは剣を腰に下げ、しっかりとした足取りで歩き始めた。
草原は一面に広がり、風が吹くたびに草がさわさわと音を立てた。空は青く澄み渡り、遠くには山々が連なっていた。二人はしばらくの間、静かに歩き続けた。
「リリア、あの丘の向こうに何か見える?」エリスが指差す方向には、小さな影が動いていた。
「ゴブリンかもしれない。気をつけて!」リリアは剣の柄に手をかけ、警戒を強めた。
二人が近づくと、やはりそれはゴブリンだった。ゴブリンは二人に気づくと、鋭い目で睨みつけ、棍棒を振りかざして襲いかかってきた。
「行くぞ、リリア!」エリスは素早く魔法の詠唱を始めた。彼女の手からは青白い光が放たれ、ゴブリンに向かって飛んでいった。しかし、ゴブリンの動きは予想以上に素早く、光の矢を避けてリリアに迫った。
「くっ…!」リリアは剣を構えたが、ゴブリンの棍棒が彼女の腕に直撃し、痛みに顔を歪めた。その瞬間、リリアは膝をつき、意識を失ってしまった。
「リリア!」エリスは驚きと失望の入り混じった表情で叫んだ。「こんな簡単にやられるなんて…」
しかし、エリスが呆然としている間に、ゴブリンは彼女にも襲いかかってきた。エリスは急いで魔法を放とうとしたが、ゴブリンの棍棒が彼女の頭に直撃し、彼女もまたあっけなく気絶してしまった。
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気がつくと、二人は草原に倒れていた。夕日が沈みかけており、辺りは薄暗くなっていた。風が冷たく感じられ、二人の体は痛みに包まれていた。
「エリス、大丈夫?」リリアがエリスを揺り起こす。
「うん…でも、財布がない!」エリスはポケットを探り、盗まれたことに気づいた。
「仕方ない、街に戻ろう。次はもっと気をつけよう。」リリアはエリスを支えながら、二人は再びエルドリッチの街へと引き返した。
街に戻ると、二人はまず宿屋に向かった。宿屋の主人は二人の姿を見るなり、驚いた表情を浮かべた。
「おやおや、どうしたんだい?そんなにボロボロになって…」主人は心配そうに尋ねた。
「ちょっとゴブリンにやられちゃって…」リリアは苦笑いを浮かべながら答えた。
「それは大変だったね。今日はゆっくり休んで、明日からまた頑張りなさい。」主人は優しく微笑み、二人に部屋の鍵を渡した。
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