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第八章:そして死ぬ前にただ一度だけ、セックスをしたあの人と。
8-5・あのときも
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ようやく少しだけ、主導権を取り戻せた気がする。調子づいて手の中のものに目をやった。前にも少しくらいは見たはずだけれど、こんなふうにまじまじと観察するのは初めてだ。
「……へぁ」
「……? ユージンさん?」
「え、あ、や、なんでもない」
咄嗟に目を逸らして首を振る。前回まともに目にしなかったのは、ある意味では正解だったかもしれない。俺だって人並み程度のものは備えているはずだが、ミゴーのそれはなんと言うか俺のよりも遥かに、雄、という感じだ。グロテスクとまでは言わないが、生々しい。外したはずの視線が、勝手に引き寄せられる。こんなのが、俺の尻の穴に入ったのか。というか入るのか、今から、再び。本気で?
固まることしかできない俺に、ミゴーが呆れたようなため息をつく。
「怖いなら怖いって、素直に言ったらどうですか」
「こっ!? わ、怖いわけじゃない、別に、怖いわけじゃないぞ!」
「なんでそんな顔で言い張れるんですかね、この人は」
「ぅひっ!?」
ミゴーの骨張った指が、再び俺の奥まで潜り込んでくる。腰の下に枕を突っ込まれて、見せ付けられるような位置でかき回されて。顔から火が出そうだ。なのにミゴーの声色は、いっそ嫌味なくらいに優しい。
「大丈夫。ね? 気持ちいいでしょ、ちゃんと」
「ひぅ、あ、ぐ、ぅうんっ」
「ほら……もう、入り口んとこ、俺の太さになってるから、ね」
「あっ、馬鹿っ、ん……っ!」
ミゴーのものが俺の手の内を抜けて、後孔の寸前に突きつけられた。指で拡げられた入り口に、先端の粘膜がひたりと触れる。全身が総毛立つ。恐怖よりも、もっと得体の知れない感情に。
「……ね。ユージンさん、気づいてますか」
「え、ぁ、な、に」
「ユージンさんだってもう、ガッチガチになってますよ」
「ひぁっ!?」
思わず高い声が漏れる。ミゴーの言う通りだった。片手で取り出され、乱雑に掴み上げられたそれは、いつの間にか最高潮近くまでぱんぱんに張りつめている。弄られたのはほとんど後ろばかりで、そっちはろくに触られてもいないはずなのに。
「っふ……これならもう、行けそうですね」
「うっ、ぁ、あ、え? ま、待てって!」
「待たない」
きっぱりと言い切った声が、心なしか楽しそうに聞こえたのは俺の被害妄想じゃないはずだ。ぬるりと指が抜かれる。止める間もなく入れ替わるように、ミゴー自身が、入ってくる。
「あぐ……っ!!」
「……っは……」
一瞬、確かに呼吸が止まった。内臓が限界まで押し詰められる。そしてまたひとつ思い出す。ああ、そうだった。あのときも、そしてあのときもこうだった。苦しくて、痛くて、不快で、辛くて。そしてその苦痛のひとつひとつが、ミゴーが俺の中にいる確証だった。
「……っあ、ミ、ゴ……」
「……」
震える息をどうにか吐き出し吸い込んで、俺を組み敷くミゴーを見上げた。ミゴーも同じ過去を思い浮かべているのは、不安定に揺れる瞳の色でわかった。
「……へぁ」
「……? ユージンさん?」
「え、あ、や、なんでもない」
咄嗟に目を逸らして首を振る。前回まともに目にしなかったのは、ある意味では正解だったかもしれない。俺だって人並み程度のものは備えているはずだが、ミゴーのそれはなんと言うか俺のよりも遥かに、雄、という感じだ。グロテスクとまでは言わないが、生々しい。外したはずの視線が、勝手に引き寄せられる。こんなのが、俺の尻の穴に入ったのか。というか入るのか、今から、再び。本気で?
固まることしかできない俺に、ミゴーが呆れたようなため息をつく。
「怖いなら怖いって、素直に言ったらどうですか」
「こっ!? わ、怖いわけじゃない、別に、怖いわけじゃないぞ!」
「なんでそんな顔で言い張れるんですかね、この人は」
「ぅひっ!?」
ミゴーの骨張った指が、再び俺の奥まで潜り込んでくる。腰の下に枕を突っ込まれて、見せ付けられるような位置でかき回されて。顔から火が出そうだ。なのにミゴーの声色は、いっそ嫌味なくらいに優しい。
「大丈夫。ね? 気持ちいいでしょ、ちゃんと」
「ひぅ、あ、ぐ、ぅうんっ」
「ほら……もう、入り口んとこ、俺の太さになってるから、ね」
「あっ、馬鹿っ、ん……っ!」
ミゴーのものが俺の手の内を抜けて、後孔の寸前に突きつけられた。指で拡げられた入り口に、先端の粘膜がひたりと触れる。全身が総毛立つ。恐怖よりも、もっと得体の知れない感情に。
「……ね。ユージンさん、気づいてますか」
「え、ぁ、な、に」
「ユージンさんだってもう、ガッチガチになってますよ」
「ひぁっ!?」
思わず高い声が漏れる。ミゴーの言う通りだった。片手で取り出され、乱雑に掴み上げられたそれは、いつの間にか最高潮近くまでぱんぱんに張りつめている。弄られたのはほとんど後ろばかりで、そっちはろくに触られてもいないはずなのに。
「っふ……これならもう、行けそうですね」
「うっ、ぁ、あ、え? ま、待てって!」
「待たない」
きっぱりと言い切った声が、心なしか楽しそうに聞こえたのは俺の被害妄想じゃないはずだ。ぬるりと指が抜かれる。止める間もなく入れ替わるように、ミゴー自身が、入ってくる。
「あぐ……っ!!」
「……っは……」
一瞬、確かに呼吸が止まった。内臓が限界まで押し詰められる。そしてまたひとつ思い出す。ああ、そうだった。あのときも、そしてあのときもこうだった。苦しくて、痛くて、不快で、辛くて。そしてその苦痛のひとつひとつが、ミゴーが俺の中にいる確証だった。
「……っあ、ミ、ゴ……」
「……」
震える息をどうにか吐き出し吸い込んで、俺を組み敷くミゴーを見上げた。ミゴーも同じ過去を思い浮かべているのは、不安定に揺れる瞳の色でわかった。
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