43 / 115
第四章・生涯で唯一一度もお相手願えなかった、気位の高い猫みたいな男と。
4-6・素質あるよ
しおりを挟む
自分の体がこれほど信じられなくなったのは、生まれて初めてのことだった。それほとでに俺の肉体は、猫塚のいいように手玉に取られてしまっていた。
「はっ、あ……くっ、ふ、ぅ……んっ」
「ふふ、可愛いね。前立腺の感触が変わってきたの、自分でもわかるだろう? オレの指で撫ぜられるたびに、雄の方もふるふる震えている」
「だ、黙っ、れ……っ、ぅんっ!」
「残念ながら、黙らないよ。キミ、なかなか素質あるじゃないか。今日まで使ってこなかったのが勿体ないくらいだ」
「う、ぐっ!?」
どうにか再開した呼吸が再び止まりかけた。人差し指に加えて、中指までもが俺の中に入り込んできたのだ。竿を扱かれ、蟻の戸渡を刺激されながら、入り口をぐにぐにと広げられる。その動作が何を意味しているか、俺は知りすぎるほどに知っている。
「ま、待てっ……はぁっ、わかった、俺の負けだ、認めるっ……だから勘弁してくれ、それだけはっ」
「どうして? 今さら貞操とかなんとか気にするような人間じゃないだろう、キミは。再三言うが、元々望んでいたのはワン君の方だよ?」
「違う、俺はこんなっ、こんなつもりじゃ……!」
「オレだって無理強いなんて野暮な真似はしたくなかったさ。けれど、仕方ない。だろう?」
「はぁうっ……!」
先刻の俺のセリフをそっくり真似ながら、猫塚は挿れていた指をぬるりと引き抜いた。動けない俺を見下ろす形でおもむろに立ち上がる。するりと帯を緩め、はだけた裾を持ち上げて、露わになったモノを俺の眼前に見せつけた。持ち主に似て長細く優美な形をしたそれは、けれど確かに猛る雄性を誇示するように、勃起していた。
普段の俺ならば、生唾を飲んで奮い立つはずの光景だ。けれどこの状況下においてはただただ血の気が引いていく。にも関わらず猫塚は、俺の股間にちらりと目を向け──意外そうに目を丸くしたあと、笑った。
「ねえ、ワン君。キミ、やっぱり素質あるよ。それも、極上の」
「はぁ……? ……っ!」
視線の先を追って、愕然とした。俺の欲情を示す男の証、この状況下では縮み上がっていなければならないはずのそれは、あろうことか更に硬く張りつめて、先端に先走りの汁すら滲ませている。
「あっは、こいつは面白い。キミの肉体は少なくとも、この先の行為に期待満々ってわけだ」
「う、嘘だ……っ、俺は、違う、こんな……!」
「素直じゃないね。だったら──犬の本質を引き出してあげるのは、調教師の役目かな」
大きく開いた俺の脚を、猫塚がひょいと持ち上げた。ソファからずり落ちた俺の姿勢は、弄られていた穴を見せつけるみっともないものになる。恥辱で奥歯が砕け散りそうだ。けれど俺の股間のそれは、一向に反応をやめてはくれない。
上げさせられた脚の間に、猫塚の腰がするりと入り込む。中心で屹立する肉棒を、俺の後孔に押しつける形で。
「や、やめっ……!」
「……ふふ」
静止の暇もあらばこそ、猫塚の腰がぐいと突き出される。
硬いものが窄まりを割り開いて、一気に俺の中に入ってきた。
「はっ、あ……くっ、ふ、ぅ……んっ」
「ふふ、可愛いね。前立腺の感触が変わってきたの、自分でもわかるだろう? オレの指で撫ぜられるたびに、雄の方もふるふる震えている」
「だ、黙っ、れ……っ、ぅんっ!」
「残念ながら、黙らないよ。キミ、なかなか素質あるじゃないか。今日まで使ってこなかったのが勿体ないくらいだ」
「う、ぐっ!?」
どうにか再開した呼吸が再び止まりかけた。人差し指に加えて、中指までもが俺の中に入り込んできたのだ。竿を扱かれ、蟻の戸渡を刺激されながら、入り口をぐにぐにと広げられる。その動作が何を意味しているか、俺は知りすぎるほどに知っている。
「ま、待てっ……はぁっ、わかった、俺の負けだ、認めるっ……だから勘弁してくれ、それだけはっ」
「どうして? 今さら貞操とかなんとか気にするような人間じゃないだろう、キミは。再三言うが、元々望んでいたのはワン君の方だよ?」
「違う、俺はこんなっ、こんなつもりじゃ……!」
「オレだって無理強いなんて野暮な真似はしたくなかったさ。けれど、仕方ない。だろう?」
「はぁうっ……!」
先刻の俺のセリフをそっくり真似ながら、猫塚は挿れていた指をぬるりと引き抜いた。動けない俺を見下ろす形でおもむろに立ち上がる。するりと帯を緩め、はだけた裾を持ち上げて、露わになったモノを俺の眼前に見せつけた。持ち主に似て長細く優美な形をしたそれは、けれど確かに猛る雄性を誇示するように、勃起していた。
普段の俺ならば、生唾を飲んで奮い立つはずの光景だ。けれどこの状況下においてはただただ血の気が引いていく。にも関わらず猫塚は、俺の股間にちらりと目を向け──意外そうに目を丸くしたあと、笑った。
「ねえ、ワン君。キミ、やっぱり素質あるよ。それも、極上の」
「はぁ……? ……っ!」
視線の先を追って、愕然とした。俺の欲情を示す男の証、この状況下では縮み上がっていなければならないはずのそれは、あろうことか更に硬く張りつめて、先端に先走りの汁すら滲ませている。
「あっは、こいつは面白い。キミの肉体は少なくとも、この先の行為に期待満々ってわけだ」
「う、嘘だ……っ、俺は、違う、こんな……!」
「素直じゃないね。だったら──犬の本質を引き出してあげるのは、調教師の役目かな」
大きく開いた俺の脚を、猫塚がひょいと持ち上げた。ソファからずり落ちた俺の姿勢は、弄られていた穴を見せつけるみっともないものになる。恥辱で奥歯が砕け散りそうだ。けれど俺の股間のそれは、一向に反応をやめてはくれない。
上げさせられた脚の間に、猫塚の腰がするりと入り込む。中心で屹立する肉棒を、俺の後孔に押しつける形で。
「や、やめっ……!」
「……ふふ」
静止の暇もあらばこそ、猫塚の腰がぐいと突き出される。
硬いものが窄まりを割り開いて、一気に俺の中に入ってきた。
3
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説


久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…


お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした
雨宮里玖
BL
《あらすじ》
昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。
その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。
その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。
早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。
乃木(18)普通の高校三年生。
波田野(17)早坂の友人。
蓑島(17)早坂の友人。
石井(18)乃木の友人。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる