オレと猫と彼女の日常

柳乃奈緒

文字の大きさ
上 下
20 / 32

モテ期到来 その②

しおりを挟む
✡✡✡✡✡


同じフロアで、働く弓子にカフェに呼び出されて。オレはまたまた、いつもの弓子の新しい遊びだと軽い気持ちでカフェのテーブル席で店員にブレンドコーヒーを注文して弓子を待っていた。

「藤田くん! 早かったんや! ごめん。呼び出した私が待たせてしまったね」
「ええよ! たいして待ってへんし、どうするん? 飯もここで済ますんか?」
「藤田くんは? ここでええ?」
「かまへんで。ランチもあるみたいやから、ここでええよ」

まずは、腹がペコペコやったからランチのオムライスとサラダとスープのセットを2人分注文して、先に注文したブレンドコーヒーは食後に持って来てもらうように変更してもらった。

「最近、調子どう? ストレスたまってないん? 相変わらず、ワケわからん苦情が多いみたいやん?」
「ああ。仕事やと割り切れるようになったから、前よりストレス感じてないわ。それよりどないしたん?」
「なぁ…。もしかして、彼女でも出来たんちゃう?」
「えっ!? …なんでわかるん?」

 食後にひと息吐いてから、会話の流れから弓子にオレを呼び出した理由を聞こうとしたら、弓子が突然真剣な顔をして鋭い突っ込みを入れて来るもんやから、オレが口を開けてマジで驚いてると、弓子は大きなため息を1つ吐いてから苦笑していた。

「なんかムカつく。 私の気持ちには全然気付かん藤田くんが、私の知らん所で彼女と出会って恋しちゃってたやなんて。傷つくわ~」
「ちょっと待って!? 私の気持ちって?  マジで?」
「気付いてないの…藤田くんだけやで。フロアの社員は皆、私が藤田くんのこと好きって知ってるもん!」
「ごめん。全然、気付かんかった」

 少し瞳を涙で潤ませている弓子を見て、オレはこのやり取りが冗談では無いと確信して、背中に伝う汗をひんやりと感じていた。

「もし、私のほうが早く告白してたら付き合ってくれてた?」
「どうやろ? 弓子に恋愛感情は、正直なかったからわからんけど。弓子みたいな美人に迫られたら、付き合ってたかもな!」
「なんや~! もっと早く迫れば良かったんや~! 悔しいわ~!」
「オイオイ! そんなに自分を安売りしたらアカンって!」

 真剣に悔しがってる弓子を何とかオレは必死に宥めてから、昼休みを終えてフロアへ戻った。

✡✡

 フロアへ戻ってからは、さすがに仕事の出来る弓子は何事も無かったかのように。与えられた仕事をいつも通りにこなしていた。 

「藤田さん、昼休みに弓子さんから告白されたんでしょ?」
「オイオイ! 何で知ってるねん?」
「多分、弓子さんが桜井さんと女子トイレで話してたんを、新人が耳にして皆にふれまわったみたいですよ!(笑)」
「難儀やなぁ~」

 オレが弓子に呼び出されて、告白されたことをフロアの社員たちはすでに知ってるらしくて、女子たちはオレと目が合う度にニヤニヤ笑っていた。

✡✡

 終業時間になって、オレがさっさと帰ろうとしてると弓子と桜井風沙絵さくらいふさえがオレの腕をしっかり掴んで離してくれなかった。

「なんや? どないしたん?」
「今日は、藤田くんに飲みに連れていってもらうことにしてん♪」
「オイオイ! 月曜日やで! せめて金曜日にしようや!」
「ほんまに? 金曜日やったらええん?」

どうやら、オレはまんまと弓子にはめられたみたいで、金曜日に2人を飲みに連れて行く約束をさせられてから解放された。

「ついでに彼女を紹介してよ! 恋敵を知らずに諦めるなんて嫌やもん!」
「別に何にもせんから、会うだけ会わしてやって! 私がちゃんと付き添うから!」
「しゃーないな! わかった。でも、ほんまに会うだけやで!」

 別れ際に弓子が、ついでに彼女に会わせろと言い出してオレにしつこく絡んで来たから、仕方がないので金曜日に彼女に会わせる約束もした。真面目な桜井も付き添うし、前もって彼女に話せばわかってくれるはずやと、オレは甘い考えで約束をしたんやけど。ほんまにこれで良かったんやろか? 女心のわからんオレは帰りの電車の中でも、何か嫌な予感がして落ち着かへんかった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

百々五十六の小問集合

百々 五十六
ライト文芸
不定期に短編を上げるよ ランキング頑張りたい!!! 作品内で、章分けが必要ないような作品は全て、ここに入れていきます。 毎日投稿頑張るのでぜひぜひ、いいね、しおり、お気に入り登録、よろしくお願いします。

甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜

泉南佳那
恋愛
植田奈月27歳 総務部のマドンナ × 島内亮介28歳 営業部のエース ******************  繊維メーカーに勤める奈月は、7年間付き合った彼氏に振られたばかり。  亮介は元プロサッカー選手で会社でNo.1のイケメン。  会社の帰り道、自転車にぶつかりそうになり転んでしまった奈月を助けたのは亮介。  彼女を食事に誘い、東京タワーの目の前のラグジュアリーホテルのラウンジへ向かう。  ずっと眠れないと打ち明けた奈月に  「なあ、俺を睡眠薬代わりにしないか?」と誘いかける亮介。  「ぐっすり寝かせてあけるよ、俺が。つらいことなんかなかったと思えるぐらい、頭が真っ白になるまで甘やかして」  そうして、一夜の過ちを犯したふたりは、その後…… ******************  クールな遊び人と思いきや、実は超熱血でとっても一途な亮介と、失恋拗らせ女子奈月のじれじれハッピーエンド・ラブストーリー(^▽^) 他サイトで、中短編1位、トレンド1位を獲得した作品です❣️

桜の華 ― *艶やかに舞う* ―

設樂理沙
ライト文芸
水野俊と滝谷桃は社内恋愛で結婚。順風満帆なふたりの結婚生活が 桃の学生時代の友人、淡井恵子の出現で脅かされることになる。 学生時代に恋人に手酷く振られるという経験をした恵子は、友だちの 幸せが妬ましく許せないのだった。恵子は分かっていなかった。 お天道様はちゃんと見てらっしゃる、ということを。人を不幸にして 自分だけが幸せになれるとでも? そう、そのような痛いことを 仕出かしていても、恵子は幸せになれると思っていたのだった。 異動でやってきた新井賢一に好意を持つ恵子……の気持ちは はたして―――彼に届くのだろうか? そしてそんな恵子の様子を密かに、見ている2つの目があった。 夫の俊の裏切りで激しく心を傷付けられた妻の桃が、 夫を許せる日は来るのだろうか? ――――――――――――――――――――――― 2024.6.1~2024.6.5 ぽわんとどんなstoryにしようか、イメージ(30000字くらい)。 執筆開始 2024.6.7~2024.10.5 78400字 番外編2つ ❦イラストは、AI生成画像自作

私と彼女の逃避行

といろ
ライト文芸
「わたしが死にたくないと思うのは、きっとわがままだからなの」 JK二人が生きることから逃げるために逃避行する話です。お互いのこととか、幸せとか、生きることとか、「普通の生活」とか、いろいろ考えながら逃げます。 二人の距離感と空気感をお楽しみください。

世界樹の麓に

関谷俊博
ライト文芸
高杉さんにかけられた嫌疑は「強制わいせつ罪」というものだった。「高杉さんに乱暴された」と理沙が訴えたのだ。 高杉さんと理沙が、外で会ったのは事実だ。はためには確かに恋人どうしにみえたことだろう。だけどそれも、二度か三度のことだ。僕にはわかる。自分の手に入らないなら、いっそのこと壊してしまおう。そう理沙は考えたのだ。 証拠不十分で起訴はされなかったが、マスコミは「堕ちた天才画家」として騒ぎたてた。そして高杉さんは画壇から追放された。

あなたたちのことなんて知らない

gacchi
恋愛
母親と旅をしていたニナは精霊の愛し子だということが知られ、精霊教会に捕まってしまった。母親を人質にされ、この国にとどまることを国王に強要される。仕方なく侯爵家の養女ニネットとなったが、精霊の愛し子だとは知らない義母と義妹、そして婚約者の第三王子カミーユには愛人の子だと思われて嫌われていた。だが、ニネットに虐げられたと嘘をついた義妹のおかげで婚約は解消される。それでも精霊の愛し子を利用したい国王はニネットに新しい婚約者候補を用意した。そこで出会ったのは、ニネットの本当の姿が見える公爵令息ルシアンだった。

彼女はいつか夢を見る

加鳥このえ
ライト文芸
世界の全てを記す本棚。 そこへアクセスする為の鍵。 二つの秘宝を巡る戦いが今、始まる。

処理中です...