死ぬ前に一度だけ、セックスしたい人はいますか?──自称ノンケな欲望担当天使のつがわせお仕事日記

スイセイ

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第四章・生涯で唯一一度もお相手願えなかった、気位の高い猫みたいな男と。

4-6・素質あるよ

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 自分の体がこれほど信じられなくなったのは、生まれて初めてのことだった。それほとでに俺の肉体は、猫塚のいいように手玉に取られてしまっていた。

「はっ、あ……くっ、ふ、ぅ……んっ」
「ふふ、可愛いね。前立腺の感触が変わってきたの、自分でもわかるだろう? オレの指で撫ぜられるたびに、雄の方もふるふる震えている」
「だ、黙っ、れ……っ、ぅんっ!」
「残念ながら、黙らないよ。キミ、なかなか素質あるじゃないか。今日まで使ってこなかったのが勿体ないくらいだ」
「う、ぐっ!?」

 どうにか再開した呼吸が再び止まりかけた。人差し指に加えて、中指までもが俺の中に入り込んできたのだ。竿を扱かれ、蟻の戸渡を刺激されながら、入り口をぐにぐにと広げられる。その動作が何を意味しているか、俺は知りすぎるほどに知っている。

「ま、待てっ……はぁっ、わかった、俺の負けだ、認めるっ……だから勘弁してくれ、それだけはっ」
「どうして? 今さら貞操とかなんとか気にするような人間じゃないだろう、キミは。再三言うが、元々望んでいたのはワン君の方だよ?」
「違う、俺はこんなっ、こんなつもりじゃ……!」
「オレだって無理強いなんて野暮な真似はしたくなかったさ。けれど、仕方ない。だろう?」
「はぁうっ……!」

 先刻の俺のセリフをそっくり真似ながら、猫塚は挿れていた指をぬるりと引き抜いた。動けない俺を見下ろす形でおもむろに立ち上がる。するりと帯を緩め、はだけた裾を持ち上げて、露わになったモノを俺の眼前に見せつけた。持ち主に似て長細く優美な形をしたそれは、けれど確かに猛る雄性を誇示するように、勃起していた。
 普段の俺ならば、生唾を飲んで奮い立つはずの光景だ。けれどこの状況下においてはただただ血の気が引いていく。にも関わらず猫塚は、俺の股間にちらりと目を向け──意外そうに目を丸くしたあと、笑った。

「ねえ、ワン君。キミ、やっぱり素質あるよ。それも、極上の」
「はぁ……? ……っ!」

 視線の先を追って、愕然とした。俺の欲情を示す男の証、この状況下では縮み上がっていなければならないはずのそれは、あろうことか更に硬く張りつめて、先端に先走りの汁すら滲ませている。

「あっは、こいつは面白い。キミの肉体は少なくとも、この先の行為に期待満々ってわけだ」
「う、嘘だ……っ、俺は、違う、こんな……!」
「素直じゃないね。だったら──犬の本質を引き出してあげるのは、調教師の役目かな」

 大きく開いた俺の脚を、猫塚がひょいと持ち上げた。ソファからずり落ちた俺の姿勢は、弄られていた穴を見せつけるみっともないものになる。恥辱で奥歯が砕け散りそうだ。けれど俺の股間のそれは、一向に反応をやめてはくれない。
 上げさせられた脚の間に、猫塚の腰がするりと入り込む。中心で屹立する肉棒を、俺の後孔に押しつける形で。

「や、やめっ……!」
「……ふふ」

 静止の暇もあらばこそ、猫塚の腰がぐいと突き出される。
 硬いものが窄まりを割り開いて、一気に俺の中に入ってきた。
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