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第二章・喪われし魂の救済を求めて、最期まで心を焦がしてやまなかった彼と。
2-0・カケラ
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後悔していることがある。
何もかもが望み通りに行ったとは、とても言い難い人生を送ってきた。自らを見誤って空回り、人を傷つけ、自分も傷つく。今まさに命の灯が消えようとする最期まで、そんなことばかりを繰り返してきた一生だった。
中でも随一の蹉跌は、遠い日のあの記憶。思えばあの事件こそが、端的に我が人生の象徴たる出来事だった。思い出すたびに心臓がざわつく。羞恥。悔恨。筋違いな八つ当たりと、押し込めどなおも溢れる罪悪感。絶え間ない負の情動に洗われてもはや歪みきった記憶は、けれど始点を辿れば確かに、純粋な思慕であったはずだった。
やり直せたら。
もしももう一度あの日に戻って、すべてをやり直すことができたなら。自分が本当に選ぶべきだった道で、彼の深淵に一度でも触れることができたなら。
そのときは今度こそ、彼を──。
何もかもが望み通りに行ったとは、とても言い難い人生を送ってきた。自らを見誤って空回り、人を傷つけ、自分も傷つく。今まさに命の灯が消えようとする最期まで、そんなことばかりを繰り返してきた一生だった。
中でも随一の蹉跌は、遠い日のあの記憶。思えばあの事件こそが、端的に我が人生の象徴たる出来事だった。思い出すたびに心臓がざわつく。羞恥。悔恨。筋違いな八つ当たりと、押し込めどなおも溢れる罪悪感。絶え間ない負の情動に洗われてもはや歪みきった記憶は、けれど始点を辿れば確かに、純粋な思慕であったはずだった。
やり直せたら。
もしももう一度あの日に戻って、すべてをやり直すことができたなら。自分が本当に選ぶべきだった道で、彼の深淵に一度でも触れることができたなら。
そのときは今度こそ、彼を──。
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