ザ・マニアック

2章: ドジッて気絶した親友を庇いながら真夜中の学校に潜入します

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夜の11時、真帆、美鈴、佐紀の三人は学校の裏門に集合した。周囲は静まり返り、月明かりが薄暗く照らしていた。

「ていうか、何で制服？」

　服装のことは別段取り決めてはいなかったのだが、三人はそろって制服を着てきたことを笑った。

　元々黒のセーラー服で夜闇に紛れやすいという理由もあったし、万が一見つかってもこの学校の生徒とわかってもらえればせめて警察沙汰にはならない。
　そんな暗黙の共通認識があったのだ。

「よし、行こう！」佐紀が先頭に立ち、三人は校門を乗り越える準備を始めた。

「まずは私が行くね。」真帆が言い、軽々と校門を乗り越えた。

「次は私。」美鈴も続いて校門を乗り越えた。

最後に佐紀が校門に取り掛かった。しかし、運動神経の鈍い佐紀は苦戦していた。

「大丈夫？手伝おうか？」真帆が心配そうに声をかけた。

「うん、大丈夫…」佐紀は必死に校門をよじ登ったが、スカートが引っ掛かってしまった。

「えっ、ちょっと待って…」佐紀がもがいていると、突然バランスを崩し、校門の上から転がり落ちてしまった。

「佐紀！」美鈴が叫んだ。

佐紀は地面に落ちて気絶してしまった。真帆と美鈴は慌てて駆け寄った。

佐紀は地面に横たわり、目を閉じて動かない。月明かりが彼女の顔を淡く照らし、静かな夜の空気が彼女の周りを包んでいた。彼女のスカートは泥で汚れ、髪は乱れていたが、その顔にはどこか安らかな表情が浮かんでいた。

「どうしよう、佐紀が目を覚まさない…」真帆が心配そうに言った。

「でも、ここで諦めるわけにはいかないよ。佐紀を引きずってでも行こう。」美鈴が決意を固めた。

二人は佐紀を引きずりながら、校舎に向かって進んだ。重い佐紀を運ぶのは大変だったが、二人は必死に頑張った。

「もう少しだよ、頑張ろう。」真帆が励ました。

「うん、絶対にテストの問題を手に入れるんだから。」美鈴も力を振り絞った。

真帆と美鈴は、気絶した佐紀を引きずりながら、暗い校舎の中を進んでいた。廊下の先には、彼女たちが避けて通れない階段が待ち構えていた。

「どうしよう、美鈴。佐紀をこの階段で運ぶのは無理かも…」真帆が不安そうに言った。

「でも、ここを通らないと職員室には行けないし…やるしかないよ。」美鈴が決意を込めて答えた。

　美鈴が佐紀の上半身を擡げて先に階段をのぼり、続いて先の太腿を両肩に担いだ真帆が続く。

二人は佐紀を慎重に持ち上げ、階段に足をかけた。しかし、佐紀の体重が予想以上に重く、バランスを崩しそうになった。

「気をつけて、真帆！落としたら大変だよ！」美鈴が声を潜めて叫んだ。

「わかってるけど、佐紀がこんなに重いとは…」真帆が息を切らしながら答えた。

――ていうか、佐紀って

一段一段、慎重に進む二人。しかし、途中で佐紀の足が階段の角に引っかかり、真帆がつまずいてしまった。

「キャッ！」真帆が叫び声を上げ、佐紀の体がぐらついた。

「大丈夫？真帆！」美鈴が慌てて支え直した。

「うん、なんとか…でも、もう少しで落とすところだった…」真帆が冷や汗をかきながら答えた。

二人は再び慎重に進み始めたが、佐紀の体が重くて腕が痛くなってきた。

「もう少し…もう少しで終わるから…」美鈴が自分に言い聞かせるように呟いた。

ようやく、二人は階段の最後の一段にたどり着いた。真帆と美鈴は息を切らしながら、佐紀を床にそっと寝かせた。

「やっと…やっと終わった…」真帆が息を整えながら言った。

「でも、まだ職員室まで行かなきゃ…」美鈴が疲れた声で答えた。

二人は再び佐紀を引きずりながら、職員室へと向かった。