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138・→キャラの追加より既存キャラの掘り下げを優先して欲しい
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かちゃかちゃと、フォークと食器が触れ合う音が響いている。きつね色の焦げ目がついたサンドイッチを口に運びながら、ちらちらとミマの様子をうかがう。重ねた薄切りの豚肉に、酸っぱめのキャベツとマスタードを合わせたサンドイッチは、朝向けのさっぱり感とパワーつきそうながっつり感が両立している絶品だ。でも、今日に限っては、俺の舌はそのポテンシャルの半分くらいしか感じ取れていない。
今のところ、ミマが直接的に喧嘩を売ってくる様子はない。ジルコンがそばに立ってるせいだろう。隣のコラルも、俺の存在を忘れたかのように、薄いチーズの乗ったサラダに夢中になっている。短い手で器用にフォークを操るさまは、腐っても王子サマを自称する教養の成せる業か。ただただ気まずいのは俺ひとりだけだ。ミマの内心がどうかは知らないけど。
助けを求めるようにジルコンに視線を送る。穏やかな表情で受け止めるジルコンは、しかし指先一つも動かしてくれる気配はない。は、薄情もの!
……いや。そうだよな。俺だってずっとこのままでいいと思ってたわけじゃない。向き合うときが来たってことなのかもしれない。ずいぶん唐突だったけど。うう。幸いなことに、話の種はある。ていうかむしろ本当なら、俺たちこそしっかり話し合わなきゃいけない話題だ。
気づかれないようにひっそりと深呼吸をして、テーブルの下でそっと拳を握る。
「あ、あのさ、ミマ」
「……何?」
大粒の真珠みたいな瞳が、不機嫌そうにきろりと俺を睨む。ま、負けるな俺。
「今回の……アプデのことなんだけどさ」
「ああ。内容なら僕も知らないよ、当たり前だけど。僕が今手に入れられる情報は、チュー君が持ってるものと同程度のはずだ」
「あ、じゃなくて。その、ミマ的にはどうなん?」
「え?」
「なんつーか、新キャラの感じとかさ。ツボに来るやついたりした? それとも追加キャラは推しにならないタイプ?」
「……」
ミマの目がすっと細くなる。う、まさかのバッドコミュニケーション? オタクなら推しジャンルの新キャラの話題なんて鉄板中の鉄板じゃないのか? いや、もしかしてテコ入れが地雷だった可能性もあるか? SNSのアンケで追加キャラの賛否とか聞いちゃうタイプ?
吐き出されたミマのため息に、隣に座るコラルの背筋も弾かれた定規のようにぴんと伸びる。苦労してんなお前も。同情のまなざしを送っていると、フォークを置いたミマがおもむろに声をかける。
「……ジルコン様」
「はい」
「少しだけ、チュー君と二人きりで話したいんです。席を外していただけますか」
「承知いたしました」
「アッ……」
ジルコンは深々と頭を下げたかと思うと、ワゴンを押してキッチンの方へと引っ込んでしまった。伸ばしかけた俺の手がむなしく宙を切る。ま、守るって言ったじゃん!? 守ってよ! 俺を!!
……いや、まあ、ほんとに修羅場になったらさすがに止めに来てくれるとは思うけど。とりあえずここは仕方なく、俺単騎でミマと相対する。向き合ったミマの瞳に感情は見えない。今までの、嘲笑や怒りがこもった瞳とは、また少し違う色をしている気がする。それが逆に、俺の緊張を際立たせる。
今のところ、ミマが直接的に喧嘩を売ってくる様子はない。ジルコンがそばに立ってるせいだろう。隣のコラルも、俺の存在を忘れたかのように、薄いチーズの乗ったサラダに夢中になっている。短い手で器用にフォークを操るさまは、腐っても王子サマを自称する教養の成せる業か。ただただ気まずいのは俺ひとりだけだ。ミマの内心がどうかは知らないけど。
助けを求めるようにジルコンに視線を送る。穏やかな表情で受け止めるジルコンは、しかし指先一つも動かしてくれる気配はない。は、薄情もの!
……いや。そうだよな。俺だってずっとこのままでいいと思ってたわけじゃない。向き合うときが来たってことなのかもしれない。ずいぶん唐突だったけど。うう。幸いなことに、話の種はある。ていうかむしろ本当なら、俺たちこそしっかり話し合わなきゃいけない話題だ。
気づかれないようにひっそりと深呼吸をして、テーブルの下でそっと拳を握る。
「あ、あのさ、ミマ」
「……何?」
大粒の真珠みたいな瞳が、不機嫌そうにきろりと俺を睨む。ま、負けるな俺。
「今回の……アプデのことなんだけどさ」
「ああ。内容なら僕も知らないよ、当たり前だけど。僕が今手に入れられる情報は、チュー君が持ってるものと同程度のはずだ」
「あ、じゃなくて。その、ミマ的にはどうなん?」
「え?」
「なんつーか、新キャラの感じとかさ。ツボに来るやついたりした? それとも追加キャラは推しにならないタイプ?」
「……」
ミマの目がすっと細くなる。う、まさかのバッドコミュニケーション? オタクなら推しジャンルの新キャラの話題なんて鉄板中の鉄板じゃないのか? いや、もしかしてテコ入れが地雷だった可能性もあるか? SNSのアンケで追加キャラの賛否とか聞いちゃうタイプ?
吐き出されたミマのため息に、隣に座るコラルの背筋も弾かれた定規のようにぴんと伸びる。苦労してんなお前も。同情のまなざしを送っていると、フォークを置いたミマがおもむろに声をかける。
「……ジルコン様」
「はい」
「少しだけ、チュー君と二人きりで話したいんです。席を外していただけますか」
「承知いたしました」
「アッ……」
ジルコンは深々と頭を下げたかと思うと、ワゴンを押してキッチンの方へと引っ込んでしまった。伸ばしかけた俺の手がむなしく宙を切る。ま、守るって言ったじゃん!? 守ってよ! 俺を!!
……いや、まあ、ほんとに修羅場になったらさすがに止めに来てくれるとは思うけど。とりあえずここは仕方なく、俺単騎でミマと相対する。向き合ったミマの瞳に感情は見えない。今までの、嘲笑や怒りがこもった瞳とは、また少し違う色をしている気がする。それが逆に、俺の緊張を際立たせる。
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