ヴァルホルサーガVR~夜明けの開拓者たち~《改稿版》~地雷スタートでもヒーローになれますか?~

夏冬春日

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第1章 宵闇の冒険者

第七話 Le Chat Botte

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 さて、今日も今日とてマーモット退治である。
 午前中に今日使う分のハーブは確保した。ハーブを浸してる間に昼飯も済ませた。
 このフレッシュハーブウォーター、作ってからそんなに長持ちしないのも不便な点なんだよな。他に選択肢はないから使うんだけどね。

 そういえば昨晩は、片付けを手伝おうとしたけど断られた。「坊主は一応客なんだからおとなしくしてろ」ってさ。
 まぁそんなわけで、昨日はお言葉に甘えてゆっくりとさせてもらった。おかげで今日もすこぶる快調である。

 ちなみに今日のお弁当はカツサンド。昨日とは違って柔らかいパンで、ソースのたっぷり付いたカツと潰した卵をサンドしてある。
 昨日のバインミーもよかったけど、こういう肉肉しさもいい。見た目にもインパクトあるし。
 そう思って食い始めたんだが、またしても俺はおっちゃんに固定観念を破壊されることになる。
 カツサンドってさ、カツが主役と思ってた。いやさ、確かに主役ではある。でもパンという脇役がしっかりと仕事をしてこその主役だと感じたね。
 今回カツサンドを挟んでいるパン。これはパンの風味を出しつつも主役であるカツの邪魔をしない。まさにカツサンドのために生まれたパンだった。
 加えて甘みのあるソースと、それがしみこんだ卵も忘れてはいけない。大きなアクセントとなって、カツサンドのクォリティを押し上げている。
 食べ終えた後、ふと現実世界に戻ったらこの味を忘れてしまう事に気づいた。それはもったいないような、ある意味ありがたいような。そんな複雑な気分にだった。

 さて、そんなことより狩りを始めるとするか。今日の目標は、昨日と同じく三十匹だな。最低限そこを超えたいところである。



 ◆


 
 ――――終わったーー。
 大きくのびをする。
 昨日よりは多少は効率がよくなったかも知れないが、あくまで多少。
 30を少し超えたところで手を止めた。時刻は昨日よりも遅いのではないだろうか。あかね色の空は端の方から淡く青みがかってきている。

「お、やーっと終わったかー」

 声をかけられ振り向くと、トライゾンが手頃な岩に腰をかけて笑っていた。

「おいおい、ホントに今日も来たのか……。一体いつからそこにいたんだよ」

 半ばあきれて問いかけると、トライゾンは「よっと」と岩から降り立ち答える。

「んーー、そうだな。昼過ぎだと思うぜ。ま、俺は約束は守るいい男だからな!」
「そんな時間からいたのかよ! だいたいそんな約束守らなくていい、他にやることがあるだろうがよ」
「いやぁ、俺もそう思ってたんだけどね」

 トライゾンはにやりと笑う。
 なんだ? 嫌な予感がする。

「昨日俺が帰った後に面白いことがあったらしいじゃん? となると俺としては次は見逃したくないと思っちゃう訳よ」

 だから今日も来たんだと、トライゾンは言った。
 ……トライゾンが帰った後にあったこと。いや、まさかな。
 俺は恐る恐るトライゾンに聞いてみる。

「い、一体どういうことか、ちょっと詳しく知りたいんだが……」
「詳しくねぇ……。言うなればそうだな『マーモットハンター(笑)が正座で説教受けている件について』ってところか?」

 トライゾンが肩をポンポンとたたいてくる。

「二日連続で掲示板の話題になってたぜ。これで有名人確定だな」
「り、りありぃ?」
「おう、ReallyだReally」

 お、おおお……。
 がくりと膝をつき顔を覆う。

「ま、そんなわけで来てみたんだが」

 落ち込む俺を見ながら、トライゾンはふむと頷く。

「今日のところは何もなかったみたいだな。残念残念。明日こそは期待してるぞ」
「そんな毎日毎日、掲示板に話題を提供してたまるか! つかおまえもこんなところで時間潰してないで、レベリングでもしてろよ」
「そうつれないこと言うなって。俺だってしっかりレベリングしてるんだぜ。ここにいるのは、そうだな……。ちょっとした息抜きってやつだ。それにな――」

 トライゾンは懐から、本を一冊取り出した。

「こういうのを書庫で借りてきててな。ついでにここで読んでるんだ。ただの暇つぶしって訳じゃねえんだぜ。ま、こいつを読み終わるまではここに来るつもりさ」
「マジかよ……。本ならその書庫とやらで読めばいいだろうに。大体なんなんだその本は」
「こいつ?」

 トライゾンが見せてくれた本の表紙はきれいな装丁がされており、『ヴァルホルサーガ~英雄達の軌跡~』と言う題がついている。

「こいつはいわゆる過去作の話ってやつでな。俺はこのVR版が初のヴァルホルサーガだったから、暇つぶしがてら借りてきてみた訳よ。したらこいつが結構面白くてな。知ってるか? 作品によってはエンディングで主人公が魔王になったりするんだぜ」

 ……そういやそんなのもあったな。確か5作目だったか?
 あれは確かマルチエンディングだったはずだけど。そうか、魔王ルートが正史扱いか。まじかー、あれって結構ひどいストーリーだった気がするぞ。
 いや、そんなことより、こいつさっき聞き逃せないことを言ったな。

「待てトライゾン。おまえさっき、暇つぶしって言わなかったか?」
「やべっ、口が滑った。退散退散っと」

 はっと口を押さえ、そそくさと帰り支度をはじめるトライゾン。
 だが彼は、一歩踏み出したところで、足を止め振り返った。

「そうだそうだ、言い忘れてた。昨日コダマに正座させてた子。カネティスって言うんだろ? その子も掲示板で話題になってたぜ。わかってるとは思うがVR界隈じゃそこそこ有名だからな。気をつけてやんな。お、に、い、さ、ん」

 俺が何か言い返す暇もあらばこそ、トライゾンはひらひらと手を振って町に戻っていった。
 あのやろう……。まさかそこまで知れ渡っているとは……。
 いや、落ち込むのは後回しだ。
 それよりもカネティスの件だ。あいつ有名なのか……?
 あの引っ込み思案だったカネティスが有名人とか、いまいち信じられないが。
 家が家だし、VRだとリアルを気にせず楽しめるから、あり得なくはないのか……。VR自体には慣れてるっぽかったしな。
 ただ、どんな風に有名なのかは気になる。悪い意味じゃ無いとは思うのだけれど。
 心配だし、帰ったらフジノキにでも聞いてみるか。





 晩ご飯を食べて部屋に戻ったところで、フジノキに通信を入れる。
 もちろんカネティスの件だ。

『カネティスちゃんがVR界隈で有名かって? うん、多分そうだと思うよ。と言うか君が知らなかったことに驚きなんだけど……』
『まぁ、数年ぶりに会ったからな。昔と同じ感じで接したら怒られたこともあって、こっちから聞こうにも、いまいちあの子との距離感がつかみ切れてない感があるのさ』
『ふぅむ……』

 俺の答えに対するフジノキの声には憂色がにじむ。

『何だよ、何か言いたげじゃないか』
『いや、コダマの心配事については時間が解決するんじゃないかなぁ。それこそ時間ならたっぷりあるんだし。ま、杞憂だと思うけどね……』
『それならいいんだけどなぁ』

 正直年頃の女の子はよくわからんからなぁ。だてに山奥の男子校に閉じ込められてないぜ。
 ま、フジノキはおねーさま方に持てそうだし、その言葉を信じるか。それよりもカネティス自身の件だ。

『結局カネティスってどんな感じで有名なの』
『ああ、そうだったね。ごめんごめん。まぁ僕も直接確認したわけじゃないんだけどね……』

 フジノキはそう前置きをして話してくれた。

『僕の知ってるその有名人って、主にカネティスって名前で活動していること。リエージュのゲームのベータ等に出没。常に好成績を残し、VRシューティング系のゲームだと特にそれが顕著。だけど正式版で見かけることはなく、開発側の人間じゃないかとも言われている。後はエルフ系のキャラクターを好むって言った所かな。共通点は多いよね』
『ふぅむ、なるほど』
『おまけに両親がリエージュの関係者なんでしょ。可能性は高いと思うよ。なんで今回アルヒのゲームをやってるかも……、まぁ想像はつくし』

 理由ねぇ。昔は俺の後ろにくっついて回って、何でもまねしてたんだが。さすがにこの年になってそれはないだろうしなぁ。

『わかった。まぁ有名人って事で難癖つけられるかもしれないし、一緒にいるときくらいは気をつけるようにするよ』
『うん、そうしてあげな』
『ま、普段はおばあさん達と一緒にいるみたいだし、そこまで心配はいらないだろうけどな』
『え!? おばあさん、なの?』

 フジノキはなぜか驚いた声を上げた。

『ああ。カネティスのおばあさんが保護者をやってて、一緒におじいさんもゲームに参加してくれてるって言ってたけど。フジノキは会ったりしたのか?』
『あ、ああ。今日一緒に冒険した。いや、でも驚いたよ』

 ……驚いた? ああそうか、カネティスのおばあちゃんって言うことは、リエージュの社長。VRの生みの親だもんな。ま、俺も今日――リアル時間では――しなね屋で聞くまで知らなかったけれど。驚くのは無理もないか。

『まぁ、普通は驚くよな』
『わかってはいても、まぁね』
『それにしても昨日も今日も一緒に冒険って。昨日のご飯の時も思ったけど、カネティスのやつ、ずいぶんキツネさんになついてるみたいだな。大丈夫?』
『ん? ああ、そうだね。姉さん割と面倒見のいい方だし、それにカネティスちゃんみたいな子、気になるみたいだよ。逆にカネティスちゃんの方が嫌がってないか心配だよ』

 ふむと、昨日の様を思い出す。

『いや、多分あれは完全になついているなカネティス。あいつ、いやなら近づかないし』
『それならいいんだけど……。まぁ明日も一緒に行く予定だし、掲示板の件も含めて、ちょっと気をつけておくよ』
『ありがとう、それなら安心だ』
『心配するくらいなら、一緒に来ればいいのに……』

 フジノキは誘ってくれるがそれには否を返す。

『いや、足引っ張って邪魔するわけにも行かないし、それにもう少しでレベルが上がりそうなんだ。こっちはこっちで頑張ってみるよ』
『コダマって結構強情だよね。まぁ、こっちのことは気にしないで。でも時々はカネティスちゃんにも連絡取るんだよ。今回の件だって、直接連絡するいい機会だっただろうに……。それに、ちゃんと連絡とらないとまた――』

 通信越しに、くっくと聞こえる。
 くそっ、笑いをこらえてやがる。

『わかったよ! それじゃあな』
『ごめんごめん、それじゃあおやすみ』


 ◆


 明けて次の日。いつも通りのオールドー平原。
 昼飯――今日は変わり種のおむすびだった――も食べたし、狩りの始まりだ。
 ちなみにトライゾンはすでに昨日の岩に腰掛けている。
 というかこいつのおかげでおむすびを堪能できなかったんだ。なんたって遠くにトライゾンが見えてから、急いで腹に詰め込んだからな。こいつの目の前で食ってみろ。つまみ食いされるに違いない。

「なーにそんな恨みがましい目でこっちを見てるんだよ。むしろ恨めしいのはこっちだぜ」

 トライゾンは口をとがらせる。

「もうちょっとゆっくり食べてくれりゃ、最後の一個ぐらいはつまめただろうに」

 やっぱりか。味わえはしなかったが急いで食べてよかった。

「おめーに食わせる飯はねーよ」

 ぴしりと指をさし言ってやった。

「なーに一昔前ひとむかしまえの芸人みたいなこと言ってんだ? ……ま、俺は心が広いからな。ここで応援してるからがんばんなー」

 そう言ってトライゾンは本を広げた。
 ……いや、ぜんぜん応援してないだろ。
 こいつのことはもういいか、それよりも狩りだ。うまくいけば今日、遅くとも明日にはレベルが上がりそうなんだから。


 ◆


 うーむ、日も暮れてきたか。
 空は赤を通り越し、紺に近くなっていた。
 レベルアップまでもう少しなのに、少し時間が足りなかった。
 だがここで無理をするわけにはいかない。もうすぐ夜に切り替わる。そうなるとマーモットいなくなり、代わりに夜行性の魔物が出没し始めるらしい。そして夜の魔物は総じて手強いようだ。
 さすがにまだ夜の魔物には勝てないだろう。加えて明かりも持ってきてないしなぁ。今日のところは諦めるとするか。

「お、今日のところはこれで終わりかー?」

 トライゾンは岩の上でぐっとのびをしている。

「ああ、これで終わりにするけど……。トライゾンは今日も半日そこで本を読んでたけど、おまえこそ大丈夫なのか?」
「……いや、その点でコダマに心配されたかねーよ」

 トライゾンは軽く笑いながら肩をすくめた。

「とはいえ言いたいことはわかるぜ。だけどな、俺には秘策があるんだよ」
「秘策?」

 俺が問い返すと、トライゾンは「おうよ」とばかりに立ち上がり、大きく手を振った。

「おーい、こっちだこっちー」

 大きな声を上げて呼びかけるトライゾン。そんな彼の傍らに走り寄ってきたのは一匹のネコだった。
 とはいえただのネコじゃあない。二本の足で立ち、その後ろ足にはブーツを履いている。そして、そのミッドナイトブルーの毛色に合うように、頭にはしゃれた羽帽子をかぶっている。。
 ネコはこちらを見ると、帽子を取り大きくお辞儀をした。

「それがし、トライゾン殿の獣魔をしておりますペルーと申します。以後お見知りおきを」
「これはこれはどうもご丁寧に。自分はコダマと言います」

 つられて俺も頭を下げる。
 ……主人に似合わず礼儀正しい獣魔だな。

「お、やはりコダマ様でしたか。我が主がお世話になっております。いやぁ我が主はひねくれ者な割に、顔に似合わず照れ屋でしてな。ご友人と呼べる方が少ないのですよ。コダマ様には今後とも――」

 ――ゴツリッ

 大仰な身振りを交えながら得意げにまくし立てるペルーだったが、トライゾンからげんこつをもらい口を強制的に閉じさせられた。
 トライゾンはというと、顔を真っ赤にしている。

「い、いたいのですぞ」
「余計なことしゃべるんじゃねーよ、おまえは採取できたかどうかだけ報告すりゃいいんだ。後コダマ、こっち見てニヤニヤ笑ってんじゃねー」

 いや、笑うだろ。

「もちろん採取は終わりましたぞ。全く我が輩を一人採取に放り出すとはひどい主だと思いましたが……。ははぁなるほど、ご友人との時間を作るためでしたか。それならば仕方ありますまい。このペルー、一肌脱ぎましょうぞ!」

 ペルーは胸を張っている。それに反してトライゾンは憔悴していっている。

「はぁ、お前もうしゃべんな……」

 トライゾンは大きく肩を落とした。

「まぁ、こいつに採取頼んでクエストクリアでレベリングしてるって訳なんだが……、なんかどっと疲れたわ。他にも色々話すことがあったけど今日のところはこの辺で帰る。それじゃあな」

 トライゾンは軽く手を上げて、とぼとぼと歩き始めた。

「もう帰るのですか、わかりました。それではコダマ殿、失礼します。また明日も主と一緒に遊んでくだされ」

 軽く頭を下げ、先に行ったトライゾンを追いかけるペルー。が、案の定トライゾンからげんこつをもらっている。

 ――――いや面白い主従だった。一日の終わりにあんな面白いものが見られるとは……。
 明日からが楽しみだ。せいぜいからかってやるとしよう。
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