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第一章・病に倒れたおれをいつも隣で励ましてくれた、幼なじみのあいつと。
1-7・どうせおれのはちっちゃいよ
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用意されてたローションを使って、光亮はおれの尻をていねいにほぐしてくれた。相変わらず不器用な、でもこいつらしからぬ恐る恐るな動きで、じっくりと。四つん這いでケツを上げたまま、尻の穴をいじられるなんてほんとはめちゃくちゃ恥ずかしい。でも光亮はためらったり嫌そうな様子を見せたりすることはなくて、そこは正直ほっとした。もっともこっちはおれへの思いやりと言うよりは、単にこいつにはおなじみの、考えなしな雑さのせいかもしれない。
「こんなもん、か? 彬、いけそ?」
「う、うん……わかんないけど、たぶん」
うつ伏せた尻の谷間から問いかける光亮に、なんとも言えない気分で答える。天使様お墨付きのローションのせいか、指を入れられるのにもそれほど抵抗はなかった。これなら光亮のも入るだろうか。いや、ここまで来て入ってくれなきゃおれも困るんだけど。
「じゃ、えっと……あ、そうだ、ゴムつけなきゃだよな、ゴムゴム」
「ああ、うん。……え?」
「ん? どした、彬」
「や、うん、いや……。……光亮、でかくね?」
背中越しに目に飛び込んできたのは、拙い手つきでゴムを被せられる光亮自身。そのシルエットはおれの予想よりかなり、だいぶ、でかい。え、こんなんだったっけ。しぼんだままの状態なら何度か見たことあるけど、どう考えてもおれと大差はなかったはずだ。だよな。そうだよな、絶対。
光亮はわざわざ自分の股間を見下ろして、不思議そうに首をかしげる。
「そうかぁ? 別に、そんなことないと思うけど」
「いやだって、おれのより……だいぶ……」
「彬の? ……あっ」
光亮の視線が、おれの両脚の間に走った。途端にその表情が、なんとも言えない半笑いに変わる。おい。
「……今お前、ちょっと笑ったろ」
「……いやあ?」
「嘘つけ! なんだよちくしょう、あーそうだよ、どうせおれのはちっちゃいよ!」
「いやごめんマジごめん、ああでも、そうだな、これはこれでかわいいんじゃねえかな、とか思ったりしないこともないし」
「そこはせめて言い切れよ!」
真っ赤になった顔を枕に押しつける。くそ、光亮の野郎、ちょっとでかいからって。言っとくけど昔はおれの方がでかかったんだからな。いやちんこはわかんねえけど、身長とか。
「ごめんって、彬」
光亮が笑いながら手を伸ばして、おれの後ろ頭をさわさわと触る。そんなんでごまかされるか。犬じゃねえんだぞ。頑なに振り返ってはやらない。ああ、でも、このあったかい手の感触はちょっとだけ、気持ちいいかも。
なだめるように触れていた手つきが、やがておれの髪を繰り返し撫でるものに変わる。誰よりも見慣れた光亮の手。知らないうちにおれよりもちょっとだけ大きくなった手。この先おれがいなくなったあと、いつかおれ以外の誰かに触れるかもしれない、手。
胸がずきんと痛んだ。光亮に悟られないように、さりげなく目を伏せる。おれの気持ちを知ってか知らずか、光亮がおれの顔を後ろから覗き込む。
「彬」
「ん」
「あのさ……いや、なんか、こんな直接的に言うのもなんかな、とは思うけど」
「ん」
「もう……入れても、いい?」
ちょっと申し訳なさそうに告げられたのは、欲望に忠実すぎるお願いだ。吹き出しそうになるのを枕でこらえた。ほんと、こいつのこういうとこだよ。でも別におれだって本気で怒ってたわけじゃない。怒ってはいないけどせめてものプライドで、浮き立つ気分が伝わらないように声を低めた。
「……いいよ、もう」
「ほんとに?」
「うん。もう、いいから……来て」
「……おう」
膝立ちになった光亮が、おれの背中に覆い被さってくる。熱を持ったそれが尻をかすめる感触に、知らず知らずのうちに唾を飲んでいた。
「こんなもん、か? 彬、いけそ?」
「う、うん……わかんないけど、たぶん」
うつ伏せた尻の谷間から問いかける光亮に、なんとも言えない気分で答える。天使様お墨付きのローションのせいか、指を入れられるのにもそれほど抵抗はなかった。これなら光亮のも入るだろうか。いや、ここまで来て入ってくれなきゃおれも困るんだけど。
「じゃ、えっと……あ、そうだ、ゴムつけなきゃだよな、ゴムゴム」
「ああ、うん。……え?」
「ん? どした、彬」
「や、うん、いや……。……光亮、でかくね?」
背中越しに目に飛び込んできたのは、拙い手つきでゴムを被せられる光亮自身。そのシルエットはおれの予想よりかなり、だいぶ、でかい。え、こんなんだったっけ。しぼんだままの状態なら何度か見たことあるけど、どう考えてもおれと大差はなかったはずだ。だよな。そうだよな、絶対。
光亮はわざわざ自分の股間を見下ろして、不思議そうに首をかしげる。
「そうかぁ? 別に、そんなことないと思うけど」
「いやだって、おれのより……だいぶ……」
「彬の? ……あっ」
光亮の視線が、おれの両脚の間に走った。途端にその表情が、なんとも言えない半笑いに変わる。おい。
「……今お前、ちょっと笑ったろ」
「……いやあ?」
「嘘つけ! なんだよちくしょう、あーそうだよ、どうせおれのはちっちゃいよ!」
「いやごめんマジごめん、ああでも、そうだな、これはこれでかわいいんじゃねえかな、とか思ったりしないこともないし」
「そこはせめて言い切れよ!」
真っ赤になった顔を枕に押しつける。くそ、光亮の野郎、ちょっとでかいからって。言っとくけど昔はおれの方がでかかったんだからな。いやちんこはわかんねえけど、身長とか。
「ごめんって、彬」
光亮が笑いながら手を伸ばして、おれの後ろ頭をさわさわと触る。そんなんでごまかされるか。犬じゃねえんだぞ。頑なに振り返ってはやらない。ああ、でも、このあったかい手の感触はちょっとだけ、気持ちいいかも。
なだめるように触れていた手つきが、やがておれの髪を繰り返し撫でるものに変わる。誰よりも見慣れた光亮の手。知らないうちにおれよりもちょっとだけ大きくなった手。この先おれがいなくなったあと、いつかおれ以外の誰かに触れるかもしれない、手。
胸がずきんと痛んだ。光亮に悟られないように、さりげなく目を伏せる。おれの気持ちを知ってか知らずか、光亮がおれの顔を後ろから覗き込む。
「彬」
「ん」
「あのさ……いや、なんか、こんな直接的に言うのもなんかな、とは思うけど」
「ん」
「もう……入れても、いい?」
ちょっと申し訳なさそうに告げられたのは、欲望に忠実すぎるお願いだ。吹き出しそうになるのを枕でこらえた。ほんと、こいつのこういうとこだよ。でも別におれだって本気で怒ってたわけじゃない。怒ってはいないけどせめてものプライドで、浮き立つ気分が伝わらないように声を低めた。
「……いいよ、もう」
「ほんとに?」
「うん。もう、いいから……来て」
「……おう」
膝立ちになった光亮が、おれの背中に覆い被さってくる。熱を持ったそれが尻をかすめる感触に、知らず知らずのうちに唾を飲んでいた。
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