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君がゾンビになっても、愛してます以上の言葉を贈りたい。
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・・・
・・・・・・重たい。
『・・・とさん』
んん?
『ひとさん起きて』
重たい・・・
『起きろ!』
奏が乗っかってる気がする・・・
『おい起きろひと吉!』
両瞼をゆっくり持ち上げると、満面の笑みで僕を見下ろす奏の姿があった。
「・・・重い」
『ああ!?』
・・・・・・・・・
あと数時間もすると、ニューイヤー駅伝に出場する選手たちが、和太鼓に迎えられ緊張のスタートを切る。
初日の出が顔を出し、川霧が立ち上るほどにひんやりとした早朝。耳を澄ますと、人類の至極愉快な会話や鼓動が、和太鼓の力強い音色や残響と共に微かに聞こえてくる。
それはだんだんと大きくなり、あちこちで飛び交う「おめでとうございます」の声がはっきりと聞き取れる頃には、新年の賑やかで温かな雰囲気が世界中を包み込む。
そして、ほっぺに残るジンジンとした痛みと熱さの余韻。
『改めまして、明けましておめでとうございます』
新年早々、清々しい張り手をおみまいしてやった大月奏。
「んん。あぁ、おめでとうございます」
新年早々、寝起きに張り手をおみまいされた僕。
『ひとさん、初夢見た?』
「んにゃ、見てないけど、今お星様がたくさん見える」
『初詣行くぞ!』
「まじか・・・」
『約束したもん。ほら起きろひと吉!!!』
二人が出逢ってから、大晦日・元旦と一緒に過ごせたのは初めてなんじゃないだろうか。
仕事柄、なかなか年末年始に休みを取れない奏が、昨日から珍しくはしゃいでいた。
昼前には買い物に出歩き、マクドナルドで期間限定バーガーにマックフルーリー。ポテトLサイズとアップルパイ。さらに大好きなマックシェイクをペロリと平らげる。
帰宅後は「ボス・ベイビー」を鑑賞しながら、しあわせバターのビッグサイズを頬張り、スマブラ大会にマリオパーティー大会。結果は想像にお任せする。
腹を立てたり燃えたり笑い尽くした後は、そば処ひとさんで天ぷらそばを注文。
普段は手を伸ばさないエビ天にかき揚げ。
「卵も落としてあげようか?」
なんて声をかけたもんだから、楽しみで仕方ないといった具合に口角が上がり切っている。作り甲斐もあるってもんだ。
待ってる間、テレビの前で両足をパタつかせながら、紅白歌合戦と他のチャンネルを行ったり来たりしていた奏だったが、再び映画鑑賞会の準備が着々と整えられていた。
かき揚げを浸して、硬い柔らかい双方の食感を楽しむ僕と、一方で、そのまま最後まで齧り尽くす奏。
女優・高畑充希に見惚れながら「可愛い」を連呼していると、隣からかき揚げと共に喰い殺されかねないほどの、鋭い視線をビシビシ感じた。
「小動物みたいで可愛いなぁ」
『私は?』
「砂漠にさぁ、自分の顔についた雫を舐めて水分補給するトカゲいるやん。あれみたいで可愛い」
『私は??』
「私は座敷童に決まってるべさ。なんならポケモンみたいに、ぬらりひょんに進化しつつあるやん」
僕のどんぶりから勢いよくエビ天が消えていった。
「そう言えば最近さぁ、目が覚めたら枕が無くなってて、頭の上にスッと立てかけられてるんですけど・・・君じゃないよね?」
ここ数日、目が覚めると頭の下にあったはずの枕はなく、必ずと言っていいほど綺麗に立てかけられているといった怪事件が勃発している。
あと2、3回続くようなら、間違いなく妖怪ポストにお世話になるはずだ。
「君、妖怪まくら返しにも進化できるのか?」
『しないよ馬鹿ちん!』
「進化パターンが何パターンかあるタイプか!」
『あるかーーーーーっ!』
・・・・・・重たい。
『・・・とさん』
んん?
『ひとさん起きて』
重たい・・・
『起きろ!』
奏が乗っかってる気がする・・・
『おい起きろひと吉!』
両瞼をゆっくり持ち上げると、満面の笑みで僕を見下ろす奏の姿があった。
「・・・重い」
『ああ!?』
・・・・・・・・・
あと数時間もすると、ニューイヤー駅伝に出場する選手たちが、和太鼓に迎えられ緊張のスタートを切る。
初日の出が顔を出し、川霧が立ち上るほどにひんやりとした早朝。耳を澄ますと、人類の至極愉快な会話や鼓動が、和太鼓の力強い音色や残響と共に微かに聞こえてくる。
それはだんだんと大きくなり、あちこちで飛び交う「おめでとうございます」の声がはっきりと聞き取れる頃には、新年の賑やかで温かな雰囲気が世界中を包み込む。
そして、ほっぺに残るジンジンとした痛みと熱さの余韻。
『改めまして、明けましておめでとうございます』
新年早々、清々しい張り手をおみまいしてやった大月奏。
「んん。あぁ、おめでとうございます」
新年早々、寝起きに張り手をおみまいされた僕。
『ひとさん、初夢見た?』
「んにゃ、見てないけど、今お星様がたくさん見える」
『初詣行くぞ!』
「まじか・・・」
『約束したもん。ほら起きろひと吉!!!』
二人が出逢ってから、大晦日・元旦と一緒に過ごせたのは初めてなんじゃないだろうか。
仕事柄、なかなか年末年始に休みを取れない奏が、昨日から珍しくはしゃいでいた。
昼前には買い物に出歩き、マクドナルドで期間限定バーガーにマックフルーリー。ポテトLサイズとアップルパイ。さらに大好きなマックシェイクをペロリと平らげる。
帰宅後は「ボス・ベイビー」を鑑賞しながら、しあわせバターのビッグサイズを頬張り、スマブラ大会にマリオパーティー大会。結果は想像にお任せする。
腹を立てたり燃えたり笑い尽くした後は、そば処ひとさんで天ぷらそばを注文。
普段は手を伸ばさないエビ天にかき揚げ。
「卵も落としてあげようか?」
なんて声をかけたもんだから、楽しみで仕方ないといった具合に口角が上がり切っている。作り甲斐もあるってもんだ。
待ってる間、テレビの前で両足をパタつかせながら、紅白歌合戦と他のチャンネルを行ったり来たりしていた奏だったが、再び映画鑑賞会の準備が着々と整えられていた。
かき揚げを浸して、硬い柔らかい双方の食感を楽しむ僕と、一方で、そのまま最後まで齧り尽くす奏。
女優・高畑充希に見惚れながら「可愛い」を連呼していると、隣からかき揚げと共に喰い殺されかねないほどの、鋭い視線をビシビシ感じた。
「小動物みたいで可愛いなぁ」
『私は?』
「砂漠にさぁ、自分の顔についた雫を舐めて水分補給するトカゲいるやん。あれみたいで可愛い」
『私は??』
「私は座敷童に決まってるべさ。なんならポケモンみたいに、ぬらりひょんに進化しつつあるやん」
僕のどんぶりから勢いよくエビ天が消えていった。
「そう言えば最近さぁ、目が覚めたら枕が無くなってて、頭の上にスッと立てかけられてるんですけど・・・君じゃないよね?」
ここ数日、目が覚めると頭の下にあったはずの枕はなく、必ずと言っていいほど綺麗に立てかけられているといった怪事件が勃発している。
あと2、3回続くようなら、間違いなく妖怪ポストにお世話になるはずだ。
「君、妖怪まくら返しにも進化できるのか?」
『しないよ馬鹿ちん!』
「進化パターンが何パターンかあるタイプか!」
『あるかーーーーーっ!』
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