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家庭内別居
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◇◇◇◇◇
今日は、こうちゃんと麻由美ちゃんが、
朝の番組で取り上げられてた
『家庭内別居』について、店に来てから
ずっと夢中になって、話し込んでいた。
そこへ美花ちゃんや宗ちゃんも加わって、
えらい面白いことになっていたので、
私と比奈は、聞き耳をたてながら
カウンターに座ってる、一見さんの
サラリーマン風の30代半ば位の
お客さんの相手をしていた。
「うちのお父ちゃんとお母ちゃんは、家庭内別居なんか
したことないなぁー。ケンカして、しばらくどっちもが
口を聞かんようになってしもて、ご飯の時とかすっごい
お通夜みたいな、嫌な雰囲気でな。こっちが、家を
出て行きたくなったこととかは、あるんやけど。(笑)」
「麻由美のとこは、ケンカしながらでも。お義母さんが、
お義父さんをちゃんとたててるから、上手いこといってるんや!
そやけど。何回かは、あったな? 小学校の6年くらいの時。
麻由美が俺の家に逃げて来て、帰りたくないって泣いて
なかなか帰らんかったやろ?」
麻由美ちゃんとこうちゃんは、
少し懐かしそうに、その時のことを
思い出して笑っていた。
「うちは、家庭内別居する。寸前くらいまでは、あるで。
菜々美ちゃんが、一時期。ずっと、うちの部屋で寝てた
ことがあったもん。ケンカしてる風でもないねんけど。
パパが寝たら、うちの部屋に来てな。本読んだりゲームしたり
してから、寝るって感じやった。(笑)」
「それで? その時はどんな感じなん? 美花ちゃんは、
お母さんになんか聞いてみたん?」
今度は、美花ちゃんが母親の
菜々美ちゃんのことを話し出して、
麻由美ちゃんが、興味深い質問をしていたので
私も比奈も、ついついジッと聞き入ってしまっていた。
「私と一緒のほうが、寝れるから寝てるねんって言われた。
けどな、本音はどうやったんかわからへんわ」
「美花ちゃんのお母さんは、神経細いみたいやしなぁ。
でも、お父さんがそこを理解してる感じは、見ててわかるわ~」
美花ちゃんは、うんうんと頷いて
グラスが空になったので、立ち上がって
カウンターまで来て、生ビールの
おかわりを自分で注いでいた。
「ここは、セルフなんですか?」
その様子を見て、少し驚いた風に
カウンターのお客さんが、私に質問していた。
「ちゃうちゃう! この子らは、もう長い常連さんやから、
勝手知ったるって、やつなんよ! フフフ」
初めて来るお客さんは、たいがい
この光景を見て、唖然として戸惑っている。
そして、同じ様にセルフですか? と聞いてくるので
こんな風にいつも笑って、私は答えてるねん。
「なんか良いですね~。どこかの家で呑んでるみたいで。
初めてでも、なんか居心地が良いし。座敷に猫が2匹おるのも
なんか癒されますね~♡(笑)」
「そう言うてもらえるんが、一番の褒め言葉ですわ~。おおきに~」
このお客さんも、大当たりみたい。
猫が好きみたいで、さっきから座敷を
チラチラ見ていたのは、会話では無くて
がんもとミケのことを気にしてたんやね。
「家庭内別居くらいなら、まだ可愛いもんや。うちみたいに
完璧に別居生活してる夫婦なんて、世の中では…おかしな夫婦って
思われるんが、普通やん」
「比奈のとこは、お互いが納得して別々に住んでるんやから
おかしな夫婦では、ないやろ?」
比奈が突然、口に出して
自分たち夫婦のことを語りだして、
肩を落として溜め息をついていたので
慌てて私は、比奈を慰めていた。
「実は、僕も少し落ち込んでいたんです。結婚2年目で
息子も出来て、幸せなはずなんですが、夜泣きがひどいので
妻が気を使って、別の部屋で寝るようになってしまって。
それ以来…なんかね。ギクシャクしてしまってて、どうしたら
ええんか良くわからんままなんです…」
「あらあら! それはあかんわ。確かに旦那さんには働いて来て
もらわなあかんからと思って、奥さんも気を使ったんやろけど。
ギクシャクしてるんは、マズイで!」
比奈につられたお客さんが、
家庭内別居寸前の、自分たち夫婦のことを
語りだしたので、私も真剣に答えていた。
「ちょっと~! こっちのお題で、そっちが盛り上がってるん?
俺らと一緒にこっちで話そうや!」
「そやな! みんなで話したほうがええな! その方がええ案が
浮かぶんちゃうかな?」
こうちゃんが、座敷から
こっちのお客さんに声をかけて、
ビールやらつまみやら全部座敷へ運んで
一緒に話をすることになってしまった。
少し戸惑いはあったみたいやけど。
こうちゃんらに歓迎されて、お客さんは
嬉しそうにも見えた。みんなに自己紹介されて、
お客さんも慌てて頭を掻きながら
顔を少し赤くしていたが、自己紹介を始めた。
「僕は、そこの駅前にある。小さなビルの中にある会社で
働いてるサラリーマンで坂下雄二言います。
こないだ30歳になりました。結婚して2年目なんですが、
息子の夜泣きが酷くて、別々の部屋で寝るようになってから、
嫁とはギクシャクしてしもて、悩んでるんです」
「なんか、テレビとかの話のまんまやな! どうなん?
家に帰ったら奥さんの態度は、冷たいの?」
坂下さんの話に、みんな聞き入っていた。
こうちゃんは、奥さんのことが
気になったようで、家での奥さんのことを質問していた。
「会話が減りましたね。僕が帰ると、食事の用意は
きちんとしてくれるんですが、用事が済むとすぐに自分の
部屋に引きこもってしまうんです」
「そらアカン! アカンわ! なんかあるわ。奥さん不満が
積もり積もってるんちゃう?」
今度は、麻由美ちゃんが声を上げて
あかんあかんと言って、詰め寄っていた。
「不満があるなら、話してくれたら解決のしようも
あるんですけど。何も話してくれないんで…僕もどうしたら
ええかわからんようになってしまってて…」
「自分から、歩み寄ってあげたほうがええんちゃう?
もしかしたら、奥さん…育児ノイローゼかも知れませんよ!」
冷静な宗ちゃんの意見に
みんなは、顔を見合わせて頷いていた。
「育児ノイローゼですか? あ、そう言えば…部屋を別にして
しまってから、僕があまり息子のことを手伝っていないので、
かなり…彼女の負担になっているかもしれません」
「家庭内別居って、こんな些細なことから始まるんやね。
でも、このままにしてたらアカンよ! なんか考えなね」
美花ちゃんが、坂下さんの肩を
バシバシ叩いて、元気づけていた。
「こうちゃんと麻由美ちゃんとこは、桃香ちゃん、どうなん?」
「最近は、よう寝てくれるようになったけど。最初は
2時間おきで、泣いてたからなぁー。俺らは代わる代わるで
面倒見てたで! 母乳とミルクを半々位で、飲ませてたからな!
それでもしんどかったな~」
こうちゃんと麻由美ちゃんは
顔を見合わせて笑って、自分たちの
育児のことを話していた。
「思いやりみたいなもんは、必要やな! もし、次の日に
大事な仕事があるから、育児を嫁にすべて任せる場合は、
一言でええからごめんなとか、悪いなぁとか。仕事帰りに
何か甘いもんでも、手土産に買って帰って来てくれたら、
女って単純やから、頑張ろうって思えるんよね~。フフフ」
「そんなもんなんですか? どうしたらええかわからんまんま
僕は、嫁に謝りもしてないし。手土産も、買って帰ったこと
無いんです。ダメな、夫ですね」
顔を両手で覆って、坂下さんは
自分はダメな夫だと言って、落ち込んでいた。
「ダメやないで! だってすごく気にしてるやん。どうしたら
ええかわからんだけで、奥さんのこと物凄い気にしてるやん。
ダメやないで。帰ったら、すぐに実行あるのみやで!」
「そやで! 手土産も忘れたらアカンで! 駅前にある
ケーキ屋やったら、遅くまでやってるわ。何か奥さんの
好きそうなスイーツを買って帰ったり!」
落ち込む坂下さんを、みんなで元気づけて
まずは、手土産を奥さんに買って帰るように
アドバイスをして、帰って行く坂下さんを見送った。
◇◇
それから、3日後の日曜日。
坂下さんは、奥さんと息子ちゃんを連れて
また、店まで来てくれて
みんなにお礼を言って、頭を下げていた。
あの夜。
みんなに言われた通りに
駅前でケーキを買って、家に帰った
坂下さんは、奥さんに頭を下げて
今までのことを謝って、自分の気持ちを
ちゃんと伝えれたらしい。
そんな旦那さんを見て、奥さんは
感激して、泣きながら旦那さんを
久しぶりに思いっ切りハグしていたと
恥ずかしそうに笑っていた。
奥さんは、みんなに少し目を潤ませながら
お礼を言うと、後は座敷でみんなと一緒に
ワイワイ呑んで、すぐに打ち解けていた。
そうして、坂下さん夫婦は…
何でもない会話を、久しぶりに楽しんでから
スッキリした顔で、親子3人仲良く帰って行った。
今日は、こうちゃんと麻由美ちゃんが、
朝の番組で取り上げられてた
『家庭内別居』について、店に来てから
ずっと夢中になって、話し込んでいた。
そこへ美花ちゃんや宗ちゃんも加わって、
えらい面白いことになっていたので、
私と比奈は、聞き耳をたてながら
カウンターに座ってる、一見さんの
サラリーマン風の30代半ば位の
お客さんの相手をしていた。
「うちのお父ちゃんとお母ちゃんは、家庭内別居なんか
したことないなぁー。ケンカして、しばらくどっちもが
口を聞かんようになってしもて、ご飯の時とかすっごい
お通夜みたいな、嫌な雰囲気でな。こっちが、家を
出て行きたくなったこととかは、あるんやけど。(笑)」
「麻由美のとこは、ケンカしながらでも。お義母さんが、
お義父さんをちゃんとたててるから、上手いこといってるんや!
そやけど。何回かは、あったな? 小学校の6年くらいの時。
麻由美が俺の家に逃げて来て、帰りたくないって泣いて
なかなか帰らんかったやろ?」
麻由美ちゃんとこうちゃんは、
少し懐かしそうに、その時のことを
思い出して笑っていた。
「うちは、家庭内別居する。寸前くらいまでは、あるで。
菜々美ちゃんが、一時期。ずっと、うちの部屋で寝てた
ことがあったもん。ケンカしてる風でもないねんけど。
パパが寝たら、うちの部屋に来てな。本読んだりゲームしたり
してから、寝るって感じやった。(笑)」
「それで? その時はどんな感じなん? 美花ちゃんは、
お母さんになんか聞いてみたん?」
今度は、美花ちゃんが母親の
菜々美ちゃんのことを話し出して、
麻由美ちゃんが、興味深い質問をしていたので
私も比奈も、ついついジッと聞き入ってしまっていた。
「私と一緒のほうが、寝れるから寝てるねんって言われた。
けどな、本音はどうやったんかわからへんわ」
「美花ちゃんのお母さんは、神経細いみたいやしなぁ。
でも、お父さんがそこを理解してる感じは、見ててわかるわ~」
美花ちゃんは、うんうんと頷いて
グラスが空になったので、立ち上がって
カウンターまで来て、生ビールの
おかわりを自分で注いでいた。
「ここは、セルフなんですか?」
その様子を見て、少し驚いた風に
カウンターのお客さんが、私に質問していた。
「ちゃうちゃう! この子らは、もう長い常連さんやから、
勝手知ったるって、やつなんよ! フフフ」
初めて来るお客さんは、たいがい
この光景を見て、唖然として戸惑っている。
そして、同じ様にセルフですか? と聞いてくるので
こんな風にいつも笑って、私は答えてるねん。
「なんか良いですね~。どこかの家で呑んでるみたいで。
初めてでも、なんか居心地が良いし。座敷に猫が2匹おるのも
なんか癒されますね~♡(笑)」
「そう言うてもらえるんが、一番の褒め言葉ですわ~。おおきに~」
このお客さんも、大当たりみたい。
猫が好きみたいで、さっきから座敷を
チラチラ見ていたのは、会話では無くて
がんもとミケのことを気にしてたんやね。
「家庭内別居くらいなら、まだ可愛いもんや。うちみたいに
完璧に別居生活してる夫婦なんて、世の中では…おかしな夫婦って
思われるんが、普通やん」
「比奈のとこは、お互いが納得して別々に住んでるんやから
おかしな夫婦では、ないやろ?」
比奈が突然、口に出して
自分たち夫婦のことを語りだして、
肩を落として溜め息をついていたので
慌てて私は、比奈を慰めていた。
「実は、僕も少し落ち込んでいたんです。結婚2年目で
息子も出来て、幸せなはずなんですが、夜泣きがひどいので
妻が気を使って、別の部屋で寝るようになってしまって。
それ以来…なんかね。ギクシャクしてしまってて、どうしたら
ええんか良くわからんままなんです…」
「あらあら! それはあかんわ。確かに旦那さんには働いて来て
もらわなあかんからと思って、奥さんも気を使ったんやろけど。
ギクシャクしてるんは、マズイで!」
比奈につられたお客さんが、
家庭内別居寸前の、自分たち夫婦のことを
語りだしたので、私も真剣に答えていた。
「ちょっと~! こっちのお題で、そっちが盛り上がってるん?
俺らと一緒にこっちで話そうや!」
「そやな! みんなで話したほうがええな! その方がええ案が
浮かぶんちゃうかな?」
こうちゃんが、座敷から
こっちのお客さんに声をかけて、
ビールやらつまみやら全部座敷へ運んで
一緒に話をすることになってしまった。
少し戸惑いはあったみたいやけど。
こうちゃんらに歓迎されて、お客さんは
嬉しそうにも見えた。みんなに自己紹介されて、
お客さんも慌てて頭を掻きながら
顔を少し赤くしていたが、自己紹介を始めた。
「僕は、そこの駅前にある。小さなビルの中にある会社で
働いてるサラリーマンで坂下雄二言います。
こないだ30歳になりました。結婚して2年目なんですが、
息子の夜泣きが酷くて、別々の部屋で寝るようになってから、
嫁とはギクシャクしてしもて、悩んでるんです」
「なんか、テレビとかの話のまんまやな! どうなん?
家に帰ったら奥さんの態度は、冷たいの?」
坂下さんの話に、みんな聞き入っていた。
こうちゃんは、奥さんのことが
気になったようで、家での奥さんのことを質問していた。
「会話が減りましたね。僕が帰ると、食事の用意は
きちんとしてくれるんですが、用事が済むとすぐに自分の
部屋に引きこもってしまうんです」
「そらアカン! アカンわ! なんかあるわ。奥さん不満が
積もり積もってるんちゃう?」
今度は、麻由美ちゃんが声を上げて
あかんあかんと言って、詰め寄っていた。
「不満があるなら、話してくれたら解決のしようも
あるんですけど。何も話してくれないんで…僕もどうしたら
ええかわからんようになってしまってて…」
「自分から、歩み寄ってあげたほうがええんちゃう?
もしかしたら、奥さん…育児ノイローゼかも知れませんよ!」
冷静な宗ちゃんの意見に
みんなは、顔を見合わせて頷いていた。
「育児ノイローゼですか? あ、そう言えば…部屋を別にして
しまってから、僕があまり息子のことを手伝っていないので、
かなり…彼女の負担になっているかもしれません」
「家庭内別居って、こんな些細なことから始まるんやね。
でも、このままにしてたらアカンよ! なんか考えなね」
美花ちゃんが、坂下さんの肩を
バシバシ叩いて、元気づけていた。
「こうちゃんと麻由美ちゃんとこは、桃香ちゃん、どうなん?」
「最近は、よう寝てくれるようになったけど。最初は
2時間おきで、泣いてたからなぁー。俺らは代わる代わるで
面倒見てたで! 母乳とミルクを半々位で、飲ませてたからな!
それでもしんどかったな~」
こうちゃんと麻由美ちゃんは
顔を見合わせて笑って、自分たちの
育児のことを話していた。
「思いやりみたいなもんは、必要やな! もし、次の日に
大事な仕事があるから、育児を嫁にすべて任せる場合は、
一言でええからごめんなとか、悪いなぁとか。仕事帰りに
何か甘いもんでも、手土産に買って帰って来てくれたら、
女って単純やから、頑張ろうって思えるんよね~。フフフ」
「そんなもんなんですか? どうしたらええかわからんまんま
僕は、嫁に謝りもしてないし。手土産も、買って帰ったこと
無いんです。ダメな、夫ですね」
顔を両手で覆って、坂下さんは
自分はダメな夫だと言って、落ち込んでいた。
「ダメやないで! だってすごく気にしてるやん。どうしたら
ええかわからんだけで、奥さんのこと物凄い気にしてるやん。
ダメやないで。帰ったら、すぐに実行あるのみやで!」
「そやで! 手土産も忘れたらアカンで! 駅前にある
ケーキ屋やったら、遅くまでやってるわ。何か奥さんの
好きそうなスイーツを買って帰ったり!」
落ち込む坂下さんを、みんなで元気づけて
まずは、手土産を奥さんに買って帰るように
アドバイスをして、帰って行く坂下さんを見送った。
◇◇
それから、3日後の日曜日。
坂下さんは、奥さんと息子ちゃんを連れて
また、店まで来てくれて
みんなにお礼を言って、頭を下げていた。
あの夜。
みんなに言われた通りに
駅前でケーキを買って、家に帰った
坂下さんは、奥さんに頭を下げて
今までのことを謝って、自分の気持ちを
ちゃんと伝えれたらしい。
そんな旦那さんを見て、奥さんは
感激して、泣きながら旦那さんを
久しぶりに思いっ切りハグしていたと
恥ずかしそうに笑っていた。
奥さんは、みんなに少し目を潤ませながら
お礼を言うと、後は座敷でみんなと一緒に
ワイワイ呑んで、すぐに打ち解けていた。
そうして、坂下さん夫婦は…
何でもない会話を、久しぶりに楽しんでから
スッキリした顔で、親子3人仲良く帰って行った。
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