『R18』バッドエンドテラリウム

Arreis(アレイス)

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オカルトハンター渚編

第13話 借りてきた猫

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 浴槽を出て、ふたりは浴室の床に座っていた。
 着ていた服や下着は今、脱衣所にある洗濯機の中でぐるぐると回っている。
 洗い終われば次に乾燥が始まり、それが終わってようやく洗濯完了だ。
 ただでさえ温かなお風呂の中であんな事をしたものだから、ふたりとものぼせていた。
 顔を合わせるのが恥ずかしくて、背中合わせに座っている。
 行為中のセリフを思い出すと顔から火が出そうだ。
 片や、調子に乗って、初めてを奪う女、などとのたまってしまい。
 片や、どこがどう気持ちいいかを全部口走ったうえで絶頂宣言までしてしまった。
 おかげで、イく瞬間の顔とイかされる瞬間の顔が脳に深く刻み込まれ、もうまともに顔が見れなくなっている。
 完全に蕩けきった超エロい顔と、まるで誰が主人かを教え込むような小悪魔的な顔。
 お互い覚えている顔は違うが、そこに至るまでの経緯を忘れる事は一生無いだろう。
 
 しばらくして、乾燥終了の音が鳴る。
 ふたりは無言のまま外へ出て、下着をつけずに服だけを着た。
 替えの下着があるのは2階、渚の部屋だ。
 もじもじと、目を合わせられないルカの手を引き、渚は2階の自室へと進んで行く。
 そうしてルカを押し込み扉を閉めると、浴室から剥がしてきていたお札を張った。
 やはり部屋は記憶にある通りで、小物のひとつまでもがそのままだった。
 タンスにクローゼット、本棚に勉強机とパソコン、ベッド。
 必要最低限の面白みの無い部屋だ。
 
 「ほらルカ、好きなの選んで」

 タンスを開き、下着入れを見せる。
 昔の下着ゆえ綿のシンプルな物が多いがルカの好みには合うはずだ。
 見せられた下着の群れを前に、ルカは固まってしまった。
 すっかり雰囲気にのまれたルカは、何を見せられても過剰に反応してしまう。
 この下着たちも渚が昔着けていたものかと思うと、それだけで触ってはいけないような気がしていた。
 
 「いや、でも……」
 「これ似合うんじゃない?」

 渚は黒いブラとショーツを手に取り、ルカの体にあてる。
 たったそれだけの事がなぜかとてもエッチな事に思えて、ルカは思わずひゃっと声を上げて飛び退いてしまった。
 その様子に渚はふふっと優しい笑みを浮かべた。
 
 「そんなに恥ずかしがらないでよ、私の初めて奪ったくせに」
 「な、渚さん!」

 ルカの顔がみるみる赤くなり下を向いてしまう。
 そんな様子が可愛くて、渚は更に攻勢をかけた。
 
 「ほら、脱いで」
 
 パーカーのジッパーを引き、スカートを下ろし、ルカを脱がせる。
 初めは抵抗したものの、髪を撫で、頬を撫でると大人しくなってしまった。
 すっかり借りてきた猫になってしまったルカは、渚にされるがままになっている。
 色々な下着をあてられ、まじまじと体を見られ、ときどきイタズラされた。
 渚の手が肌に触れる度にルカの体はぴくんと跳ね、目を瞑ってしまう。
 すっかり変わった初めての人を前にして、渚の加虐心が刺激される。
 ルカに似合う可愛らしい水色の下着を着せてあげて、そのままの勢いでベッドへと押し倒した。

 「渚さん、さすがにこれは……」
 「寝るだけだよ、疲れたでしょ?」

 横から逃げようとするルカの体を背後から捕まえて、そのままパーカーのジッパーをゆっくりと閉める。
 お腹の辺りから胸まで、わざと手が触れるように。
 
 「ひゃあん♡」

 期待した通り、ルカからはとても甘い声が漏れた。
 
 「ジッパー閉じただけだよ、どうしたの?」
 「どうって……あん、またぁ♡」 

 足先から手を滑らせて、スカートを穿かせる。
 わざと足を撫で、内ももを撫で、秘部ぎりぎりを触った。

 「ほら、早く寝よ? 休めるうちに休んどかないと」
 「こんなの寝れる訳が……」

 後ろからぎゅっと抱きしめて、体を密着させる。
 キャミソールの下に何もつけていない渚の感触と体温が背中に伝わり、ルカは体を強張らせた。
 鼓動が早鐘のようになり、喉が渇く。
 お互い服を着て寝ているだけなのに、なぜかルカは行為をしている最中よりも緊張していた。
 渚の手が腕をなぞり、乳房の外縁に触れ、わき腹に添えられる。
 たったそれだけの事でルカの体は震え、何も考えられなくなってくる。
 もう片方の手が内ももを甲でなぞり、お尻の横へと添えられた。
 そのまま強く抱きしめられ、ルカの緊張は最高潮を迎える。
 まるで今から初夜を迎えるかのように、ルカはただ渚の腕の中で小さくなっていた。
 
 「ほら、抱いてあげるから一緒に寝よ?」
 
 耳元で囁かれる渚の甘い声がルカの脳内で反響する。
 ルカはもうそれだけでイってしまいそうだった。
 耳から入った刺激が脳髄を刺激し、体まで蕩けてしまいそうだった。
 そうして一瞬で蕩けきってしまったルカは、渚のおもちゃにされていた。
 
 「ルカ……もう寝ちゃった?」
 
 知っていてわざと囁くように、脳を溶かすように声を掛ける。
 左耳に囁かれた甘い響きが全身を巡り、ルカはもう快感に身を震わせる事しか出来ない。
 自分には無い大人の魅力、色気。
 直接エッチな事をされている訳では無いのに、全身が悦びに震えている。
 ルカの体全体が渚を意識して、その一挙手一投足に期待を膨らませている。
 姿が見えないだけに、視聴覚室でのあのストリップショーを思い出してしまう。
 プロジェクターの光を反射し、艶めかしく光る白い肌。
 ハリがあり、形の良い乳房。
 ぴんと上を向いた、桜色の小さな乳首。
 そしてあの愁いを帯びた目が今自分に向けられていると思うと、それだけで秘部を責められているかのような甘い痺れが全身を包んだ。
 
 渚は、自分の腕の中で小さく体を震わせて、声を押し殺して喘ぐルカが可愛くて仕方なかった。
 素直に気持ちいいと告げ、イかせて欲しいとおねだりすれば良いのに。
 そこまで思いが巡らないのかそれとも我慢しているのか。
 どちらにせよ悶え続けるルカがとても可愛くて、簡単にはイかせてあげないと決めていた。
 
 渚はまず、ルカのスカートを脱がせた。
 せっかく洗ったのにまた愛液でぐしょぐしょになったら洗い直しだ。 
 そのままパーカーへと手を伸ばし、こちらも器用に脱がせていく。
 服を脱がされているというその行為と実感が、更にルカの期待を高める。
 たぶん何をされてもイってしまうと、ルカの脳は危険信号を送っていた。
 その危険信号が漏れているのか、渚はルカをイかせないように器用に責め続けた。
 髪を撫で、首筋を撫で、顎先を撫で、唇を撫でる。
 はぁっ……と熱い息を漏らして指をくわえようとするルカの口を躱し、猫にするように顎の下を撫でた。
 そのもどかしさがルカの胸を締め付け、内にくすぶる熱を高めていく。
 触って欲しい。
 ルカの頭はもうそれでいっぱいだ。
 
 しかし、ルカの願いはなかなか叶わない。

 「渚さ……んむっ……」

 熱っぽく囁いた渚の名前も、それを言い切る前に口へと指が侵入し遮られた。
 挿しこまれた指はルカの口内を優しく撫で、舌先をつんつんと突いてくる。
 脳に近い刺激は普段の何倍にもなってルカを襲い、ただでさえ蕩けていた脳を余計に蕩けさせる。
 ちゅぽんと音を立てて指が引き抜かれると、ルカはもう口を閉じる事さえできなかった。
 力なく仰向けに倒れた所へ渚が覆いかぶさり、唇が重ねられる。
 熱く蕩けそうな唇の感触に、口内全体をマーキングするように激しく動く舌の動き、注ぎ込まれる甘い唾液と、与えられる全てが快感へと変わり、ルカの心を満たしていく。
 渚が口を離すまでの数分間、ルカは声無くイき続けていた。 
 ぐったりとしてしまったルカを優しく抱きしめ、胸の中へと誘う。
 そうして一緒に目を閉じると、ふたりは静かに眠りについた。
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