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第六章・壊れてしまった物語を美しく終わらせるために、あの図書室で物語を分け合った先生と。
6-0・カケラ
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光のない場所にいた。
ずっと、あの人のことを見ていた。とうに終わりを迎えたはずの運命に、錆びた鎖で縛りつけられるみたいに。あの人の表面を覆っていた、清廉な白い結晶。それらがすべて溶け落ちて、内部から腐臭にまみれた泥濘が溢れ出すのも、ずっと。
人生には、綺麗な物語が必要だ。
自らの心に映った幻想でも、あるいは他人から与えられた虚像でも、なんでもいい。ただ収まりのいい結びの言葉を見つけるのは必須かもしれない。元来浅ましい生命が止めどなく漏れだして、自他の尊厳を毀損する事態を防ぐための、堰として埒としての物語。それさえあれば、人間の一生はどうにでも美しく完結できる。
ねえ、先生。ここからあなたを見ていると、つくづくそんな風に思うよ。
ずっと、あの人のことを見ていた。とうに終わりを迎えたはずの運命に、錆びた鎖で縛りつけられるみたいに。あの人の表面を覆っていた、清廉な白い結晶。それらがすべて溶け落ちて、内部から腐臭にまみれた泥濘が溢れ出すのも、ずっと。
人生には、綺麗な物語が必要だ。
自らの心に映った幻想でも、あるいは他人から与えられた虚像でも、なんでもいい。ただ収まりのいい結びの言葉を見つけるのは必須かもしれない。元来浅ましい生命が止めどなく漏れだして、自他の尊厳を毀損する事態を防ぐための、堰として埒としての物語。それさえあれば、人間の一生はどうにでも美しく完結できる。
ねえ、先生。ここからあなたを見ていると、つくづくそんな風に思うよ。
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