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ドンドン
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ああ、これって浮気現場ってやつ? 私って浮気相手扱いなんだけど……なんにもないただの榊の暇つぶしなんだけどね。ああ、ドンドン潰されそう。胸が苦しい。
「ただご飯食べてゲームしてただけ」
この状況。普通ならば苦しい言い訳に聞こえる榊の言葉だけど、それが真実。そうそれだけ。
「あんたは!! 女の子がこんな時間までいて大丈夫じゃないでしょ! 彼女のことも考えなさい!! 最近は夜は家にいると思って安心してたのに、女の子連れ込んで! あんたはいいけど」
ん? なんか話が彼女じゃなくて保護者みたいな流れなんだけど……彼女は私に近寄り腕を取る。な、なに?
「お家の人は大丈夫なの? 遅くまで外出しても大丈夫?」
あ、すっごい優しく聞かれてる。榊の事じゃなくて私の心配してる。
「あ、あの私、隣で一人暮らししてるんで大丈夫です」
なんとか話ができた。さっきの胸の痛みは消えて疑問がドンドン湧き上がる。
「そ、そうなの? 一人暮らしって陸と同じ高校よね?」
なぜ榊の一人暮らしはスルーで私の一人暮らしに不信感を持つのかわからないけれど。
「父の海外転勤に母もついて行って、私一人っ子なので」
「そうなの。それならいいんだけど」
え? いいんだ。女性は私の手を離し榊に向う。
「あんたね! 電話ぐらい出なさいよ!」
「最初にかかって来た時にかけ直しただろ。なんで毎日かけてくるんだよ」
「この時間にかけても出ないからまたケンカでもしに行ってるかと心配したんでしょ! 毎日毎日ケンカしてたの知ってるんだからね! 真面目にするって約束で一人暮らしと転校を認めたのに」
「もうケンカしてないって。カオン」
カオンっていうんだ彼女は。それにしてもこの会話は。
「姉の事を名前で呼ばない。お姉様と呼びなさい」
さすがにそれは……お姉様とは呼ばないね。
「……」
榊を黙らせた。すごい人だよ、この人。
「ケンカしてないならこの時間何してたの? 毎日毎日!」
「あ、私と一緒にいました。ケンカはもうしてないです。榊、榊君」
榊のお姉さんの勢いの凄まじさに思わず榊に加勢しちゃったよ。
「毎日毎日?」
「あ、はい」
榊が何か言いたそうに私に手を伸ばす。あ、それはそれで……だよね。
「陸がケンカせずに女の子とね。あの金髪にして毎日ケンカしてた陸がね」
え!? 金髪? ケンカだけじゃないの?
「もういいだろ?」
榊たまりかねてお姉さんを追い出しにかかっている。
「それより陸あんたちゃんと責任……」
ん? 突然お姉さん榊に小声で話してる。何?
「んなことしてないよ!?」
と言った榊の頭にお姉さんの手が飛ぶ。
バシッ
お姉さんも背が高いな。遺伝かな? 私なら榊の頭に手が届かない。って何の話してるの? 二人で。
「してないの?」
「違う。そうじゃなくて。……」
何? 榊も小声でお姉さんに言ってる。何なの二人で?
お姉さん爆笑。何の話なの!
「そう、陸って、意外と……」
「もういいだろ? 早く帰れ! お前も女だろ、一応」
お姉さんの言葉を遮るように話を終わらせて帰らせる榊。
「一応って、何よ」
「もう帰れ! アリスも帰すから!」
「アリスちゃんって言うの。バイバイ、アリスちゃん。陸をお願いね」
そうして、嵐のような榊のお姉さんは帰って行った。
あ、洗い物!
続きの洗い物をしてると、げっそりした榊が来た。
「あ、あのさ。今のその」
「ん?」
今のはどこにかかっているんだろう。話が盛りだくさん過ぎてわからない。
「いや、んー。気にした金髪?」
金髪にかかってたみたい。
私は洗い物を終わらせてソファーに座る。榊も自然と私の横に座る。
「金髪ねー!」
榊の髪を触る。今の髪は真っ黒。想像するけど黒髪に黒メガネの榊からは想像出来ない。
「おい!」
私の手を振り払う榊の顔は赤い。
「ふふ、想像出来ない! ふーん。そっか、そんで、ケンカか」
「何を納得してるんだよ」
「なんか今のイメージと全く違うから。何で生徒会長だったの?」
私の中の榊のイメージはすっかり生徒会長になっていた。まあ、不真面目な生徒会長だけど。
「アリスが転校してきて隣に引っ越してきたから」
「え!? 生徒会長の立候補の締め切りの日に会ったよね?」
確かスーパーに寄ってから帰ってきた榊とエレベーター前で会ったのは生徒会長立候補の締め切り日だったはず。
「そうだよ。アリスが知らん顔して俺の家の隣に入ったから驚いたけど、次の日の朝に先生に生徒会長に立候補できるか聞いたらそのまま壇上にあげられた」
先生……選ぶ気はさらさらなかったんだ。立候補の締め切り日もお構いなしだし。
「へえー」
「他の生徒会メンバー選ぶためにもらった候補にアリスが付け足してたからあの日の放課後にアリスの教室に行ったんだけど」
なかったら諦めたのか? っていうか先生! 転校してすぐの榊に生徒会長させるはずだよ。転校して間もない私をすでに候補に加えていたなんて。榊がならなかったら私にまで先生の声がかかってたんじゃない!!
「ふーん。でも、金髪かあ」
はじめて会った日の榊を思い出し目の前の榊を見て、金髪の榊を想像するけど……できない。榊が可愛いんでまた榊の髪を触ってたらまた手を振り払われた。
「再婚なんだ。母親がカオンの父親と再婚して、それで転校して父親のカオン達の家に引越しして……なんか家にも学校にも居辛くなって」
「うん」
「毎日酷いからもめて、そんで一人暮らしと転校を条件に金髪とケンカをやめるって」
「ケンカはしてたけどね」
「ああ、うん。華音にバレてたとは思わなかった」
でも、それがなければ榊陸と私はこんな風にはなっていないだろう。ただの隣人で学校が同じだけ、だったろう。
「そっか。榊なんか……可愛い!」
私は榊の頭を撫でる。座ってないと出来ないんだよね。そのためのソファーへの移動。
「やめろよ!」
またはしゃいで気づけばソファーに押し倒されてる私。榊の顔が近づき私にキスをする。キス魔復活?
「あ!!」
唇が離れて気づいた。
「え?」
「電話! 叔母さんからの!」
榊を押しのけ荷物を持って玄関へ走る。
「じゃあ、また明日ね!!」
「あ、ああ。うん」
玄関を出てすぐ隣の自分の家の玄関を開けて中に入る。
ホウって、息を吐く。榊の手が唇が私の体にあたると熱くなる……どうしていいかわからなかった。結局私は榊のなんなんだろう。
「ただご飯食べてゲームしてただけ」
この状況。普通ならば苦しい言い訳に聞こえる榊の言葉だけど、それが真実。そうそれだけ。
「あんたは!! 女の子がこんな時間までいて大丈夫じゃないでしょ! 彼女のことも考えなさい!! 最近は夜は家にいると思って安心してたのに、女の子連れ込んで! あんたはいいけど」
ん? なんか話が彼女じゃなくて保護者みたいな流れなんだけど……彼女は私に近寄り腕を取る。な、なに?
「お家の人は大丈夫なの? 遅くまで外出しても大丈夫?」
あ、すっごい優しく聞かれてる。榊の事じゃなくて私の心配してる。
「あ、あの私、隣で一人暮らししてるんで大丈夫です」
なんとか話ができた。さっきの胸の痛みは消えて疑問がドンドン湧き上がる。
「そ、そうなの? 一人暮らしって陸と同じ高校よね?」
なぜ榊の一人暮らしはスルーで私の一人暮らしに不信感を持つのかわからないけれど。
「父の海外転勤に母もついて行って、私一人っ子なので」
「そうなの。それならいいんだけど」
え? いいんだ。女性は私の手を離し榊に向う。
「あんたね! 電話ぐらい出なさいよ!」
「最初にかかって来た時にかけ直しただろ。なんで毎日かけてくるんだよ」
「この時間にかけても出ないからまたケンカでもしに行ってるかと心配したんでしょ! 毎日毎日ケンカしてたの知ってるんだからね! 真面目にするって約束で一人暮らしと転校を認めたのに」
「もうケンカしてないって。カオン」
カオンっていうんだ彼女は。それにしてもこの会話は。
「姉の事を名前で呼ばない。お姉様と呼びなさい」
さすがにそれは……お姉様とは呼ばないね。
「……」
榊を黙らせた。すごい人だよ、この人。
「ケンカしてないならこの時間何してたの? 毎日毎日!」
「あ、私と一緒にいました。ケンカはもうしてないです。榊、榊君」
榊のお姉さんの勢いの凄まじさに思わず榊に加勢しちゃったよ。
「毎日毎日?」
「あ、はい」
榊が何か言いたそうに私に手を伸ばす。あ、それはそれで……だよね。
「陸がケンカせずに女の子とね。あの金髪にして毎日ケンカしてた陸がね」
え!? 金髪? ケンカだけじゃないの?
「もういいだろ?」
榊たまりかねてお姉さんを追い出しにかかっている。
「それより陸あんたちゃんと責任……」
ん? 突然お姉さん榊に小声で話してる。何?
「んなことしてないよ!?」
と言った榊の頭にお姉さんの手が飛ぶ。
バシッ
お姉さんも背が高いな。遺伝かな? 私なら榊の頭に手が届かない。って何の話してるの? 二人で。
「してないの?」
「違う。そうじゃなくて。……」
何? 榊も小声でお姉さんに言ってる。何なの二人で?
お姉さん爆笑。何の話なの!
「そう、陸って、意外と……」
「もういいだろ? 早く帰れ! お前も女だろ、一応」
お姉さんの言葉を遮るように話を終わらせて帰らせる榊。
「一応って、何よ」
「もう帰れ! アリスも帰すから!」
「アリスちゃんって言うの。バイバイ、アリスちゃん。陸をお願いね」
そうして、嵐のような榊のお姉さんは帰って行った。
あ、洗い物!
続きの洗い物をしてると、げっそりした榊が来た。
「あ、あのさ。今のその」
「ん?」
今のはどこにかかっているんだろう。話が盛りだくさん過ぎてわからない。
「いや、んー。気にした金髪?」
金髪にかかってたみたい。
私は洗い物を終わらせてソファーに座る。榊も自然と私の横に座る。
「金髪ねー!」
榊の髪を触る。今の髪は真っ黒。想像するけど黒髪に黒メガネの榊からは想像出来ない。
「おい!」
私の手を振り払う榊の顔は赤い。
「ふふ、想像出来ない! ふーん。そっか、そんで、ケンカか」
「何を納得してるんだよ」
「なんか今のイメージと全く違うから。何で生徒会長だったの?」
私の中の榊のイメージはすっかり生徒会長になっていた。まあ、不真面目な生徒会長だけど。
「アリスが転校してきて隣に引っ越してきたから」
「え!? 生徒会長の立候補の締め切りの日に会ったよね?」
確かスーパーに寄ってから帰ってきた榊とエレベーター前で会ったのは生徒会長立候補の締め切り日だったはず。
「そうだよ。アリスが知らん顔して俺の家の隣に入ったから驚いたけど、次の日の朝に先生に生徒会長に立候補できるか聞いたらそのまま壇上にあげられた」
先生……選ぶ気はさらさらなかったんだ。立候補の締め切り日もお構いなしだし。
「へえー」
「他の生徒会メンバー選ぶためにもらった候補にアリスが付け足してたからあの日の放課後にアリスの教室に行ったんだけど」
なかったら諦めたのか? っていうか先生! 転校してすぐの榊に生徒会長させるはずだよ。転校して間もない私をすでに候補に加えていたなんて。榊がならなかったら私にまで先生の声がかかってたんじゃない!!
「ふーん。でも、金髪かあ」
はじめて会った日の榊を思い出し目の前の榊を見て、金髪の榊を想像するけど……できない。榊が可愛いんでまた榊の髪を触ってたらまた手を振り払われた。
「再婚なんだ。母親がカオンの父親と再婚して、それで転校して父親のカオン達の家に引越しして……なんか家にも学校にも居辛くなって」
「うん」
「毎日酷いからもめて、そんで一人暮らしと転校を条件に金髪とケンカをやめるって」
「ケンカはしてたけどね」
「ああ、うん。華音にバレてたとは思わなかった」
でも、それがなければ榊陸と私はこんな風にはなっていないだろう。ただの隣人で学校が同じだけ、だったろう。
「そっか。榊なんか……可愛い!」
私は榊の頭を撫でる。座ってないと出来ないんだよね。そのためのソファーへの移動。
「やめろよ!」
またはしゃいで気づけばソファーに押し倒されてる私。榊の顔が近づき私にキスをする。キス魔復活?
「あ!!」
唇が離れて気づいた。
「え?」
「電話! 叔母さんからの!」
榊を押しのけ荷物を持って玄関へ走る。
「じゃあ、また明日ね!!」
「あ、ああ。うん」
玄関を出てすぐ隣の自分の家の玄関を開けて中に入る。
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