死ぬ前に一度だけ、セックスしたい人はいますか?──自称ノンケな欲望担当天使のつがわせお仕事日記

スイセイ

文字の大きさ
上 下
9 / 115
第一章・病に倒れたおれをいつも隣で励ましてくれた、幼なじみのあいつと。

1-7・どうせおれのはちっちゃいよ

しおりを挟む
 用意されてたローションを使って、光亮はおれの尻をていねいにほぐしてくれた。相変わらず不器用な、でもこいつらしからぬ恐る恐るな動きで、じっくりと。四つん這いでケツを上げたまま、尻の穴をいじられるなんてほんとはめちゃくちゃ恥ずかしい。でも光亮はためらったり嫌そうな様子を見せたりすることはなくて、そこは正直ほっとした。もっともこっちはおれへの思いやりと言うよりは、単にこいつにはおなじみの、考えなしな雑さのせいかもしれない。

「こんなもん、か? 彬、いけそ?」
「う、うん……わかんないけど、たぶん」

 うつ伏せた尻の谷間から問いかける光亮に、なんとも言えない気分で答える。天使様お墨付きのローションのせいか、指を入れられるのにもそれほど抵抗はなかった。これなら光亮のも入るだろうか。いや、ここまで来て入ってくれなきゃおれも困るんだけど。

「じゃ、えっと……あ、そうだ、ゴムつけなきゃだよな、ゴムゴム」
「ああ、うん。……え?」
「ん? どした、彬」
「や、うん、いや……。……光亮、でかくね?」

 背中越しに目に飛び込んできたのは、拙い手つきでゴムを被せられる光亮自身。そのシルエットはおれの予想よりかなり、だいぶ、でかい。え、こんなんだったっけ。しぼんだままの状態なら何度か見たことあるけど、どう考えてもおれと大差はなかったはずだ。だよな。そうだよな、絶対。
 光亮はわざわざ自分の股間を見下ろして、不思議そうに首をかしげる。

「そうかぁ? 別に、そんなことないと思うけど」
「いやだって、おれのより……だいぶ……」
「彬の? ……あっ」

 光亮の視線が、おれの両脚の間に走った。途端にその表情が、なんとも言えない半笑いに変わる。おい。

「……今お前、ちょっと笑ったろ」
「……いやあ?」
「嘘つけ! なんだよちくしょう、あーそうだよ、どうせおれのはちっちゃいよ!」
「いやごめんマジごめん、ああでも、そうだな、これはこれでかわいいんじゃねえかな、とか思ったりしないこともないし」
「そこはせめて言い切れよ!」

 真っ赤になった顔を枕に押しつける。くそ、光亮の野郎、ちょっとでかいからって。言っとくけど昔はおれの方がでかかったんだからな。いやちんこはわかんねえけど、身長とか。

「ごめんって、彬」

 光亮が笑いながら手を伸ばして、おれの後ろ頭をさわさわと触る。そんなんでごまかされるか。犬じゃねえんだぞ。頑なに振り返ってはやらない。ああ、でも、このあったかい手の感触はちょっとだけ、気持ちいいかも。
 なだめるように触れていた手つきが、やがておれの髪を繰り返し撫でるものに変わる。誰よりも見慣れた光亮の手。知らないうちにおれよりもちょっとだけ大きくなった手。この先おれがいなくなったあと、いつかおれ以外の誰かに触れるかもしれない、手。
 胸がずきんと痛んだ。光亮に悟られないように、さりげなく目を伏せる。おれの気持ちを知ってか知らずか、光亮がおれの顔を後ろから覗き込む。

「彬」
「ん」
「あのさ……いや、なんか、こんな直接的に言うのもなんかな、とは思うけど」
「ん」
「もう……入れても、いい?」

 ちょっと申し訳なさそうに告げられたのは、欲望に忠実すぎるお願いだ。吹き出しそうになるのを枕でこらえた。ほんと、こいつのこういうとこだよ。でも別におれだって本気で怒ってたわけじゃない。怒ってはいないけどせめてものプライドで、浮き立つ気分が伝わらないように声を低めた。

「……いいよ、もう」
「ほんとに?」
「うん。もう、いいから……来て」
「……おう」

 膝立ちになった光亮が、おれの背中に覆い被さってくる。熱を持ったそれが尻をかすめる感触に、知らず知らずのうちに唾を飲んでいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

お客様と商品

あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

僕はお別れしたつもりでした

まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!! 親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。 大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

処理中です...