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71・爽やかキラキラサイコパス

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「ははっ、オレの勝ち! でも君も頑張ったな、チュー太郎!」
「……へふ」

 灯士寮の庭、綺麗に刈り込まれた芝生の上。
 走り疲れて倒れ込んだ俺は、快活に笑う黄色の騎士・トパシオを虚ろに見上げていた。
 ふかふかのタオルを差し出されたけれど、受け取る余裕もない。手を伸ばすことすらできない俺に、しかしトパシオは気を悪くした様子も見せず、自分の首にかけたタオルで汗を拭った。頭のてっぺんから襟足にかけて、黄色からオレンジのグラデーションを描いた髪が、同じ色の夕陽に映えてキラキラと輝く。首筋を伝う汗ですらレモンの香りがしそうだ。どっからどう見ても体育会系爽やかイケメン、本性が銭ゲバサイコパスだなんて到底思えない。

 ランジンとの演習を終えて、城周辺をジョギングしているトパシオと出会ったのが寮への帰り際。いきなり寮まで勝負しないかとか言われたときには内心マジかよと思ったけれど、これも親愛度アップにつながるイベント、起こってしまった以上は必死でこなすしかない。結果はご覧の通りだったわけだけど。くそう、こいつ商人キャラだから運動方面はそこまでかと思いきや、普通にしっかり体できてるでやんの。意識高い系かよ。騎士なんだから当然っちゃ当然なんだけど。

「君の根性は素晴らしいけど、体力はもう少しつけたほうがいいな。よく言うだろ、体は資本って」
「やー……そうね、それができればね……」
「できるよ。オレはそう思う。例えば今君が一緒に演習してるランジンなんかも、昔は体が弱かったのに、血の滲むような努力の末に騎士の座を手に入れたんだぜ。立派だよな」
「ランジン……」

 ふと、ジルコンに見せられた光景を思い出す。犬の真似をしているランジンと、彼を餌にして流れるような口上を述べるトパシオ。今さらだけど、あれはなんだったんだろう。触れるのが怖くて聞くに聞けずにいたけど。
 むくりと芝生から上半身を起こす。トパシオは腰に下げていた革の水筒を外して、流し込むように水を飲んでいる。

「あのぉ……つかぬことをお伺いしますが」
「ん? なんだい?」
「トパシオとランジンって、その……どんなご関係で」
「どんなって、友達だけど?」

 トパシオは顔色一つ変えずに答える。嘘やごまかしで言っているようには到底見えない。けど友達にあんなことさせるか、普通?

「でも、その……なんか前、大通りで、一緒に……呼び込みみたいな……」
「なんだ、見てたのかい? 声でもかけてくれればよかったのに」
「いやいやいや、無理無理無理」

 俺の遠回しな指摘にも、トパシオは一切動じた様子を見せなかった。なんだこいつ。恥じらいとか罪悪感とかないんか。
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