死ぬ前に一度だけ、セックスしたい人はいますか?──自称ノンケな欲望担当天使のつがわせお仕事日記

スイセイ

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第五章・きっとこの手の中に戻ってきてくれるはずの、今はまだ遠いお前と。

5-0・カケラ

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 決定的な分岐点など、本当はなかったのかもしれない。
 新しい扉を開ける勇気。今の関係を壊す覚悟。色々なものが少しずつ足りなかった。今俺が目の当たりにしている現実に至ったのは、考えてみれば当然の帰結だ。
 なのにあのときの俺は、そんな自分を不甲斐ないとすら思っていなかった。あいつが俺とは別の道で幸せを見つけられるのなら、傍らに俺がいなくても構わない。達観したつもりのそんなセリフで、自分を騙し続けていた。
  馬鹿な話だ。俺がいなくちゃあいつは幸せになれない。現に、なれなかった。ろくでもない奴らに付け入られて、地に落ちて、踏みつけられた。最悪だ。あまりに救いがたいバッドエンドだ。
 ずっと、悔やみ続けてきた。偽善に心を囚われて、取り返しのつかない真似をした。俺がもう少しうまくやれば、あいつだってもしかしたら──いや、きっと、絶対に、俺と一緒に在ることを望んでくれたはずなのに!
 ああ、だから。
 今度は絶対に、間違わない。
 あいつの幸福は全部、俺のこの手の中にある。
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