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126・ぽっと出!テコ入れ追加キャラ!
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「確認しておくが、アメティスタ」
視線はアメティスタに向けたまま、ジルコンは俺のいる方へ一歩下がった。
「その預言は、最近下されたものだな」
「そーだねぇ。今月の初めくらいかなぁ」
「やはりか。概ね状況は理解した」
片手で額を押さえるとともに、剣にかけていた手を離す。相変わらず険しい表情ではあるが、まとう気配からは殺気が消えた。よ、よかった。ひとまずほっと息をつく俺に、ジルコンはまっすぐに向き直る。
「チュー太郎。お前、昏き翼という単語に思い当たるところはあるか」
「あー……うん。ミマから聞いてる。俺、怪鳥にさらわれるんだろ」
「ああ、そのはずだ……いや、そのはずだった、と言うべきか。実は今月の頭、『宝石騎士』にとあるアップデートが入った」
「へ?」
「くどくど説明するよりも、実物を見せた方が話は早いな」
言ってジルコンは、指に嵌めたダイヤの指輪を壁にかざした。壁面に四角い光が投射され、スクリーンとなって像を結ぶ。
映し出されたのは、青年二人の立ち姿だった。背中に鷹のような翼を持った、目つきの鋭い茶髪の青年。同じく大きな翼に加えて、どことなくコワモテ風の雰囲気を持った、大柄な黒髪の青年。腰に手を当ててこちらを睨みつける彼らは、どちらも騎士サマたちに劣らぬ超絶的なイケメンである。
一拍置いて、画面が下にスクロールし始めた。大文字で書かれた煽り文句が、徐々に姿を現していく。
『新キャラクター登場! 闇に与し耀燈騎士団と対立する、翼人族の彼らはいったい……!?』
「……あのー、これって」
薄々答えに気づきながら聞いてみる。ジルコンは一際複雑そうな表情で、重々しく頷いた。
「元、怪鳥。現在は翼人族という設定になった、新キャラクターだ」
「やっぱりぃっ!?!?」
声高らかに叫んでしゃがみ込む。まさかの怪鳥イケメン化! 差し替えイベントにしたって豪快が過ぎんだろ! ていうか宝石コンセプトはどこ行ったんだよ!
でもそういや、確かミマもあのとき言ってた気がする。異種族BLは最近の流行りだとかなんとか。にしてもこんな節操ないことする!? するか、ここの運営なら!!
「えっ、じゃあ何、俺このイケメンたちにさらわれんの!? また!? なんなん俺お姫様かよ!!」
「いや、それは……」
「違うだろうねぇ。砕け散るって言ってるし、まぁ殺されんじゃない?」
「こっ」
あまりに直接的な言い方に絶句した。ジルコンの顔に目をやれば、彼もこの上なく深刻そうに目を細めている。マジか。……マジか。
「ただひとつの灯になるのは、ミマだもん。だからここにいればいいって言ってんのにさぁ。誰から忘れられたって、死んでるよりは生きてる方がよくなぁい?」
ゆったりとそう言い放ちながら、アメティスタは自らの長い髪を弄ぶ。口調は緩いけれど、赤紫の瞳はこの上なく真剣だ。たぶん、彼も彼なりに、俺のことを考えてのことなんだろう。それはわかってる。……でも。
視線はアメティスタに向けたまま、ジルコンは俺のいる方へ一歩下がった。
「その預言は、最近下されたものだな」
「そーだねぇ。今月の初めくらいかなぁ」
「やはりか。概ね状況は理解した」
片手で額を押さえるとともに、剣にかけていた手を離す。相変わらず険しい表情ではあるが、まとう気配からは殺気が消えた。よ、よかった。ひとまずほっと息をつく俺に、ジルコンはまっすぐに向き直る。
「チュー太郎。お前、昏き翼という単語に思い当たるところはあるか」
「あー……うん。ミマから聞いてる。俺、怪鳥にさらわれるんだろ」
「ああ、そのはずだ……いや、そのはずだった、と言うべきか。実は今月の頭、『宝石騎士』にとあるアップデートが入った」
「へ?」
「くどくど説明するよりも、実物を見せた方が話は早いな」
言ってジルコンは、指に嵌めたダイヤの指輪を壁にかざした。壁面に四角い光が投射され、スクリーンとなって像を結ぶ。
映し出されたのは、青年二人の立ち姿だった。背中に鷹のような翼を持った、目つきの鋭い茶髪の青年。同じく大きな翼に加えて、どことなくコワモテ風の雰囲気を持った、大柄な黒髪の青年。腰に手を当ててこちらを睨みつける彼らは、どちらも騎士サマたちに劣らぬ超絶的なイケメンである。
一拍置いて、画面が下にスクロールし始めた。大文字で書かれた煽り文句が、徐々に姿を現していく。
『新キャラクター登場! 闇に与し耀燈騎士団と対立する、翼人族の彼らはいったい……!?』
「……あのー、これって」
薄々答えに気づきながら聞いてみる。ジルコンは一際複雑そうな表情で、重々しく頷いた。
「元、怪鳥。現在は翼人族という設定になった、新キャラクターだ」
「やっぱりぃっ!?!?」
声高らかに叫んでしゃがみ込む。まさかの怪鳥イケメン化! 差し替えイベントにしたって豪快が過ぎんだろ! ていうか宝石コンセプトはどこ行ったんだよ!
でもそういや、確かミマもあのとき言ってた気がする。異種族BLは最近の流行りだとかなんとか。にしてもこんな節操ないことする!? するか、ここの運営なら!!
「えっ、じゃあ何、俺このイケメンたちにさらわれんの!? また!? なんなん俺お姫様かよ!!」
「いや、それは……」
「違うだろうねぇ。砕け散るって言ってるし、まぁ殺されんじゃない?」
「こっ」
あまりに直接的な言い方に絶句した。ジルコンの顔に目をやれば、彼もこの上なく深刻そうに目を細めている。マジか。……マジか。
「ただひとつの灯になるのは、ミマだもん。だからここにいればいいって言ってんのにさぁ。誰から忘れられたって、死んでるよりは生きてる方がよくなぁい?」
ゆったりとそう言い放ちながら、アメティスタは自らの長い髪を弄ぶ。口調は緩いけれど、赤紫の瞳はこの上なく真剣だ。たぶん、彼も彼なりに、俺のことを考えてのことなんだろう。それはわかってる。……でも。
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